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File181 惑星ダグロウゼクへの貨物輸送① 人間、切羽詰まると思考がおかしくなる

 襲撃犯が逮捕されたこともあり、ホテル内部は自由に出歩けるようになったので、ホテルのレストランで昼食をとり、ホテルの中のゲームコーナーなどで時間を潰すことができた。

 そして夕食時にまたレストランに向かったところ、その途中の廊下で、アディルに話しかけてきた子供達の家族がいた。

「あ!でっかい姉ちゃんだー!」

「ちゃんだー!」

「こら!やめなさい!」

 子供達はアディルを見つけると、飛び付いてしがみついたりするので、母親が子供達を引き剥がしていく。

「すみません!昨日といい今朝といい…。ヤワン!サラ!お姉さんに飛び付いたりするんじゃない!」

 父親も子供達を捕まえてこちらに謝りつつ、子供達にお説教をしていた。

「私は頑丈に設計されているので大丈夫ですよ」

 アディル本人は、体格のこともあり子供達に飛び付かれたところでびくともしていない。

 子供達はアディルに掴まって楽しそうにしている。

「設計って…貴女アンドロイドなの?」

 アディルの言葉に、母親が驚いた様子でアディルに話しかけた。

「うちのアディルはバイオロイドですよ」

 俺がアディルのことを説明すると、

「こんなに感情豊かな上にうちの子供達がこんなに懐くなんて…」

 母親はなにやら考え込み始め、父親も何故か難しそうな表情をしていた。

「なーなー姉ちゃん!俺達今日は飼育員体験してきたんだぜ!」

「したんだぜー!」

「それは凄いですね!」

 そんな様子を他所(よそ)に、子供達は実に楽しそうだった。


 そうしてレストランに到着すると、子供達が同席をねだってきたのだが、特に反対する理由もないので同席させてもらうことにした。

 そこで初めて自己紹介をした。

 このバーリーン一家は、父親ラスは証券会社の部長で、母親のクララは専業主婦。

 息子ヤワンは幼稚園で娘のサラは未就学だ。

 俺達が貨物輸送業者(トランスポーター)だと知ると、子供達2人はやたらと宇宙空間の事を質問してきた。

 そうして賑やかな食事が終わり、部屋に帰る途中にバーリーン夫妻が真剣な表情で俺に声をかけてきた。

「あの…ちょっとよろしいですか?」

「何でしょう?」

「アディルさんを…あのバイオロイドの彼女を譲ってもらえませんか?」

 奥さんの突然の言葉に、俺は思わず目を見開いてしまった。

 そこに畳み掛けるように、旦那が声をかけてくる。

「実は、妻の負担軽減と子供達の安全の為に、以前からアンドロイドの購入を企画していたんです。彼女は性格設定も非常に良いようですし、なによりあの子達があんなに懐いています。我が儘なのは承知の上です。どうか、彼女を譲ってもらえませんか?」

 以前にもアディルを寄越せと言ってきたゴミがいたが、あれとくらべれば物言いが天地の差だし、話の内容から、家族として受け入れるつもりなのだろう。

 だが返事は決まっている。

「お断りします。あなた方だって、自分の家族を売ってくれと言われて『はいわかりました』って売れますか?」

 その俺の返事に、夫妻は深くため息をついた。

「…そうですね…そのとおりです。大変失礼しました。発言を撤回させてください」

 どうやらダメ元の考えだったらしく、あっさりと諦め、深々と頭を下げてきた。

 夫妻の様子から考えると、以前にベビーシッター関係で何かあったのかもしれない。

「アディルはパートナードールズ社のバイオロイドですから、そちらで探してみてはどうですか?」

 アディルの後継機(いもうと)達なら、性格の似た感じのもいるだろうから、お眼鏡に叶うのもいるはずだ。

「はい。そうしてみます。本当に失礼を致しました」

 夫妻は再度深々と頭を下げてきた。

 

 そして翌朝。

 俺とアディルは朝早くから停泊地(アンカーレイジ)に向かい、1日ぶりのホワイトカーゴⅢ(わがや)に戻ってきた。

 ありがたいことに、俺達が戻って来るまで警察が警備をしていてくれたらしい。

 それでもきちんと隅々までチェックをし、ようやく出発することができた。


 目的地である惑星ダグロウゼクは惑星カブルスからは660光年離れていて、距離が10分の1になる超空間(ハイパースペース)航法を使用しての時速1光年なら、到着まで2日と18時間後はかかる計算だ。

初日はなにごともなく航行できていたのだが、2日目の朝に突然救難信号(SOS)の信号が届いてきた。

 今までの経験からすれば、厄介事以外の何物でもないので行きたくないが、船乗りの矜持としては行かないわけにはいかない。

 仕方なく超空間(ハイパースペース)から脱出すると、救難信号(SOS)の信号の座標に向かった。

 そこにいたのは、巨大な定期船だった。

 船の外壁に穴が空いていて、噴射口(ノズル)にも大きな破損があった。

「こちら貨客船ホワイトカーゴⅢ。救難信号(SOS)の信号をキャッチしてやってきた。そちらの船名と状況を教えてくれ」

『こちらは定期旅客船レダントン号。救難信号を出した瞬間に誰かきてくれるとはおもわなかったよ。破損の原因は超空間(ハイパースペース)内部でのデブリとの接触による噴射口(ノズル)と本体壁面の破損だ。応急措置と隔壁で本体壁面はなんとかなるが、問題は噴射口(ノズル)だ。このままだと航行ができない』

 こちらの通信に応対したのは、年齢や雰囲気からして船長のようだ。

 こういった客船はデブリとの衝突を想定しているはずだが、それでもここまで破損するとなると、かなり大きいデブリに衝突したらしい。

 ちなみに、通常はなにもない超空間(ハイパースペース)にも、極わずかながらデブリがある。

 超空間(ハイパースペース)内部で破壊された船体の部品や破片。たまたま入り込んだ石などがそれだ。

 その99.9%は排出されるか燃え尽きるかだが、極たまにその0.1%が残ってしまう場合がある。

 それらを発見した場合、破壊できるなら破壊しておくのが、超空間(ハイパースペース)を航行する時のマナーであり、破壊できなかった場合は管理局および警察に通報する義務が生じる。

 そして発見されていないものが、こうした事故の原因になる

『幸い通信は大丈夫なので既に救援は呼んである。食料は余裕があるし、医療施設もあるし、緊急を要する事案もないから安心してくれ。駆けつけてくれて感謝する』

「それは良かった。こっちの船じゃ、押すのも引っ張るのもできないからな」

 厳密に言えば、押すのも引くのも出来なくはないが、動き出すまでに大量の燃料を食ってしまい、こちらが動けなくなってしまう。

 さらには、相手の船を安全に航行させるためのノウハウも装備もない。

『こちらの事情で足を止めさせてしまってすまなかった。気にせずに出発を…』

 『して欲しい』そうして言おうとした船長の言葉を、ブリッジにいた乗組員の声が遮った。

『ちょっと!ブリッジは関係者以外立入禁止ですよ!』

 どうやら乱入者がいるようで、船長の後ろから様々な声が響いてくる。

『船長にあわせろ!私は急いでるんだ!』

『私の方がいそいでるのよ!貴方は遠慮しなさいよ!』

『救難信号(SOS)でやってきた小舟がいるんだろう?私を回収して直ぐに出発するように言え!』

『勝手なことを言うな!俺が乗るんだよ!』

 船長は緊急を要する事案もないと言っていたが、乗客達にはあるらしい。

 とはいえブリッジで騒がれたのには頭にきたらしく、

『静かに!乗組員以外はすぐにここから出ていってもらいましょう。出ていかないというなら、航行妨害と判断して、宇宙空間に生身で放り出しますが?』

 と、乱入してきた乗客達を一喝した。

所用があり、投稿が遅くなってしまいました。


来週にはコロナウイルスワクチンを接種予定なのでお休みさせてください。

病院の先生に『今回は副作用出る率高いよ』と、脅されたので…


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします



余談ですが、

ホームセンターにいった時に、三○のラ○エボか駐車場に入ってきたので、どんな走り屋の兄ちゃんかと思ったら、70か80ぐらいのおじいちゃんが颯爽と降りてきて、助手席にいた奥さんらしいおばあちゃんをエスコートして店に入っていき、思わずカッケエと思ってしまった…

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新感謝です 余談被りな話なのですが。 真っ赤なマツダロードスター初期型にトム・クルーズばりのイケオジ、サングラスで颯爽と乗るのは良いんですよ!? こちらダンプ屋で真後ろに信号で付くじゃない…
[気になる点] > 660光年離れていて、時速1光年なら到着まで2日と18時間後はかかる計算だ。 は?桁がひとつ...
[気になる点] 最後の方みたいだ、身勝手なやつばっかり出てくるな 宇宙船の乗客ってわがままじゃないとなれないんか
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