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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第二章 私達のギルド
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私の昼食4

「あれ?生徒会長ー。直也ー。いないのか――」

 そして運命の瞬間がやってくる。神山君は直也の口を無理やり塞ぎ押し倒している私と目が合う。

「「………………」」

 お互い無言で見つめ合う。いや、正確にはどうリアクションを取っていいかわからず困惑してるって方が正しい。

「神山君一体どうしたんですか?」

 私達が困惑する中、最悪のタイミングで雛井さんがこっちに動き出す。雛井さんになんて言えばいい?どうやったら私のイメージを保ちつつ言い訳できる?そもそも直也にする言い訳も思いつかない。

「ひ、雛井は後ろ向け!」

 神山君がいきなり大声を上げる。

「きゅ、急に一体どうしたんですか?」

「いいから早く!」

「は、はい!」

 雛井さんは神山君の言われるがままに後ろを向く。神山君が作ってくれたチャンス!よしこれなら――

「よし、俺は何も見てないぞー。うん、そうだ。何も見てない。この部屋は俺達のギルド室じゃないみたいだ。もう一回十分後くらいに入りなおそう。頼むからそれまでに終わらせてくれよ」

 そして、自分は何も見なかった。そう言いながら部屋から逃げようとする。

「え?どうしたんですか?神山君。な、何を言って――」

「すっとおおおおぷ!!ななな、なんで逃げるのよ!バカなんじゃない!」

 私はそう言うと同時に急いで直也から距離を取る。直也は顔を真っ赤にして口をパクパクさせて地べたに横になっている。

「なんだよ?せっかく気を使ってやったのに」

「せ、生徒会長さん!い、いたんですか?」

「待って、言い訳させて――」

「大丈夫だぞ?俺はそういったことには理解はあるつもりだ。あいつらにも内緒にしとくし、人はそれぞれ個性を持っている生き物だ。性格、考え方、喋り方、性癖。うん、みんな人それぞれだ」

「…………」

 神山君は温かい目で私を見てくる。ダメだ。私の言うことなんか信じてもらえそうにない。

「ほ、ほんとに違うのえっと、そのね、二人、弁当食べてたらね、態勢を崩しちゃって今みたいに……」

 一応間違ったことは言ってない。私が指を舐めたことや態勢を崩して起き上がろうとしなかったってことを言わなかっただけだ。別に嘘はついていない。

「は?態勢崩すって……どうやったらそんな態勢になるんだよ?」

「色々あったのよ……」

 神山君から目を逸らして答える。

「……ほんとか?」

「ほほ、本当に決まってるでしょ?そうよね?時葉君」

「直也、生徒会長の言ってることはほんとか?」

 いまだに顔を真っ赤にしながら寝転がっている直也に話しかける。やっぱり直也には刺激が強すぎたのだろうか?でも、胸が当たったくらいでこんなことになるなんて……。男って好きな人の胸とか触ってたら喜ぶもんじゃないの?それとも私が変なだけ?

「――あれ?俺は一体……つかさ達いつきたの?」

 まるでさっきまでのことを覚えていないかのように直也は言った。

「お前大丈夫か?顔が真っ赤だぞ?」

「うん、大丈夫だよ。えっとね、さっきまで先輩と一緒にご飯食べてて……それから態勢崩して倒れたってことまでは覚えてるけど……。先輩そのあとってどうなったか覚えてますか?」

 え?何?どう見ても嘘ついてるように見えないし――もしかして緊張のあまり記憶が飛んじゃったとか?そんなことあるの?さすがに都合良すぎない?でも、どっちにしろ今がチャンスだ。

「ほら言ったでしょ?ただ倒れただけよ?神山君が思ってるようなことは一切してないからね。もうこの話は辞めましょ?ね?」

 強引に話を逸らす。この場にはバカ二人がいないからこれ以上ツッコまれることはないだろう。

「まあ、そこまで話したくないならいいけど、それよりあの二人はまだ来てないのか?俺らより先に来たはずなんだけど?」

 バンッ――力任せに机を叩く。あいつらが来てる?そう聞いた瞬間、何とも言えない感情が湧きつい物にあたってしまった。直也以外は教室で食べるって言ってたから安心してた。優香が発案者なのに……バカだった。

「せ、生徒会長さん、一体どうしたんですか?」

 私の突然のわけのわからない行動に少しおどおどしながら雛井さんが質問してくる。

「な、なんでもないわ」

 今にも暴走しそうな憤激の感情を抑えながら私は笑顔でそう答える。

「まあこんなことになって悪いと思ってるけど、とりあえずあいつらが来る前に早くご飯食べとけよ。またなんか言われるぞ?」

 あと少し残されたご飯を見ながら神山君が言った。

「生徒会長さん!もしかして自分でご飯作ってるんですか?」

 揃いも揃ってなんでみんな私がご飯を自分で作ってるって思うのか?何?女の子はご飯作れないとダメなわけ?それに私ってそんなにご飯作れそうな雰囲気出してる?雛井さんの方がよっぽどご飯作れそうだけど。

「わ、私?と、当然でしょ。だって私天才よ?」

 直也の前なので私は嘘を積み重ねる。優香が居なくて良かった。心の底からそう思う。

「おっくれましたー」


 美穂達がそう言いながらドアを開けて入ってくる。。良かった。今の聞かれてなかったかな?こいつらただ遅れただけだったの?怪しすぎる。実は見ていたとかそんなオチだったらマジで笑えない。

「って直也達まだご飯食べてなかったの?早く食べちゃってよ」

「はあ!?そもそもあんた達が全員来なかったのが悪いのよ」

 とは言ったものの、まだ食べれてないのは私が原因だ。

「そう言えば私全然知りませんでした」

 少し照れくさそうに雛井さんが言う。何言ってるんだ雛井さんは?

「な、なんのこと?」

 なんかとっても乙女チックな雛井さん。そんなに照れてどうしたのだろう?

 今まで知らなかった話?それってまさか――――彼女は悪意のない笑顔で言う。

「生徒会長さんが時んんっ――」

「落ち着け雛井!もう忘れたのかよ。だから雛井に教えるなっていったんだよ!」

 雛井さんは神山君に口を塞がれる。危なかった。予想してたこの展開とはいえ怖すぎる。さすがに少しくらい口止めしてあると思ったんだけど……。それとも口止めしててこの状態を作り出しているのか?雛井さんだし、それくらい普通にありそうで怖い。

「ちょ!その役目は私の役目でしょ?なんであんたがお姉さまの口に触れてんのよ!私に喧嘩売ってるわけ?それじゃ何の為にばらしたのかわからないじゃない。私もお姉さまの口塞ぎたいのに!」

 美穂が軽々と理解しがたいことを言い始める。でも、さすがね。確かにそうやってやれば自然に相手に触れることができる。私も直也に――ってバカか私は!まあでも、一応覚えておこう。やるわけじゃないけどもしかしたら必要になる時がくるかもしれない。

「はぁ~本音がダダ漏れだぞ?」

「あんたこそいつまでそんなことやってるの?」

 美穂が神山君を睨み付けながら言う。

「あ……悪いな、雛井」

 神山君が慌てて雛井さんから離れる。

「わ、わたしこそすみませんでした。内緒って言われていたのに……でも、その……おめでとうございます」

 照れながら申し訳なさそうに言う。やっぱり内緒だったんだ……。ここまで口が軽いっていうのもある意味凄い才能だ。そもそもこの会話を直也の目の前でやってる時点でこいつら頭どうかしてるんじゃないの?

 そう思い直也を見てみると時に気にした様子もなくご飯を食べている。相変わらずマイペースだ……。

「雛井さん、ありがとね。でも、まだ内緒にしといてね」

 私は直也にばれないように小声で言った。

「は、はい。任せてください。今度こそ内緒にしてみせます」

 雛井さんは気合い十分なようだ。

「うん、時葉君に聞こえるような声でそんなこと言ってたらすぐばれちゃうから……その、もっと小声で話そうね?」

「うぅ……申し訳ないです」

 これはダメっぽい。雛井さんの前では極力この話題を出さないように心がけよう。

「お姉さま大丈夫ですよ。どうせいつかはばれるし大丈夫です。それにもし今度言いそうになったら次は私が口を塞いで見せます。神山君。次お姉さまに触れたら覚えときなさいよ」

 ピシッと指を指しながら言う。こいつらみててほんとに飽きないな。第三者から見れたらの話だけど。

「べ、別に私神山君に抱きつかれても大丈夫ですよ――あわわわ、ごごご、ごめんなさい。そう言うつもりで言ったわけではなくて……美穂さんにも抱きついてほしいです」

 もう言ってることがめちゃくちゃだ。

「森里お姉さま……。そんなに私のことを……。大好きです!!」

 そう言いながらいつものように美穂は雛井さんに激しいスキンシップをとる。

「さよ、早くご飯食べて。時葉君はもうとっくに食べ終わったよ?」

 気が付けば直也はご飯を食べ終えている。いつ私の気持ちがばれるかわからない状態でご飯食べないといけないなんて気が気ではない。

「そうね、頑張って食べるわ」

 一体は私は食べるのに何を頑張るんだろう?言ってる自分ですらよくわからない。

 これから毎日のようにこれが続くと思うと気分が憂鬱になる。

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