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五話

異世界と聞くと何を想像するだろうか。

西洋の町並み、古めかしい武具屋、道行く異世界人、服装は質素、身分階級が根付く国家体制。

どれを思いつくかは知らないが想像し得る異世界要素の全てがそこにあった。

最初の町「ダナ」、異世界の登竜門と言われてもおかしくない程に異世界の雰囲気。


「最初は何をするんですか?」


丘から降りてダナの目前に立つ風の勇者一行、田上さんが不安そうにリーダーに問いかける。

最初に何をするかと言う一大決断を簡単に問う田上さん、恐らく自分でも考えが及んでいないのだろう。

確かに異世界の最初の町で何をするかなんて現代の学者でも頭を悩ませる問題。

こう言った問題は目覚めたあの場で浮かれていた小説愛読者諸君の方が得意分野なのかな。

そんな事を考えていると中里リーダーは魔法の地図を指差す。


「最初にやることはこれを売ってこの世界の相場を調べることだ」


やる事としては重要、未知の場所に来てやる事と言ったら価値観を調べること。

中里さんはこの世界の相場を調べようと言った、間違いではないが少し及ばないかもしれない。

確かに相場は調べなければいけないが最優先とまではいかない、異世界での順序は知らないが見知らぬ土地で真っ先にやる事は置かれている立場を調べる事「現場調査」だと思う。


「勇者だけの特別な力とかはないのか?」


ダナへ向かう前、息一つ切れていない石丸いしま大我たいがが勇者について問う。

俺らが貰った贈り物「役職」と「ステータス」。

その役職だが名前だけでゲームのようなスキル的な物は今の所確認できずステータスに至っては上がる気配もない。

つまり何もないに等しい。

石丸の質問は「勇者」と言う特別な役職なら何かあるのではないかと言うものだが俺は興味が起きない。

なぜなら俺自身何も起きていないから。

仮に中里さんの役職に変化が起きても俺の今後の役職ライフに影響はない。


「いや特に言うべきものはないな。恐らく役職に関してもこの町で何か得られるだろう、とりあえず周囲を警戒しながら町を散策しよう」


言うべきものはない。

と、言うことは役職の重要性はあまり高く無いのかもしれない。

つまりは役職、現代でもそれは自身の技術を表すもの、元々の素質から役職が選定されただけで追加の技術スキルは無いのかもしれない。

なら勇者が一番外れ役職なのかもしれない、石丸の「守人ガードマン」もわかりやすく防御特化という分担がある、「射手アーチャー」も本人が気づいていないだけで射る能力が高いかもしれないし、「薬師くすし」も調理的な感じで調合ができるかもしれないと見当は付く。

勇者とは……一体何が得意なのだろうか。

役職というシステムに疑問を持つ一同の中、中里さんは一歩を踏み出す。


「ではそれも含めて調べてみよう、最初の町は情報があるだろうからね」


町に行くのは良いが文字通り門前払いを受ける可能性だってある。

その懸念点を胸に最初の町ダナへ歩く



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