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第28話 私のわがままSIDEユイナ

更新しました~!!

宜しくお願い致します~!!


 私、ユイナ・シャトルモンは杏輔様のお屋敷でお世話になっている。


 かつて私と姉のタマは故郷の村に生贄にされそうなった。


 飢饉を収めるための生贄として、神様に奉納するのだと。


 だから私とお姉ちゃんは村から逃げように去ろうとした。


 でも村の人達は生贄の私達を


 捕まったら殺されてしまう。


 そんなことを思いながら、


 私は昔から身体が弱かった。


 故に常に怖いくらい恐怖に、身体も心も蝕まれて倒れてしまった。


 自覚はしていた。


 身体の弱い私はいつか限界が来ると。


 だから覚悟をきめて、


「お、お姉ちゃん……わ、私を置いて……逃げて。わ、私の代わりに幸せになって……」


 お姉ちゃんにそう伝えた。


 私は最期の時までお姉ちゃんのお荷物にはなりたくなかった。


 私のせいでお姉ちゃんまで生贄にされて殺されてしまったら、


 私はきっと怨念となって、この世界を彷徨うしかなくなってしまうから。


『嫌にゃ! ユイナを見捨てて生きるくらいなら死んだ方がマシにゃ!』


 だけどお姉ちゃんは、


 そう言って、力の抜けた私を背中におぶる。


『だからユイナも頑張るにゃ! 生きて……絶対にウチら生きて、幸せになってやるにゃ!』


「お姉ちゃん……」


 そう言って、お姉ちゃんは歩みを続ける。


 私は悔しかった。


 結果的に私はお姉ちゃんの荷物のままだったから。


 そんな私はお姉ちゃんの背中に張りついたまま、熱にうなされるだけ。


 私は1人神様に願う。


 本当に神様がいるなら、どんなことでもするから、お姉ちゃんを助けて下さい。


 そう思った矢先、私達の村では見たことがないくらい立派な屋敷が見えた。


 お姉ちゃんは必死にそこに向かった。


 ただでさえ、疲れが溜まっているはずなのに、心臓の鼓動が大きくなるのが分かる。


「――あ、あの! 妹を……助けてほしいにゃ!」


 自分のことよりも、私を優先した。


 違うんです。私なんかより、お姉ちゃんを優先して下さい。


 お姉ちゃんには、しあわせになってほしいんです。


 でも、私の体力も限界で声は出ない。


 意識は酩酊として、ここから先は記憶がなかった。


 結果として私達は杏輔様《ご主人様》に命を救われた。


 嘘だと思うかもしれないけれど、


 杏輔様の屋敷の温泉に入っただけで、あんなり酷かった体調が数秒で治ったから。


 もしもこの世界に神様がいるのなら、きっとこの人がそうなんじゃないかと思った。


 少なくとも、私達にとっては……飢饉を収める代償として生贄をさせるような神様よりはよっぽど。


 そういえば、ご主人様の屋敷のお風呂に入るようになってから、体調を崩したこともない。


 だいたい、調子が悪くなる前兆もあったけれど、それすらも見えなくて……


 やっぱり、杏輔様は神様なのかも。


 うん。きっとそうに違いない。


「わ、私も……ご主人様の役に立ちたいな……」


 そう思っても、私に何ができるのだろう。


 私はシルフィさんと違って大人な身体付きはしていない。


 だからご主人様をお風呂で労ろうとも、きっと私の身体じゃ満足はしない。


 それにお姉ちゃんと違って、誰かとお話するのは得意じゃない。


 杏輔様とお話するのは好きだけど、やっぱりまだまだ緊張しちゃう。


 さらに言えば、身体が弱いせいか運動だって得意じゃない。


 この中で私は誰よりもできない子。


 でも得意じゃないことを理由に逃げたくなんてなかった。


 今度はきっとお姉ちゃんだけじゃなくて、杏輔様《ご主人様》やシルフィ様の荷物になってしまうから。


 そんなのは嫌だ。


 だから私はご主人様にお願いをした。


「あ、あの……私も畑を作るお手伝いしても……いいでしょうか……?」


 ご主人様は驚いた顔をして、


『畑を? 俺はいいけど……大変だと思うけど本当に大丈夫?』


 と聞いてきた。


 だから私は、


「だ、大丈夫です……! わ、私も杏輔様の役に立ちたい……です!」


 と嘘を吐いた。


 大丈夫なんて保証はない。


 でもここで大丈夫じゃないなんて言ったら、私は変わらないから。


 ご主人様はきっとそんな私の嘘を見抜いていたんだと思う。


『それなら……無理をしないと約束してくれるなら、お願いしようかな』


 と優しく声をかけてくれた。


 ご主人様のその優しさが私にはとても嬉しかった。


 心配をされていると分かっても、


 いつかはご主人様に期待されるような……ここにいる人達と肩を並べて暮らせるような……私はそんな存在になりたい。


 だから私は頑張ることにした。


 畑いじりも魔法の練習も。


 繰り返しになるが不思議なことに、体調を崩すことはなかった。


 だから、私は今までの遅れを取り戻すように頑張った。


 結果として、植物はすごく良く育った。


 ご主人様は私のおかけだって言ってくれるけれど、


 実際はこの土地のおかげな気がした。


 心なしかここで育っている植物も嬉しそうだったから。


 その後はダーツという小さい矢を投げる遊びをした。


 ご主人様が真ん中に投げる度にシルフィさんの服が破けていったのは驚いた。


 ご主人様も驚いていた。


 そのおかげで私だけが驚いていた訳じゃなかったと安心した。


 とはいえ、ご主人様はダーツも上手かった。私はてんでダメだったけれど。


 おかけでご主人様は色々なものをお待ちになっている方だと分かった。


 少なくとも私が持っていないもの全部。


 そんなお方の側に入れるのは、とても嬉しい。


「こんな日々がずっと続けばいいな」


 私は独り縁側に座り、星を見上げ呟いた。


 ご主人様から頂いた、すごく着心地の良い寝巻きに身に纏って。


 昔では考えられないほどふかふかで温かい布団にも入れる。


 だけどそんなことよりも、ご主人様の優しさが嬉しくて、


 そんなご主人様の役に立ちかった。


「そうだね。続いたらいいね」


「ご、ご主人様……!?」


 ひ、独り言って聞かれると恥ずかしい。


「ごめんね。聞こえちゃったから」


「い、いえ……と、とんでもないです……」


 私はそう言いながらうつむいた。


 頬が熱い。


「俺もユイナちゃんがここで幸せに暮らせるように頑張るよ」


 ご主人様はそんな嬉しいことを言ってくれる。


「わ、私も頑張ります……」


 ご主人様に決意表明。


 ご主人様からしたら、ただの軽口だったかもしれない。


 だけど、


「ご、ご主人様。も、もしも……頑張ったらいっぱい褒めてくれますか……?」


 私は欲張ってしまった。


 こんなにも良くしてくれているのに、きっと私は悪い子。


 だけどご主人様は優しい笑みを浮かべて、


「え? そりゃもちろんだよ」


 ご主人様はそういうものだから、


 私は高望みをしてしまった。


「頑張ったら……あ、頭とか……撫でてくれますか……?」


「ははは……それくらいでよければ、いつでも撫でてあげるから」


 ご主人様はまるでお父さんのように大きな手で、


 私の頭をわしゃわしゃと撫でる。


「ご、ご主人様……!?」


 私は頭を撫でられて驚いた。


 だって私はまだ頑張れていないから。


 それなのに、


「ユイナちゃんは十分頑張ってるから」


 ご主人様はそんなことを言ってくれる。

 

 正直に言えば、嬉しかった。


 でもこのままご主人様の言葉に甘えてしまったら、


 きっと私は頑張れなくなってしまうような気がした。

 

『そ、そんなことは……な、ないです……』


 だから、


『私はもっと頑張れます』


 言葉にはならなかった。


 頭の中でぐるぐると回ったまま。


 そんな中でも、ご主人様は私の頭をなで続けて、


「ユイナちゃんはまだまだ子供なんだから、好きなだけ甘えていいんだよ」


「――い、いいんですか……?」


「もちろん。ダメだったらそんなことは言わないよ」


 私は少し泣きそうになる。


「まぁ、子供じゃなくても甘えたいときに甘えてもらった方がいいんだけどね」


 ご主人は「ははは……」と困ったように笑う。


「あ、ありがとうございます……」


 ちょっとくらい……。


 せめて今日くらいはちょっとくらい。


 お言葉とご主人様に甘えたい。


 今だけは……私だけを撫でてほしい。


 そんな誰にも聞かせられない想いを胸に、


 私を撫でるご主人様の手に身体を預けるのだった。


 

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