過去。
“賢者”が死んだ後…
“彼”が生まれた時の話。
皆、誰にも言っちゃぁ…ダメだよ?
冷たい風が吹く地域で…小さな子供が産まれた。
だが、その子は生まれつき体が弱く…
生まれてすぐに命を落とした。
父親や母親……老人達が集まって話していた。
「まさか…こんな事になるなんて…」
「…ここは呪われている。…子供は生まれなくなった村だからな…」
「……あの術を…試してみます?」
「…いやぁ…それよりもぉ……良い方法が…ある」
その場にいた皆は、老人の言葉に耳を傾けた。
「昔、禁忌とされた事があった……他者の死体を使って…蘇らせる、という方法が。」
「成程…?」
「ですが、その方法では近い内に誰かが死にます!」
「…覚悟はできておる。………さぁ…どうする?」
皆は……考え始めた。
「おめでとうございます!第一子の誕生ですね!」
住民達は知らない。
「本当にお疲れ様。」
“彼”が“何”なのかを。
「おめでとう!」
どうやって“死んだ”子が“生まれた”のか。
「おめでとう!!」「おめでとう。」
“彼”はこの日
「おめでとう…エン。」
“不完全な者”として、生まれ変わった。
知られちゃいけない過去。
生まれた理由。
“彼”は“賢者”だった。




