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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第二章 私達のギルド
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顧問5

 カユっちは考えがまとまったのかようやく口を開いた。

「顧問って何?」

 さすがにこの場にいる全員が沈黙してしまう。あー……なんかもう無理だ。

「――なあ、もう一回確認するぞ?こいつほんとに教師なんだよな?」

「少し前に校長先生に仕事頼まれた時に聞いたから間違いないはずよ。多分……」

 そう言われると不安になってくる。でも、もし教師じゃなくてもこのメンバーでギルド作りますって校長に言えばギルド作成くらい承認してくれそうだ。あの校長は面白さメインだし、それは私も同じだけど。

「そ、その先生はどっか調子悪いんですか?喋り方が少し変ですけど……女の子なのに僕って言ったり変な言葉を使ったりしていて……」

 カユっちの喋り方が変だと思ったのか雛井さんが心配そうにしている。

「それ俺も思ってました。愛箱先生大丈夫ですか?」

 そして直也もそれに便乗して言う。そのうちなんか聞くかなって思ってたけど、中二病全開のカユっちに冷静にツッコむなんて……。雛井さんや直也からしたら僕っ子や中二病など多分理解できないだろう。

「ちょっ、失礼な人だね。僕は――」

「待ってください、お姉さま達。先生はちょっと頭がおかしい人なんですよ」

 こいつもこいつで相変わらずだな。これから顧問になってもらおうとしてる先生にとる態度じゃない。私もかなり馴れ馴れしく話してるから、人のこと言えないけど。

「ちょっと君ちょっと失礼じゃない?僕に頼み事しに来たんだよね?それなのに――」

「生徒会長早く話を戻して」

 こいつに命令されるのってなんか癪だ。でも仕方ない。

「顧問のことよくわからないんですよね?とりあえず雛井さんが持っている紙に名前書いてください」

 そう言うと雛井さんは少し迷いながらギルド申請用紙とペンをカユっちに差し出した。

「ここに名前を書けばいいんだね。よくわからないけど、任せて」

 カユっちは内容を確認もせずに名前を書いてくれる。相変わらずだなこの人……。差し出された書類の内容確認しないでサインするってさすがだ。この適当なところ、ゲーム時代と何一つ変わらない。もっとちゃんと考えて行動してほしい。

 まあギルドについては後で勝手に調べてくれるでしょ。別に説明するのもめんどくさいし説明しなくていいか。

「もう行っていい?早く戻らないとみんなが危ないから。じゃあまたなんかあったら呼んで。さらば」

 そう言い終わるとギルド申請用紙を持ったままカユっちはすぐさま自分の定位置に戻って行く。

「そ、そんな適当でいいんですか?」

「内容確認しない本人が悪いのよ」

「でも、今無理やりやらせてしまったような――」

 雛井さんは少し納得いかないような感じだ。今のやり方がいけなかったのだろうか?薄々感じてたけど私と雛井さんって相性最悪だと思う。雛井さんは性格は真面目、どんなことにも一生懸命に努力している。

 雛井さんと比べて私はどうだ?めんどくさいことは手を抜いて後回し。やれることをやらない。平気で人を傷つける嘘をつく。自分より頭の悪い人は格下だと見下している。怒ると周りの人を平気で傷つける。人を頼ろうとしない。肝心なところで唯一できる魔法すらできなくなる。

 うわー……自分でもありえないと思う。生徒会長じゃない私ってここまでひどかったのか……。

 真面目な生徒会長だと思っていた私が実はこんなクズみたいな人ってことに雛井さんは軽蔑してないだろうか?いや、雛井さんだけじゃない。神山君、時葉美穂、そして直也。みんなは私のことをどう思っているのだろう。心配になる。

「大丈夫ですよ。森里お姉さま。だって私達は先生に迷惑かけるわけじゃないんですよ?」

「そうだな、俺達がしっかりしてればいい話だろ。とっととギルド室に戻ろうぜ」

「そ、そうですよね」

 雛井さんは時葉美穂と神山君に言われ納得してくれる。この二人は雛井さんのことをしっかりと理解しているのだろう。生徒会長モードの時の私ならうまく話せると思うけど……。うーん、人間関係って難しいな。ギルドにいる時は普通でいようと思ったけどやっぱり生徒会長の時の私でいた方がいいの?そうすればみんな仲良く楽しくできる?それならいっそのこと――

「二人とも早くね」

 考えている間に気が付けば雛井さんと神山君が部屋から出て行っており、優香も出て行ってしまった。あいつずっと本読んでただけのくせに……。

「ちょっといい?」

 時葉美穂に不意に後ろから急に声をかけられる。

「な、何?」

 一体どうしたのだろう?またなんかやってしまったのだろうか?あーだるい。こいつと二人きりで話すことになるなんて。このギルドの中でこいつとだけは仲良くなれる気がしない。

「さっきは聞きそびれたけどほんとに直也のこと好きなの?」

 こいつに教えたところでどうせ私をバカにしてくるだけだろう。どうせ答えを知ってるくせに言う意味あるのか?

「なんであんたにそんなこと教えないといけないけない――」

「真剣に答えて」

 時葉美穂は私の言葉を遮り真剣に聞いてくる。私はその態度を見て黙り込んでしまう。なんなのこいつ……。

 でも、その眼差しは真剣そのものだった。今までのふざけた感じとはまるで違う。こいつのこんな真剣な表情なんて初めて見た。なんでこいつはこんなにも真剣にこんな質問をしてくるのだろうか?自分の弟だから?こんなふざけた私とは付き合ってほしくないのだろうか?

 ――――私にはよくわからい。

 真っ暗な教室でパソコンの音だけが静かに教室に響き渡る。私は少しの間考える。――そして私は答えた。

「好き……大好きよ」

 私は本当のことを伝えた。どうせもうばれてるし隠す必要もない。

「そっか……」

 時葉美穂は少し黙り込んで考える――――そして再び口を開いた。

「――あなたの過去に何があったのか知らない。でもこれだけは言わせて――直也は絶対にあなたを幸せにしてくれる。だから……あなたは何があっても直也を幸せにしてあげて」

 一体何を思ってそう言ってきたのだろう?普段から意味が分からないけどほんとに意味が分からない。

「ふん。あんたに言われなくなって絶対に幸せにして見せるわ。この私が命に代えてもね」

 絶対に直也は私が幸せにしてみせる。だって私は直也が好きだから。

「一応言っとくけど私あんたのこと嫌いってわけじゃないからね?これでもいろいろ感謝してるしね」

 時葉美穂はいつもの時葉美穂に戻っていた。さっきのは一体……。それに感謝って何を感謝してるのだろうか?

「じゃあなんで私に喧嘩売ってくるの?」

「うーん、リアクションが面白いから?」

「はあああああ――」

 何言ってるんだこいつ。ムカつく、優香が二人に増えたみたいだ。

「ほら、その反応が面白いのよ。これからは仲良くしましょうね。さよ先輩」

 いきなり名前で呼ばれてドキッとしてしまう。

「な、何言ってんのよ。なんでいきなり名前で……」

「ねえあんたさ。さっき森里お姉さまと自分は合ってないとか思ってなかった?無理にギルドマスターをやらせちゃった。どうせそんなふうに思ってなかった?」

 こんなやつに図星を指された。こんなやつに考えを読まれるなんて屈辱すぎる。

「別に関係ないでしょ!」

「はぁーあんた自分では気が付いてないかもしれないけどめっちゃくちゃ変よ?生徒会長の時より変」

 私が変?そんなことあるはずがない。これでもちゃんと色々考えながら行動してるつもりだ。

「変、変ってうるさいわよ」

「あんたはいろいろ考えすぎなのよ。もっと楽に考えて生きていきてもいいのよ?あのギルドにはあなたのこと嫌いになる人なんていると思う?自分だってそれくらい分かってるでしょ。だからさよ先輩はあのギルドに入ったんでしょ?違う?」

「で、でも……」

 私はいつになく弱気になってしまう。嫌いにならない。それは分かってる――それでも私は恐いんだ。

「私、さよ先輩はそのままでいいと思う。だってそれが普段のあなたなんでしょ?みんな普段のあなたが見たいのよ。特に直也なんてね。家でなんて言ってると思う?」

 直也と言う単語に私は過剰に反応してしまう。

「わ、私のことなんか言ってるの?」

「気になる?」

「あ、当たり前でしょ」

「あー。でもやっぱりこれは言えないわね……付き合い始めたら教えてあげるわ」

 こいつはこういうやつだったな……。ムカつくやつだ。

「なっ……いや、何でもないわ。そうね、これからはいろいろ努力するわ。よろしくね、美穂」

「よろしくね、さよ先輩」

 相変わらず変なやつだ……。でも、何となく美穂のことを理解できた気がする。

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