File52 惑星オルランゲアでの休暇④ 地獄の時間
お待たせしました。
ソーシャルゲームのダウンロード数が少ないのでは?
と、ご指摘をうけたので、100倍にふやしておきました。
惑星オルランゲア・ミャセエリアにあるエンファ市。
昨日俺が行ったビーチのある市であり、本日の目的地であるエンファ市市民文化ホールのある所でもある。
その文化ホールの入り口に、信じられないくらいの人の列が出来ていた。
「ヘキサグラムガーデンの時もすごかったが、同じぐらいいないかこれ?」
その人数に唖然としていると、
「ライアットさ~ん!!」
ロナが声をかけてきた。
もちろんだがいつもの制服ではなく、スニーカーにジーンズにTシャツというラフなスタイルだった。
「時間通りにきたんだけど…大丈夫なのか?」
はっきりいって異様な人数だ。
ヘキサグラムガーデンの時は、コロニーを使うから多くても不思議はなかったが、こんな惑星上の施設でこの人数は信じられなかった。
「少ないくらいですよ」
そう軽く答えながら、ロナは俺が眺めていた長蛇の列を無視し、全く別の方向に向かっていた。
「おい。並ばなくていいのか?」
「あっちは一般列でお客さんが並ぶ列。売り手である私達は、準備の関係で先に入る必要がありますから、並ぶ列が違うんです」
「なるほどな」
そういって連れてこられた列で待っていたのは、ロナを含めた7人の女性達だった。
「みんな~つれてきたよ~!」
その列に並んでいたロナの友人は、なかなか個性的なメンバーだった。
まず全員が傍らにキャリーバッグを持ち、空の収納箱を用意しているという出で立ちだった。
「よしっ!戦力確保!」
「ロナっちグッジョブ!」
「これでなんとかなりそうね」
「美人さん…巨乳…うふふふふふふ…」
「あそこ回って~ここ回って~あそこも行かないと~」
「えっと、お釣りのお金の準備よし。保存用のボックスよし…」
こちらを向いて、なぜか喜んだりするメンバーと、我関せずとばかりになにかをやってるメンバーに分かれていた。
「えーでは、今回風邪でダウンしたティミーの代わりに売り子を引き受けてくれたショウン・ライアットさんです」
「どうも、ショウン・ライアットです」
ロナに紹介され、取り敢えず挨拶をする。
「初めまして。私はジェリ。いやー来てくれて助かったよ♪」
ジェリは、灰色の髪をポニーテールにした単眼のサロック人で、背も高く、スポーツ系の人なイメージがあった。
「アンです。けっこう大変だとおもいますけど、がんばりましょう!」
アンは、どこかのご令嬢のような雰囲気があった。
しかしその眼には、情熱がたぎっているようだった。
「はあ~❤️美人で巨乳…揉みたい…しゃぶりた…痛い!なにするの?!」
「お客さん相手に失礼な事をしようとしないの!」
興奮しながら迫ってきた白い髪に狐の耳と尻尾のついた狐獣人に、茶髪で黒目のOLみたいな人がげんこつを落とした。
「ごめんなさい。私はアーニャ。こっちはネーヴェ。うざいと思ったら遠慮無く叩いていいから」
「アーニャちゃんひーどーいー!」
どうやらアーニャがネーヴェのおさえ役らしい。
「ユエラです。よろしくお願いします。えーと後は…」
ピンクの髪をしたユエラは、挨拶もそこそこに、パンフレットとのにらめっこを再開した。
「イリスと申します。今回は急なお願いをきいていただき、ありがとうございます」
「いえいえ。私もロナさんにはお世話になってるので」
丁寧にお辞儀をしてきたイリスは、水色の髪に花の髪飾りをしている。
言動や態度からして、まともな人のカテゴリーに入るのだろう。
おそらく年齢も職種もバラバラなのだろうが、奇妙な一体感のようなものを醸し出していた。
挨拶をしてからそんなに時間が経たないうちに、売り手=サークルの入場が始まった。
会場内は、『持ち寄り』こと『新華祭・武道大会前日の祝宴』の会場そっくりだった。
というか、『持ち寄り』こと『新華祭・武道大会前日の祝宴』の方が、これを真似しているが正しい。
ロナ達に与えられたスペースは壁際にあった。
そこには、かなりの数の段ボールがおかれてあり、ロナ達はテキパキと段ボールをあけ、開店準備を整えていく。
それは回りの連中も一緒だった。
入ってから30分も経たないうちに、ほとんどのサークルが開店準備を済ませてしまった。
「じゃあ先に準備してくるね。ライアットさんも一緒にきてくださいね」
ブースにアンとイリスの2人を残して、ロナ以下4人が俺の腕を掴んできた。
「なんのまねだ?!売り子をするんじゃないのか?!」
「もちろん。そのための準備をするんですよ♪」
その時のロナとその仲間達の顔は、笑顔であるにも関わらず、恐怖しか感じなかった。
~これより先はしばらく音声のみでお楽しみください~
「さー全部脱いでくださいね♪」
「なんで全部脱がないといけないんだよ?!」
「脱がないと着られないでしょう?!」
「やめろっ!ズボンをっ!うわっ!よせっ!やめっ!ひいっ!」
「脚、細くて長い…肌すべすべ…♪うひひひひひ!」
「下着が男物じゃないですか!仕方ない、見せパン2枚重ねして穿いてもらうか」
「じゃあ次上ね」
「やめろっ!脚に頬擦りするな!なんで上着に手をうわっ!」
「うほーっ!眼福眼福!」
「水着の時も凄かったけど生だと迫力が違う!」
「ブラも無しにこの張り具合は羨ましい…。縁起物だからちょっと揉ませてもらおうっと♪」
「「「「私も!」」」」
「いーやーっ!」
更衣室は、俺にとって、正に地獄だった。
「「「「「完成~♪!」」」」」
しかしロナ達は、やりきった感を出しながらハイタッチをしていた。
ようは着替えをさせられただけだが、完全におもちゃにされてしまった…。
ノリが中学時代のクラスメイト女子と全く一緒だった。
そしてさせられた格好は、
濃い茶色の編み上げブーツ
黒のニーハイソックス
黒のミニスカート
水色で前会わせの着物。ただし腰ぐらいまでしかなく、袖口は白いギザギザの柄になっている。
さらにいえば、ところどころフリフリがついたりしている。
髪型は青いリボンを使ってポニーテールにされた。
腰には晋蓬皇国風の剣、もちろんレプリカだろうが。が差してあった。
「なんなんだよこれは?」
「それはですね!今大人気のソーシャルゲーム『ソードプリンセス 剣姫招来!』に出てくるキャラクター、オオキタ・ソーナちゃんのコスプレです!似合うとは思ってましたけどまるで瓜二つですね!」
「知らねえよそんなの…」
ソーシャルゲームがなんであるかは知っているが、やったことはないし、タイトルだって知りもしない。
はっきりいって何かの呪文にしか聞こえん。
「ではトイレに行ってからブースに戻りましょう。これから3時間は動けなくなりますからね」
普通は着替える前にいくんじゃないかと思ったが、それを口に出す気力が俺にはなかった。
ブースに戻ると既に客がいた。
どうやら彼女達の知り合いのようで、同じようにサークルで参加しているらしい。
「おー!ソーナちゃんだ!なに?!超ゲキ似なんだけど!あ、写真いい?」
そのお客の女の子は、俺に許可をもらう前に既に撮影を終えてしまった。
「後でもっかい撮らせてね~」
そしてそのままあっという間に立ち去ってしまった。
「あの人マイペースで有名なんですよ」
呆然としている俺に、イリスが説明をしてくれた。
そうしているうちに、会場内に放送が響き渡った。
『第142回オルランゲアコミックマルシェ、開催致します!』
用語説明
ソーシャルゲーム『ソードプリンセス・剣姫招来』:株式会社ダステムから発売されたソーシャルネットワークゲーム。
プレイヤーはマスターとなり、様々な剣姫を召喚し、邪剣士を倒していく。
簡単な操作性と爽快なゲーム制。
有名人気同人作家達をキャラクターデザイナーに起用するなど話題性もあり、全共和国150億ダウンロードを突破した大人気ゲームである。
ソーシャルゲームはやったことはないので、色々適当です。
以前おすすめいただいた本がなかなか見付からなかったのですが、近所の図書館にありました!
絶賛読書中です。
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