File86 惑星ソアクルへの貨物輸送① 嬉しいニュースは気分がアガる!
何とか書き上がりました。
惑星キストリーデに到着すると、連絡を受けたらしいジュゼール・レプリカント社の社員が待っていた。
なんでも、会社の敷地内にある病院で数日間検査をし、バイオ体の調整が終了してから載せ換えをするそうだ。
カミリアはなんども頭を下げていた。
その姿を見送りながら、銀河標準時をチェックすると、馴染みのチェーン店『サンライトイエローリップル』の営業時間を過ぎていた。
仕方ないので、船で軽く食事をすまし、寝ることにした。
その翌朝。
ありがたい大ニュースが報道された。
『以前より問題視されていた、ライフライン請け負い企業であったスターフライト社の後任企業が決まりました。後任に決定したのは惑星グリフムに本社をもつ、フォトンクラウド社で、銀河標準時で3日後の10月22日に正式な調印が首都惑星ヴォルダルで行われます…』
ありがたい!
これでストライキによるタダ働きや、急な旅客の依頼も減るはずだ!
俺は手早く朝食をすますと、意気揚々とカウンターに向かった。
「銀河貨物輸送業者組合、惑星キストリーデ支部へようこそ!」
キストリーデの受付嬢は普通の人間だった。
「惑星ソアクル行きの依頼はあるかな?」
「少々お待ちください。…3件ございますね」
「どうも。えーと…」
彼女が見せてくれた一覧のなかに、『日用雑貨品』『ぬいぐるみ』『工業用部品』の3つがあり、その3つともが積載重量規定内で、大きさも通常コンテナのサイズ通り。
さらに嬉しいことに、3つまとめても積載重量規定内で、配達規定日時まで一緒!
別々のところの依頼でこれはかなり珍しい。
「これ!3つ同時に受けます!」
「かしこまりました。では、腕輪型端末を検査機にお願いしますね」
別の奴に奪われないように、すぐさま腕輪型端末を検査機にかざすと、無事に依頼を受けることができた。
すぐさま停泊地に向かい、積み込みを開始する。
30分ほどで積み込みが終了したので、ついでに買い出しを30分ですましてから各部のチェックを終え、キストリーデ宇宙港を出発した。
出発してからの2日間は本当に平穏だった。
読書にはじまり、作り置きや茶菓子の作成。
情報遊覧にトレーニングと、実に平穏な2日間だった。
これが俺の本来の生活だ。
だが、3日目の朝に、それをぶち壊す事態がおきた。
救難信号だ。
大概ろくなことにならないが、応じないといけないのが辛いところだ。
超空間から脱出してから現場に向かうと、じいちゃんのグレートウォールの半分くらいだろうか、少なくとも俺の船よりは、はるかにでかい船がそこにいた。
しかし、こんな船なら色々対策をしてあるだろうに、なんでこんなことになってるんだ?
「こちら貨客船ホワイトカーゴII。救難信号を傍受してきた。そちらの状況を教えてくれ」
『ありがたい!こちらは旅客船フレイムホイール!現在長距離通信が使用不能で、救難信号しか出せない状態なんだ!』
画面に現れたのはオペレーターらしい中年の男性で、表情からさっするに、かなり焦っている様子だ。
「了解。こちらを中継してそっちにつなぐ。警察でいいか?」
『ああ、頼む』
俺は直ぐにGCPOに回線をつなげる。
『はい。こちらGCPOソアクル支部です』
『こちらは旅客船フレイムホイール!現在ポイントS―353572dwで、トラブルにより自力航行不能!同時に長距離通信が使用不能になり、現在救難信号を傍受してくれた貨客船の長距離通信を経由して通報している』
『死人や怪我人はでているのか?』
『それは問題ない。だが、早めにたのむ』
『了解。9時間後にはそちらに救助隊が到着する。それまで頑張ってくれ!』
GCPOとの通信を終えると、男性は安堵のため息をつき、ブリッジには歓喜の声が響いていた。
『ありがとう!とりあえず一安心だ。それと』
そう男性がお礼を言い、まだなにか話そうとしていた時、
『すみません。もう一度回線をお借りできますか?』
画面に、白い肌・紫の眼と髪と鱗を持った、女性のドラコニアル人が姿を現した。
「それはかまわないが、あんたは?」
『申し遅れました。私、フォトンクラウド社最高経営責任者、ファルナ・ジョルカストと申します。当社のソアクル支社の方にどうしても連絡したいのです。回線を貸していただけますか?』
「ああ、かまわないよ。番号は?」
『ありがとうございます!』
お礼と同時に番号が送られてきたので、直ぐに繋いでやる。
『毎度ありがとうございます。こちらはフォトンクラウド社ソアクル支社でございます』
『こちらは旅客船フレイムホイールです。現在ポイントS―353572dwで、トラブルにより自力航行不能になっています。同時に長距離通信が使用不能になり、現在救難信号を傍受してくれた貨客船の長距離通信を経由して連絡しています。支社長のルガート氏をお願いします』
『かしこまりました!少々お待ちください!』
『フレイムホイールが動かなくなったというのは本当かね?あ、社長!御無事ですか?』
『ええ。お客様もクルーも私も無事よ。それより、遅延になってしまうお客様のフォローの準備をお願い!』
『はい。既に代替輸送用の客船の準備を始めております』
『こちらのお客様のための代替もお願い。この船は修理に時間がかかるわ』
『了解しました』
『お願いね』
こちらも、通信を終えると安堵のため息をついた。
しかしこれで、いやに焦っていた理由がわかった。
もしあのまま俺がこなかったら、調印式には間に合わなかっただろう。
今でもギリギリな感じだ。
『ありがとうございました。これでなんとかなりそうです』
「まあ、困った時はお互い様って事で」
それにしてもこれからどうしたもんだろうかと思う。
救難信号を傍受したからには、救援が来るまでその場に留まるべきだが、いかんせん配達規定日時に余り余裕がないからだ。
配達規定日時ギリギリというのは避けたい。
そこにジョルカスト嬢が、
『そちらは配達があるでしょうから、出発してもらってかまいませんよ。防衛用の装備は生きていますし、酸素や水・食料は十分にありますから』
と、言ってくれた。
「そう言ってくれるとありがたい。前に救難信号の船に付き添った時に、依頼主に許可はもらったものの、かなり嫌味を言われたからね」
なので、ありがたくそうさせてもらうことにした。
実際、ヴィオラ・ザバル達を救助した時には、依頼主に許可はもらったが、嫌味は言われるし、報酬まで減らされてしまった。
あのときの事を考えると、付き添いをしなくていいと言われたのは非常にありがたい。
「じゃあ、失礼する。調印式の成功と、ライフライン請け負い事業での発展を祈ってるよ」
「御安心下さい。前任企業のような不様はさらしませんわ」
ジョルカスト嬢の言葉は、実に頼もしいものだった。
用語説明:作品内の暦・日付・時間について
作品内の暦は、星域連邦発足時に制定された『銀河正史歴』が採用されており、
現在は銀河正史歴1382年になります。
1年は、連邦・共和国・帝国共通して、1年=365日である。
これは太古の生存惑星(地球)の公転期間1周を基礎としている。
ただし、2月が30日まであり、1月・3月・8月・10月・12月は31日まである。
それ以外の月は30日である。
1日は24時間換算。
久しぶりのドラコニアル人が登場です。
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




