嵐が来た! 嵐のマルマン
テクニカルシティに暴風雨の予報が出ていた。
テレビ画面からニュース速報が響き渡る。
「皆さん!嵐が来ました!怖いよー助けてー!」
曖昧過ぎる予報に視聴者は混乱した。だがれみと葵は隣町に雲が広がり、暴風雨が吹き荒れてるのを発見した。葵がその様子に疑問を浮かべた。
「おかしいわね。嵐ってこんな境界線がハッキリしてる物かしら」
葵が空を指差すと、隣町にかかってる雲が綺麗に途切れて四角形になってる。違和感のあるかかりかただ。
「それが一体どうしたの?」
れみが聞いたその瞬間…突然雲が広がり、大量の雲があっという間にテクニカルシティへ侵入してきたのだ。
れみたちに降り注ぐ豪雨。
「ぎゃああー!ショートするー!!」
頭を覆って慌て回るれみ。そう簡単にしないだろ…と葵は一応持ってきていた傘を広げてれみに相合い傘をした。
いくられみたちでも雨には敵わない。雨雲を吹き飛ばしてやりたいが雨のお陰で飲み水ができてる事をついこの間知ってから雲を散らすのはやめると誓っていた。
「こんな日は家でゲームに限るな」
こういう時、れみはいつも好きなゲームを片っ端からやりまくるが、あるゲームの最高難易度だけクリアできない。
「んだよー攻略法もでねーしどうしろと言うんだ」
れみが画面内で戦ってるのは、風に吹かれながら滅茶苦茶な速度の敵に近接攻撃を打つという、プレイヤーが言う無理ゲーとなっている。
「風を起こしてる敵を倒せば良いんだけど…ん?」
攻略法を口にしつつ、れみは窓の外を見た。雨水が窓を叩き、風か吹き荒れている…。
れみは、この違和感のある嵐の正体をつかんだ。
「そうだ!」
れみは嵐の中、家から飛び出した。
家の外では既に暴風雨が吹き荒れてる。
「何してるんだれみ!」
博士が飛び出してくるが、れみは振り替えってドヤ顔を見せた。
「私には秘密兵器があるんですよ…」
れみは濡れながら一旦地上に降下すると、何かを拾った。
それは傘だった。
「私を守りたまえ!!」
傘を広げる!
…が傘は風に吹き飛ばされ、虚しく研究所へ転がり落ちた。
「私の秘密兵器がぁぁぁ」
れみは物凄い顔をして無念の叫び。幼い少女とは思えないすごい叫び声だ。
金の髪はずぶ濡れ、お気に入りの星マークの服も濡れに濡れてとても着心地が悪い。
それでもれみは町を探索し出す。
「この嵐は何者かの仕業に違いない!」
それからあちこち飛び回ったが、特に怪しい者はいない。
というか、そもそも嵐のせいで通行人すらいなかった。
「おかしいな…」
雨水を払いつつれみは考えた。
「あ。まだ探索してない所があった」
探索してない場所。
それは遠目では何が起きてるか分からない森だ。
れみは森へ向かった。
森からはいかにも怪しい霧が発生していた。
森へ突入するれみ。
森の木々も嵐に煽られ、激しく揺れ動いている。
動物もモンスターも巣に隠れてるのかどこにもいない。こんな日に外を彷徨くのはれみくらいだ。
濡れた茂みを掻き分け、ゆっくり進んでいくと、何か丸い足が見えた。
「…!あれは」
れみは茂みから顔を出す。目の前には巨大な丸い生物が立っていた。そいつは両手から風、頭から霧を発生させていた。
「見つかったか。おでは嵐のマルマン!」
嵐のマルマンはこちらに気づくなり手からの風をこちらを向け、吹き飛ばしてくる!必死に飛行で抗うれなだが凄まじい風力だ。まるで近付けない。
「おではこの町を吹っ飛ばしてやる!」
更に風を強める。
森の木が数本抜け、テクニカルシティでも屋根が欠けたり窓が割れたりと恐ろしい騒ぎに。
これ以上はさせない!
ある作戦を思い付いたれみは両手に力をこめ、風に負けず立ち上がる。
そして、れみは飛び上がり、嵐のマルマンの風向きを利用して加速する。
つまりれみはグングン嵐のマルマンから離れていってるのだ。
何のつもりかと首をかしげる嵐のマルマンだが、気が狂ったのかと解釈して嘲笑う。
「バカめ!どこまで飛んでいく気だ?ふふ、この間に町を吹き飛ばしてやる!」
風はいよいよフルパワーに差し掛かろうとしている。
このままでは本当に町が飛ばされてしまう…!
その時、嵐のマルマンの顔面に何かが張り付いた。
「うお!?何だ!?」
嵐のマルマンはそれをひっぺ剥がす。
飛んできたのは桃色の髪に桃色ワンピース、桃色の瞳の少女、風船ちゃんだ。
「フワフワ漂ってたら、酷い風がふいて飛ばされてきたんですけどー」
「はは。何だ?こいつ」
嵐のマルマンの手が風船ちゃんで塞がり、風が一時的に止む。
それを狙い、何者かが銃撃をしかけた。
銃弾は嵐のマルマンの足に命中する。
「な、何だ!?」
驚いて下を見下ろすと、散弾銃を構えた葵が。
「何しやがる!お前も吹き飛ばしてやろうか!?」
「これだけじゃないわ」
葵は遠くの方を見つめる。
「うおりゃー!」
遠くかられみが飛んできた!その方向はさっき飛んでいったのとは逆方向。
そう、地球を一周してきたのだ。
風船ちゃんや葵が来たのは予想外だが、れみの作戦は成功だ。
嵐のマルマンは体当たりをもろに喰らい、一撃で気絶した。さすがの彼でも予想外だった。
「危なかったわね」
れみと嵐のマルマンをひきずる葵。壊された町を見つめている。
れみは引きずられるがままに空を見上げた。
「いやあ、今回ばかりは危ない事件だった。それにしても…今日はこんなに良い天気だったんだね」
空を見ると、嵐のマルマンの雨雲はすっかり消え失せ、青空が広がっていた。
「でもたまには雨の日も良いなー。ねえ葵は晴れと雨どっちが好き?」
「雪が好きよ」
「は?晴れか雨かと聞いてるんだっつーの!!!!」
れみは嵐のごとく怒りに荒れ、葵を殴りつけるのだった。




