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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第一章 私達の出会い
10/50

魔法学校の生徒6

 翌日の放課後、俺と雛井と神奈月の三人は昨日掃除した部屋に集まった。

「凄く綺麗ね、昨日はごめんなさい。掃除を押し付けてしまって」

「き、気にしないでください」

 雛井が顔をそらしながら答える。ぎこちないこの感じ何とかならないのか?神奈月はクラスの誰に対してもこんな感じだったが雛井は違う。多分、入学試験のことを意識してしまっている。これからずっと同じギルドでやってくんだ。早くこの二人を仲好くさせてやりたい。見ているこっちが辛くなってくる。

「なあ、今日は何のために集まったんだ?これからクエストでもやってくのか?」

「それなんだけど――」

 その時、ばんっと部屋のドアが開く。

「つかさ!」

 突然クラスメイトの時葉直也が入ってくる。

「いきなりごめん。これ先生が直也にって渡してだって、いやー学校中探し回っちゃったよ」

 そう言いながら生徒手帳とスマホのようなものが手渡された。

 一応生徒手帳の中身を確認してみる。そこにはしっかりF級と書かれていた。もしかしたらA級とか書いてあったりとか期待してたんだけど……そんなことはなかった。

「わざわざ悪いな」

「別に気にしないでいいよ。なんか転校の手続きに不備があったからって書き直してだって。書けるとこだけ書いてまた出してって先生が言ってたよ」

 最初からそんなもの一切書いてないから当たり前のことなんだよな。

「つかさでもそんなミスするんだね。なんでも完璧にこなしそうなイメージがあったから少し以外かな」

 俺はこいつの中でどんなイメージなんだよ!でも、そう思われて悪い気はしない。

「それよりみんなこんなとこで何やってるの?」

「わ、私たちはこの三人でギルド作ろうと思ってるんですよ。そのもし良かったら時葉君も一緒に私のギルドはいってくれませんか?」

 雛井はいつになく積極的に直也に話しかける。人と話すのが苦手なくせに何を考えてるのだろう。俺とこいつが仲がいいからこいつも入れてやろうと思ったのか?でも……。

「あーそれなんだけど……」

「俺も今日の昼に一回つかさに誘われたんだけど、俺はもうはいるとこ決めてるんだ」

 俺が言おうとすると直也が代わりに話し出す。

「そうだったんですか……残念です」

 そう、俺は昼にこいつに声をかけていた。でも、こいつは自分の好きな人がいるギルドに入るって決めてるらしい。そういうのは俺も人それぞれだと思うし無理強いはできない。

「今更なんだけど、このギルドって俺達三人でやってくのか?」

「六人よ」

 まるで決まってるかのように神奈月が答える。確かにコミュニケーションの苦手な雛井のことを考えるとそれくらいが妥当か。ここにいるメンバー以外に当てはあるのだろうか?俺や雛井の知り合いは無理だとして考えると神奈月だけが頼りなんだが――どうみてもこいつにそんなに友達がいる気がしない。

「そ、そうだったんですか!?私、初めて聞きましたよ!この三人だけじゃなかったんですか?他にも三人も入るんですか?」

 三人もって……てか、六人しかいないのか?

「いや、十分少ないだろ?この三人以外は誰が決まってるんだよ」

「それはね――」

「ちょっと待ったああああああああああああ!!!!」

 神奈月の言葉を遮り大声で叫びながら再び誰かが部屋のドアが開いた。

「はぁ……はぁ……」

 その子は全力で走ってきたのか物凄く息を切らせていた。ふんわりとした長い黒髪。背は俺より少し小さいくらいで雛井や神奈月と同じで幼い身体つき。どことなく雰囲気が直也に似ている……ように感じる。

「あ、美穂さん」

 どうやらこの子は雛井の知り合いで美穂って名前らしい。雛井に知り合いがいたのか――そういわれてみれば昨日友達がどうのって言ってたな。本当にいたのか。まあ、この俺でも親友がいるんだからこいつにいてもおかしくはない。

「森里お姉さま!久しぶりです!昨日は会えなくってとっても寂しかったです!お姉さま大好きです!」

 そう言うと美穂と呼ばれた子は雛井に向かって思いっきり抱きつく。

「みみみ、美穂さん、そ、その、人前で抱きつくのはやめてもらえないですか?」

 顔を真っ赤にしかがら雛井が言う。同性に抱きつかれるのってそんなにやなことなのだろうか?俺も直也に抱きつかれるのを想像してみる――――確かにあんまりいいものじゃないな。

「がーん。森里お姉さまは私のこと嫌いなんですね……」

 美穂は抱きつくのを拒絶され、この世の終わりでもみたかのように落ち込んでしまう。

「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃ……」

「じゃあ私のこと好きですか……」

 美穂は泣きそうになりながら雛井を見つめ始める。

「そ、その、好きですよ……」

「つまり私たち両思いですね!!!!」

 そう言いながら再び美穂は雛井に抱きつく。この美穂ってやつ……雛井の性格をしっかり理解してる。

「美穂!!」

「あ、直也じゃん。なんでこんなとこにいるの?ま、まさかあんたお姉さまに惚れたんじゃないでしょうね!?」

「ってことは雛井さんがいつも美穂が言ってる人だったのか……雛井さんが迷惑してるだろ。離れろってば」

 そう言われて美穂は直也に無理やり引っ張られる。

「ちょっと!直也!今の見てなかったの?誰がどうみてもラブラブのカップルでしょ!」

「いやいや、そんなことないだろ!!女同士でカップルって…………」

「ちょっと待ってください!」

 この何が何だか分からない展開に呆然としていると二人の会話に雛井が遮る。

「その二人はどんな関係なんですか?」

「その俺たち……」

「待って!私が説明するわ!森里お姉さまは私の苗字わかりますよね?」

「確か時葉…………あっ……」

「そう!私たち双子なんです!!恥ずかしながら」

「いや、それはこっちのセリフだからな。その雛井さん、いつも俺の双子の姉が世話になってます。いろいろ迷惑かけてると思うけど、一応悪いやつじゃないんでこれらかも仲良くしてあげてください」

 直也はが深々と頭を下げる。

「い、いえ、そんな迷惑だなんてとんでもない私なんかにいつも構ってくれて」

「だからいつもいってるじゃないですか。自分なんかとか言わないでください!でも、そんな森里お姉さまも可愛いです。ぐへへ」

 美穂は変な笑い方をしながら再び抱きつく。全然あってなさそうな二人だけど案外あってるのかもな。

「そういえば何やってるんですか?こんな誰も人がいないとこに集まって」

「あの……ギルド作ろうと思っていて。美穂さんも良かったら――」

「森里お姉さまがいるなら私もギルドに入ります!!!!ってことでみんな、私時葉美穂(ときはみほ)って言います!よろしく!」

 こいつを見てると出会った時の直也を思い出すな。何て言うんだろう。このウザさ?確かに兄弟だと思う。が、こいつのウザさは直也の比じゃない。

「えっと、皆さんは美穂さんが入っても大丈夫でしょうか?」

「全然かまわないわ。雛井さんと付きまとってる一年生がいるって聞いてたから、来ると思ってた。私は雛井さんと同じクラスの神奈月優香。よろしく」

 そういや、滝見が言ってたな。まともじゃないやつしか雛井に近づかないって。まともじゃないやつってこいつのことか。

「俺も別にいいぞ。俺は神山つかさだ。よろしくな――」

 ――俺が発言した途端いきなり美穂が不機嫌そうになる。この時点で嫌な予感しかしない。

「いきなり感じ悪いこと言っちゃうんですけどー、なんで森里お姉さまのギルドにこんなのがいるんですか?お姉さまとどんな関係なんですか?」

 指をさしながらイヤイヤそうに言ってくる。いきなりこんなの扱いされてしまう俺。確かに好きな相手に自分の知らない男がいたらこんな反応してもおかしくない。

「俺はただの雛井のクラスメイトだ。あんまり気にするな」

「へえ~そうなんだ」

 時葉姉は棒読みでそう言った。まだ信じてない様子。どうしよ……はっきりいってめんどくさい。

「そ、その二人とも仲良くしてください!神山君はいい人ですよ!」

「えーだって――」

「私、友達と仲良くできない人はき、きらいです」

 強烈な雛井の一言。

「って言うのは嘘です!!えっと神山君だっけ?これから仲良くしましょ!」

 変わり身はや!!!!さすが雛井だ。こいつもこいつで美穂の扱いに慣れてやがる。

「お、おう。これからよろしくな」

「そろそろ私も話してもいい?」

 今まで話しに参加していなかった神奈月が話にはいってくる。こいつはあまり喋らないせいかいるのかいないのか時々わからなくなってしまう。

「とりあえずこの五人はこのギルドのメンバーでいいのよね?他にもいるの?お姉さまがいるのに変な奴は入れないでほしいんだけど」

「ちょっと待ってよ、美穂。俺はこのギルドには入らないよ?」

「え?直也はギルドいらないの?まあ私は森里お姉さまがいればいいんだけど……どうせ、行く場所もないんでしょ?ここでいいじゃない。知り合いが多いギルドの方が楽しく学校生活を過ごせるわよ?ここにいるのってみんな直也のクラスメイトなんでしょ?」

「だから俺は――」

「時葉君って確か来るときに見た黒髪のツインテールのメガネをかけた美少女がいるギルドに入りたいのよね?ごめんなさい。さっき教室で話してたのが聞こえてたの」

 神奈月が申し訳なさそうに言った。直也は俺以外にもクラスの男子にもこの話を結構している。普通にクラスで過ごしてくるだけでもこの話を耳にしてしまうだろう。多分クラスの半分以上のやつはこの話を知っている。

 それでも誰も見かけないって言ってるし、直也が見たってやつは一体どんなやつなんだろうか?

「そうだったんだ。別にいいよ。隠してるわけじゃないし、だから悪いけどこのギルドには――」

 コンコンと誰かが部屋をたたく音が聞こえる。今度は誰なんだ?いくらなんでも来客多すぎだろ。この教室ってそんなに人が集まるところなのか?

「どうぞ、開いてますよ」

 雛井が返事をするとゆっくりとドアが開く。そこには俺でも知ってる人が立っていた。綺麗なロングの黒髪のメガネの女子生徒。

「せ、生徒会長さん!!なんでこんな場所に?」

「私が呼んだの」

 ずっと本読んでるだけのこいつがどうやって生徒会長と知り合ったんだ?生徒会長はいろいろ気遣ってくれそうだし、俺みたいに一人でいたところを助けれたのだろうか?

「生徒会長と知り合いだったんですか?」

「まあいろいろあって」

 生徒会長は部屋に入ると黙って部屋を見回す。そのあとこの場にいる全員の顔を一人一人じっくり見つめた。

「――神奈月さん、少しいいですか?」

「何?」

「このギルドに入るって本気で言ってるんですか?冗談ですよね?」

 生徒会長のやつなんて言ったんだ?見た目はそっくりなのに教室で見た時とはまるで正確は別人だ。まさか生徒会長に嫌味を言われるなんて思ってもなかった。

 さっきは教室ではいろいろフォローしてくれたのに――さすがに横にいる雛井も驚いてるようだ。そして直也はなぜかぼーっとしている。どうしたんだこいつ?

「神奈月さんがギルドに入りたいって言うから一応見に来たけど……さすがにここまでくると笑いすら起きませんね」

「私はこのギルド以外ありえないわ。さよも入って。みんな信用できるわ」

「はぁ~学校内では一応先輩なんですから生徒会長か早田音先輩って呼びなさいって言ったでしょ?」

 ため息をつきながらそう言う。名前で呼んでるとこを見るとこの二人は仲がいいのだろうか?

「私はこの場にいる六人でギルドを作りたい」

 これがこいつの言っていた六人か。それならつじつまが合う。神奈月は直也や美穂を最初からこのギルドに入れるつもりだったのだろう。

「それは無理ですね。なぜなら私がこのギルドに入るつもりないですからね」

 生徒会長はそう笑顔で答える。

「ねえ、あんたいきなり入ってきていきなりなんなの?私達のこともよく知らないで。あんたみたいなやつこっちから願い下げよ!」

「あなたこそ誰なんですか?私は二年ので生徒会長をやってる早田音さよです。私を知らないんですか?」

「は?あんたのことなんて知るわけないでしょ?ばっかじゃないの?私は一年の時葉美穂。確かに美穂お姉さま以外はダメかもしれないけど美穂お姉さまをバカにするのはこの私が絶対に許さないわ」

 この状況でも雛井のことを考えてるのか。さすが好きって言ってることだけのことはある。でも、ここはもっと穏便に事を運んでほしかった。

「別にバカにしてるわけではないですよ。私が言ってるのは、なんでこんな無名のギルドに入らないといけないのか?って聞いてるだけですけど?」

「は?その言い方がめちゃくちゃバカにしてるように聞こえるんだけど?それにさっきも言ったでしょ?別に私はあんたに入ってほしくないんだけど?早く出て行ってくれない?」

「っち、めんどくさい」

 生徒会長は舌打ちをすると先ほどまでとは完全に違う口調になる。雛井が言っていたことを思い出す。生徒会長は違和感があるってわけわからないことを言っていたけど今ならわかる。きっとこっちが素の方なんだろう。

髪型変化(ヘアーチェンジ)

 生徒会長が指輪を付けた右手前に出すと生徒会長の下に魔法陣のようなものが現れる。――その瞬間、髪型が一瞬で変化する。さっきまでの腰までかかっていた長い黒髪が気が付くと二つに分かれ黄色いリボンで結ばれている。これは魔法なのだろうか?いろいろあったけど人が魔法を使うのを見るのは初めてだ。それにこの見た目ってさっき話していたツインテールの……ってことは――――。

「あの!」

 ここで今まで黙っていた直也が話に入ってくる。多分本人も生徒会長が自分が言っていた人ってことに気が付いているだろう。直也を見るとどことなく緊張している気がする。それに真剣な表情で……。

「あなたは誰?」

「えっと、俺は一年の時葉直也って言います」

「時葉?」

「はい!そこの時葉美穂と双子の弟です。姉が生意気言ってすみませんでした」

 そう言いながら直也は頭を下げ始める。

「直也!なんでこんなやつに謝ったりするの?どう考えても今のはこのバカな生徒会長が悪いでしょ!」

「あなた達、全然似てないわね。それで双子の弟君が私に何の用?私はあなたなんかに興味ないけど」

 もうすでに振られてしまっているようなことを言われてしまっている。直也のやつ今から一体どうする気なんだろう――

「お、俺、先輩のこと好きです!!」

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