File84 惑星キストリーデへの貨物輸送③ 正体がわかる都市伝説もある
お待たせいたしました
今回は、発見されるまでのアンドロイド側の視点です
視点変換 ◇HMSー28K"カミリア"◇
私は狭いカプセルの中で目を覚ましました。
到着したのかな?
そう思い、私は身体を起こしました。
私はカミリア。全身機械体のアンドロイドです。
惑星ミンツトレニスから惑星キストリーデへ輸送されています。
「あれ?なにここ?」
ところが、カプセルを出た私の目の前に広がったのは、コンテナが並んだ、さらに大きなコンテナの中のようなところでした。
ちなみにコンテナの中のようなところは真っ暗ですが、私の目には暗視機能があるので良く見えます。
これはもしかして、輸送中に起動してしまったのでしょうか?
たしかカプセルに入る前に、到着を確認してから、お兄さんが遠隔で起動する手はずになっていたはずです。
なのにどうして私は起動しているんでしょう?
とりあえず私は、コンテナの中を探ってみることにしました。
近くには、私と同じようにカプセルにはいったアンドロイド達が、静かに起動の合図が来るのを待っていました。
その光景は、まるで棺桶のようで、ちょっとだけ気味が悪いです。
そしてそれから少し離れたところには、また別のコンテナがありました。
私は気になって、そのコンテナを開けてみました。
するとそこには、アンドロイドの頭・胴体・手足がバラバラの状態で納めてありました。
「ひっ…」
思わず大きな悲鳴が上がりそうになりましたが、なんとか我慢できました。
このままカプセルに入って待機電源モードになっても良いのですが、なんだか勿体無いような気がしてきました。
どうせなら船の人に頼んで、操縦室とか客室にいさせてもらえないか頼んでみましょう。
そう思って、エアロックらしい扉に近づいた瞬間、
「動くな!」
ドアが開き、男の人が私に銃を向けて来ました。
「うわあっ!」
私は思わず悲鳴をあげ、転んで尻もちをついてしまいました。
男の人は、それでも私に銃を向けたまま、私に質問をしてきました。
「お前。間違いなく積み荷のアンドロイドだな。なぜ起動している?」
その表情は、お父さんが私をみるときのように、恐い表情をしていました。
「あっあのっ!どうやら起動タイマーのスイッチが入っていたらしくて…。それで起きちゃったんですけど、誰も居ないし、コンテナには首や腕がバラバラに入ってて恐くて…」
だから私は、正直に起こったことを話しました。
「タイマー?てことは、依頼者が意図的に仕組んだってことだな?」
男の人は銃を向けたままで、さらに厳しい顔をしました。
「どういうつもりかしらんが、この事はきっちり報告させてもらう。罰則は覚悟して貰うぞ」
「ちっ違いますっ!わざとタイマーにしたりしていません!」
私は必死に訴えます。
お兄さんが罰を受けるなんて絶対にだめです。
「まあ、事故にせよ、過失にせよ、故意にせよ、連絡はさせてもらう。ついてこい」
そういうと、男の人は私に銃を向けたまま扉からでていきます。
扉をでると、そこは更衣室のようなところで、右端にハシゴがありました。
男の人はするすると登っていくと、
「上がってこい」
と、声をかけてきました。
上がった先は、ソファーセットと螺旋階段のあるラウンジでした。
すると、男の人は右手にある扉を開けました。
「入れ。機器には触るなよ」
そこは船の操縦室でした。
初めてみるその光景に、私はちょっとわくわくしていました。
「えーと依頼書は…あった」
そういって男の人、多分船長さん。は、お兄さんの会社に連絡をしました。
『はい。ジュゼール・レプリカント社・開発研究室です』
「開発研究員をしているオービル・スジン氏はいらっしゃいますか?」
『スジンは僕ですが…なにかごようで?』
画面には、いつもの白衣に疲れた顔をしたお兄さんが表れました。
「私は銀河貨物輸送業者組合のショウン・ライアットと申します。実は、輸送中のアンドロイドが勝手に起動しました。本人は故意や殺害目的はないといっていますが、そちらがどういう意図で、輸送中のアンドロイドを起動するように仕組んだのか教えていただきたいのですがね?」
『え?そんなまさか!』
お兄さんが驚いていたけれど、信じないかもと思ったので、私も姿を表すことにしました。
「実際に私が起きてます!タイマーがセットされてましたよ?!」
『え?カミリア!なんで起きてるの?!』
私の姿をみて、お兄さんはようやく事態を把握しました。
『本当に申し訳ありませんでした!輸送用のカプセルのセットや、部品パーツの積み込みを徹夜開けのぼーっとした状態でしていたので、タイマーが入っていたとは思わなくて…』
画面モニターの向こうでお兄さんは船長さんに平謝りしています。
「そちらで新しく開発した虐殺アンドロイドでも寄越してきたのかと、思いましたよ」
船長さんはかなり怒っているようでしたが、
「私はそんなことはしませんよ!」
私はしっかりと抗議をしておきます。
『昔そういう事件があったんだよ』
お兄さんは申し訳なさそうな表情で、船長さんが怒っている理由を、文書通信で送ってきました。
なるほど、そんなことがあったなら納得です。
「ともかく、この子は停止状態にさせてもらっていいかな?」
船長さんが正しい要求を突きつけます。
アンドロイドの私は、再び待機状態になり、積荷として運んで貰うのが正しいのです。
仕方ないと思っていたところに、
『すみません。実はその…彼女をそのまま起動状態にしておいてもらえませんか?目的地に着くまでは船の掃除や身の回りの世話なんかをさせてかまいません!実働のデータが取りたいんです!お願いします!代金は倍額をお支払いしますから!』
お兄さんが船長さんにそんなお願いをしていました。
そのお兄さんの無理めな御願いに、
「はあ…そのかわり、アンドロイドがなにかしでかした場合は、全額弁償してもらいますからね」
船長さんは渋々ながらも、私が起動することを許可してくれました。
『わかりました!ありがとうございます!』
「ありがとうございます!」
私とお兄さんは、そろって船長さんに頭を下げてお礼を言いました。
そして私に向かって頭を下げてきました。
『ごめんねカミリア。僕のミスでとんでもないことになっちゃって』
お兄さんは一応反省しているようですが、一言言っておかないといけません。
「だから徹夜はほどほどにって、口を酸っぱくして言ってたのに!」
今回のことは、お兄さんが徹夜を何日もした後に、準備をしたのが原因です。
もっとしっかりと反省してほしいところです。
『本当にごめん!でもこれで、宇宙旅行の雰囲気が少しは楽しめるんじゃないかな?』
「そうですね。家事はしないといけませんけど」
船長さんが、渋々ながらも起動していることを許可してくれたのは、本当に嬉しかった。
『じゃあね。しっかりやるんだよ』
「はい。頑張ります!」
お兄さんとの通信が終わると、船長さんが話しかけてきました。
「さて、さっさと寝るか。君、えーとカミリアだっけ?君も休んでくれ。もう歩き回らないでくれよ」
「はい。すみませんでした」
船長さんはそういって操縦室から出ると、私を手招きし、
「ここをつかってくれ。カプセルの方がいいなら貨物室に降りてもいいからな」
「はい。ありがとうございます!」
お客さんに使うであろう客室に案内してくれました。
客室はベッドとテーブルと椅子がおいてあり、小さな設置型テレビがあるだけのシンプルなものでしたが、短いあいだでも、私の部屋だと思うと、ちょっと嬉しくなりました。
それからの船の中の生活は、本当に楽しいものになりました。
船長さんは、私が1つ用事をこなす度にきちんとお礼をいってくれたり、アンドロイドの私の頭を撫でてくれたりと、今までの生活とはかけ離れた日々だった。
これからはこんな生活が送れるのだと思うと、嬉しくてたまりません。
視点終了
主人公の出番が少ない話です
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