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File75 惑星ミンツトレニスへの貨物輸送① 善良なはず。の、会社からの依頼と、便乗してきた人達

ソンブレロ社は決して、

某雨傘会社のような会社ではありません!

ゼッタイ!(笑)

惑星ルニール宇宙港(ポート)を襲った『帝国貴族による侵略事件』は幕を閉じ、日常がゆっくりと始まりつつも傷痕がまだ残る状態、そんな状態だからこそ仕事は増える。

「凄いなこりゃ…」

「流通が止まってた上に、定期便の船が壊されたりしたらしいからねー。で、なにやんの?」

レイリアに見せてもらった依頼の一覧(リスト)には、様々な方面、様々な荷物の輸送依頼がひしめいていた。

なかには、貨物室でいいから1分でも早く目的地に向かってほしいという、ピーキーな依頼まであった。

そのなかで目に止まったのは、()()ソンブレロ社からの依頼で、惑星ミンツトレニスへの衛生用品の輸送依頼だ。

荷物の内容は、フェイスタオル・バスタオル・石鹸・ボディソープ・歯ブラシ・歯みがき粉・髭剃り・清拭剤・洗濯洗剤・ハンドクリームなどで、積荷の重量も150tと積載量内、期日もたっぷりと余裕がある。

俺としてはどうにも気になるが、たしかに悪い噂も聞かないので、受けてみてもいいだろう。

「これにするか」

俺は一覧(リスト)の1つを選んで、レイリアに渡す。

「あ、この惑星ミンツトレニスいきの依頼なんだけど、便乗希望者が何人もいるみたい。どうする?」

定期便の運航再開の目処がついていない為か、1日も早くという、人が多いのだろう。

「俺の船は急ぎには向いてない。しかも乗せれるのは4人まで。しかも定期便が復帰したらそっちの方が早いが、それでもってんなら構わんが」

「じゃあちょっと聞いてみるよ。5分ほど待ってて」

はっきりいってなかなか厳しい条件だと、我ながら思ってしまう。

急いでいるから便乗をするのに、時間がかかるのだから本末転倒だ。

なにしろ、惑星ミンツトレニスまでは、俺の船では6日間もかかってしまう。

ところが、

「返答きたよ~。OKって人が4人いた」

それでもいいという物好きは、意外に多いのだと、改めて認識することができた。

「荷物の搬入は?」

「今から連絡して、10時半には終了すると思う」

現在銀河標準時(いまのじかん)は午前9時30分。

客がのるならこちらも準備があるし、向こうも(せわ)しないだろう。

「じゃあ出発は13時って伝えてくれ。搬入はすぐに連絡を頼む」

「時間取るんだね」

「買い出しもしたいし、急いでるとはいえ、向こうも少しは時間に余裕があった方が良いだろう」

「わかった。そう伝えるよ」

そういいながら、レイリアはフィナンシェをまた1つつまみ食いしていた。


搬入はスムーズに終了。

出発時刻までに、生鮮食品売場(マーケット)で買い出しを終わらせ、軽く昼食をすませる。

そして出発時刻の10分前には、便乗希望者が全員集まっていた。

その4人のうちの1人目は、ビステルト人・グアーマ種=熊獣人のおじさんで、

「どうも初めまして。私、スリーカース社に勤めております、サルビロ・ソイグともうします」

あの『ディアマンド・オーシス』を作ったスリーカース社の人だった。

俺は差し出された名刺をうけとり、そういえば名刺なんか持ってないのを思い出した。

貨物輸送業者(トランスポーター)のショウン・ライアットと申します。すみません。仕事柄名刺はあまり使わないので…」

「いえいえ。気にしないでください。私も名刺をお渡しするのが癖になっちゃって…」

ソイグさんは、細目で温厚そうな顔をしており、スリーカース社のミンツトレニス工場の工場長とは思えないくらい、なんとも腰の低い感じの人のようだ。

取り敢えず名刺は今度作ることにしよう…。


2人目と3人目は、レシア・ルマーノ、ナアナ・ルマーノの親子なのだが、

「えっと…大丈夫ですか?」

「はい。安定期に入っていますし、予定日は2週間も先なんです」

「私お姉ちゃんになるんだよ!」

なんと妊婦さんと5歳位の女の子だった。

移動して大丈夫なのかなと思うのだが、惑星ミンツトレニスに単身赴任している旦那さんに会いにいくためらしく、定期便が停滞してる現在、ベッドがあった方が安心だからと、俺の船を選んだらしい。


4人目は、アキラ・パルケストスという女性の医者だ。

外科の専門らしいが、妊婦さんがいるこの状況だと、非常に頼もしい。

しかも、積荷の受け取り先である総合病院への着任らしい。

その彼女が全員に向かって、

「あー先に言っときたいんだけど…私、シュメール人なんだよね」

そういって、身分証明書を開示し、男に変身した。

Dr.パルケストスは、俺のように髪が伸びたり身長が変わったりすることなく、豊かだった胸がしぼみ、顔つきがすこし鋭くなったぐらいの変化だった。

おそらく、『月のもの』がきた時、混乱させないために自分からシュメール人だと名乗ったのだろう。

「『月のもの』はしばらく来ないから大丈夫だから」

そして笑顔を振り撒きながら、すぐに女に戻った。

どうやら基本性別は女性のようだ。

「えー改めて自己紹介します。船長のショウン・ライアットです。そっちのドクターと同じシュメール人です」

取り敢えず自分も改めて自己紹介をし、変身してシュメール人だと明かしておく。

「やったー!久しぶりに患者さん以外で同族にあったよー♪」

ドクターは驚いた表情をした後、嬉しそうに俺の手を握ってきた。

自己紹介が終わった後は、船に乗ってもらい、まずは部屋割りとなったのだが、

「私はここのソファーベッドをつかいますから、女性3人はお部屋へどうぞ」

ソイグ氏は早々に部屋を女性3人に譲り、

「私とこの子は1部屋でかまいませんから」

ルマーノ親子は2人で1部屋を宣言し、残りをドクターがという、平和的かつあっさりと決まってしまった。

そして出発の時刻になり、惑星ミンツトレニスへと出発した。


船が無事に超空間(ハイパースペース)に突入して安定すると、Dr.パルケストスがコクピットにやってきた。

「ちょっといいかな?」

「かまいませんが…なんでしょうか?」

入ってくるなり、そのまま副操縦席(コ・パイ)に座り、にこにこしながら俺に話しかけてくる。

随分と馴れ馴れしいなとは思いつつも、

「パネルやレバーとか触らないで下さいね。触ったら生身で宇宙空間に放り出しますからね」

「あっ…はいっ!」

と、釘を刺しておき、滞在を許可した。

さすがに生身で放り出されたくないのか、パネルの方に向かっていた手を、膝の上に置いた。

「それで?何か御用ですか?」

「いやーさっきも言ったけど、患者さん以外で久しぶりにシュメール人と会ったからさーちょっと…おしゃべりしたいなーって…」

こっちはこれでも仕事中なのだから勘弁してほしいが、一応お客だし、多少は退屈なのは間違いないので、

「少しなら付き合いますよ」

と、許可をだした。

それからのDr.パルケストスは、堰を切ったようにおしゃべりを始めた。

どうやら『彼女』は普通のヒューマン同士からの取り替え子(チェンジリング)らしく、回りにシュメール人が居なかったため、通信(ネット)ならともかく、現実(リアル)ではなかなか会えない環境だったらしい。

ちなみにおしゃべりの内容の大半は、シュメール人あるあるだった。

ラインナップとしては、

・基本性別関係なく、男女両方の服を着せられる

・基本性別の同性から告白される

・文化祭の時は絶対逆の性別を要求される

・女性のときに女性から恨みがましい目で見られる

・男性に、「男でもあるんだからいいだろ?」と、迫られる

・服装はジェンダーレスなものを選びがち

・制服、礼服が男女両方必要だから金がかかるしかさばる

・『月のもの』が近いとプールやサウナにはいけなくなる

・食べ物を買うときは女の姿の方が得

など、シュメール人でなければ体験し得ない話題ばかりだった。

他にも、

「髪伸びるんだ!いいなー♪」

「男女であれだけ姿が変わると色々面倒じゃない?」

「そういえば、貴方の女の姿って、私がいまハマってるソシャゲのキャラに似てたような…?」

など、一部関わりたくない話もでてきたが、(おおむ)ね楽しい話に花が咲いていたと思う。


そしてその話が終わると、頭を悩ませる案件が待っていた。

主人公以外で絡みがでた初めてのシュメール人です。


なんとなく落ちが読まれるのはわかっています



ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です 最新話をまだかなーと日々待つのも楽しいですがやっぱり新章よめると格別です!
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