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File160 惑星エオエデでの休暇③ 友人だからこそ厳しくするか、友人だから甘くなるかはその人次第

旅館の部屋にもどると、直ぐに仲居さんがやってきて食事を用意してくれた。

なんでも『懐石料理』というコース料理らしいが、従業員が出入りするのは落ち着けないだろうという理由から、全部まとめてならべることが多いそうだ。

食事が終わると、タオルや下着の代えの入ったバッグを持って、アディルの要望通りに温泉に向かうことにした。

ここの温泉は宿の本館から離れた所にあり、渡り廊下で繋がっている。

その長い廊下を渡ってやってきた温泉は、男女が別れた露天風呂だった。

まずは身体を洗い、それから湯船へ。船(うち)の浴室も晋蓬皇国(しんほうおうこく)風にしてあるが、やっぱり規模的には比べ物にならない。

あと、やっぱり温泉とお湯の違いは大きいと確信した。

そうしてゆっくりと温泉を堪能していると、誰かが入ってきた。

「ようやくぬけだせましたね…」

「あんな乱痴気騒ぎにいつまでも付き合い切れないわよ」

それはさっき知り合ったケビンの会社の人、サメラ・ブレビアさんとエリトリア・クリエスさんだった。

「こんばんは」

「あら、さきほどはどうも」

「あ。ケビン先輩の知り合いの人。お二人もお風呂ですか…」

俺が挨拶をすると、ブレビアさんは普通に湯船に入ってきたが、クリエスさんはなぜか固まってしまった。

「あの…どうかしましたか?」

「イエ。ナンデモナイデス…」

アディルが声をかけると、ぶつぶつ言いながら湯船に沈んでいった。

「お疲れですね」

「お酒がはいるとやかましいんですよあの人達…」

ブレビアさんは疲れた表情をしながら会社の人間の愚痴を言い始めた。会社勤めは本当に大変そうだ。

もし俺が会社勤めしていたら耐えられないかもしれない。

そう考えると、しっかり勤め挙げているケビンは尊敬するし、貨物輸送業者(トランスポーター)を選んだ俺自身の選択も悪くはなかったのだと再確認した。

すると次の瞬間、

「不沈艦隊めぇぇぇぇぇっ?!」

と、訳のわからない事を叫びながら、クリエスさんが風呂から飛び出ていった。

いったいなんだったんだ?


ブレビアさんの愚痴に付き合いながらの温泉を堪能し、部屋に帰る前に旅館内の土産物を冷やかしに行ってみたところ、

「あ、ショウン!アディルちゃん!いいところに!」

慌てた様子で、顔を赤くしたケビンがやってきた。

「どうしたんだ?って酒臭っ!…ああ、宴会やってたんだから酒臭いのは当然か。何の用だ?」

困惑する俺に対して、ケビンの奴は真剣な表情をむけてくる。

「一緒に来てくれ!」

「はあ?どこに…」

「とにかく一緒にこい!」

ケビンの奴はいきなり俺の腕を掴み、どこかへ走り始めた。

酔っぱらいには下手に逆らわない方がいいのは経験からわかっているので、取り敢えず従い、折を見て反撃なり脱出するなりしてやろう。

そして俺が連れて来られたのは、ケビンの会社の宴会場だった。

ケビンは勢いよく襖(ふすま)を開けると、

「待たせたな!こいつが俺の中学時代の彼女だ!」

と、大声を出した。

当然だが、宴会場には社員の人達がいるわけで、「マジか!」「嘘だろ!ケビンの奴に!」「絶対脅したかなんかしたのよ…」「あれ…どっかで…?」などと、社員の人達の視線とざわめきが俺に集中する。

「今も別れた訳じゃないから、付き合ってるに等しいかな~」

それを見据えたように、ケビンがまた大声をだす。

おそらく、『昔、恋人が居たか居なかったか』みたいな話になり、酒の勢いもあって『居た』って答えて信じて貰えなかったから俺を探してたんだろうな。

というか、さっき会った同僚に友人として紹介してただろうに。

そうして、社員の人達に対してマウントをとっているケビンの頭を、

「恥ずかしい事をするんじゃない!」

と、叩いてやった。

「なんだよ~。照れなくたっていいじゃんか~」

しかしケビンの奴は怯む事なく抱き付いて来やがった!こいつ、酔うと抱き付く癖でもあるのか?

まあ、女性の社員さんに抱き付くよりはマシか。

「すみません。部外者が乱入してしまって。私もたまたま仕事でこちらに宿泊してまして」

取り敢えず社員さん達に説明をする。

「いえいえ。ライアットさんにご迷惑をかけてしまって申し訳ない。おいケビン!早く離れろ!」

先輩のゴーズルさんが引き剥がしにかかるが、

「やだ~!このふかふかは俺のだー!」

ケビンの奴が胸に顔を埋めてきやがった!

「こら!深呼吸するな!ひっ!舐めるんじゃない!」

酔っぱらいとはいえ、ここまでされたら冗談じゃない。急所にでも一撃いれてやろうとした次の瞬間、

「マスターになにをしてるんですかー!」

ケビンの急所に、アディルの蹴りが炸裂し、

「ぐはっ!」

ケビンは力なくその場に崩れ落ちていった。

「例えご友人でもマスターに危害を加えるなら容赦しません!」

アディルはふんすと仁王立ちしてケビンを睨み付けたあと、心配そうな様子で俺に近寄ってきた。

「大丈夫ですかマスター?」

「ありがとうアディル。助かったよ…」

アディルのおかげで助かったのはいいんだけど…。ケビンの奴は大丈夫なのか?

俺を救出するためとはいえ、アディルの力で急所蹴られたわけだから、ちょっと心配になる。

「手加減したから大丈夫です!」

俺の心配を察したのか、アディルが手加減をしたことを報告してきた。

とはいえ、倒れているケビンをそのままにしておくわけにはいかないので、

「こいつの部屋ってどこですかね?」

取り敢えず本人の部屋に放り込むことにした。



視点変換 ◇ケビン・コールマン◇


目が覚めると、頭の後ろがやけに柔らかく、真っ暗な視界の端に、旅館の天井がちらりとだけ映っていた。

「起きたか?」

そして聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あ…ショウン…俺…」

その時、俺はショウンに膝枕、しかも、頭のてっぺん

をショウンの腹に押し付けているタイプの奴をしてもらっているのを理解した。

「お前が俺を襲ったから、アディルが俺を守るために殴ったんだ」

その言葉に、俺は自分がやってしまった事を思いだした。確かにあれは駄目か…。

「すまん。迷惑かけたな」

でもあの時の、今目の前にある柔らかいものの感触はよく覚えている。

風呂上がりっぽかったからいい匂いもしてたしな~。

「俺じゃなかったら確実にブタ箱行きだからな」

確かにあんなことを女性社員の誰かにやらかしてたら、マジでヤバかったな。

よくよく俺は、この男でも女でもなく、男であり女である優しい友人には、色々と助けて貰っている。

「それを阻止してくれた形になったのには感謝してるよ…」

俺は本当に心から感謝をしている。

小学校・中学と楽しく過ごせたのはこいつのおかげでもある。

「そうか。じゃあ今度は反省をして貰おう」

ショウンはそういうと、いきなり膝枕をやめ、部屋の扉を開けた。

そこには、怒りの表情の先輩と同僚達が待ち構えていた。

そして俺は忘れていた。

この優しい友人は、怒らせるとめちゃくちゃ怖いし容赦がないという事に。


視点終了

おまけ


視点変換 ◇エリトリア・クリエス◇


なんなのよあの凶悪な不沈艦隊(おっ○い)共は!

ブレビア先輩があるのは知ってたわよ!あの2人も浴衣だったから見た目で大きいのはわかってたわよ!

生だとなんであんなに迫力があるのよ!

私だってある方だと思ってたのに…。

ちくしょーっ!


視点終了





今回かなりおバカな展開になってしまいました…

つかれてるのかもしれない…


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします


お詫び

来週から年末年始にかけて色々な予定や仕事がたてこみ、執筆時間が取りづらくなり、投稿ができなさそうなので、年明けまで投稿を休止したく思います。

御理解のほどよろしくお願いいたします。


感想の返答くらいはなんとかします!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 性癖破壊おねいさん/おにいさんのマイペースな旅暮らしが続きますように [気になる点] 光って一瞬で性別変わるから超能力的な肉体置換なのかな 瞬間変化とは言えあくまでダイナミックな細胞可変…
[一言] 膝枕状態でケビンはショウンの顔が見えたのだろうか。 不沈艦隊の船底はよく見えそうだが。
[良い点] 脂肪は浮く!ケビンは懲りろ! やっぱりバイオは脂肪なのかな?w [一言] 焦らずに更新を~ こっちも焦らず待ってま~す(´▽`*)
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