3
そして私の高校の入学式がきた。
「奏ちゃん、優と私もついてくよ!」
「え?だって在校生は休みですよね?奏お姉ちゃんは優さんとデートしたかったんじゃないですか?」
「だって妹の入学式みたいなもんじゃん」
はぁ〜、奏さんって結構世話好きなんだなぁ。そんなことを思う私はいまだに白石家に馴染んでないんだろうな。
「じゃあ学校までお願いします」
「うん、あ!優も来た来た!」
そのまま奏さんは優〜!と言って駆け出していった。奏さんはよくても優さんは私の事邪魔じゃないのかな?
そして3人で学校に向かう。
相変わらず奏さんと優さんは仲良い。
「椿ちゃん、奏の家には慣れた?」
「はい、とっても良くしてくれています」
「奏の両親は凄く優しいから頼っていいんだよ?」
「はぁ。迷惑じゃない程度にそうします」
「椿ちゃんはそんなに遠慮しなくていいのよ、皆家族の一員だと思ってるんだから!」
「ありがとう、奏お姉ちゃん」
やっぱりまだこの雰囲気に慣れないな‥
そして学校に着き奏さんと優さんは終わった頃に迎えに来るよと言って2人でどこかに行ってしまった。
誰も知り合いもいない高校。
まぁ別にいいか。
成り行きでここまで来たんだしこれからもそうだろう。
そして入学式が始まった。私の周囲では私の事を見て男子が「あれ、誰?可愛くね?」「どこの中学の子?」とかヒソヒソ話やチラチラ視線は感じるがどうせ見た目しか見てない人たちの視線と噂は酷く嫌な気分になる。
ねぇ?見てるのって気付かれてるんだよ?気持ち悪いからやめて。
早く終わって欲しい入学式がやっと終わった。やっと帰れると思い他の人と視線を合わせたくない私は下を向きぐるっと席を立ち帰ろうとした。
ドカッ!
痛ッ
ぶつかった。誰だよもう!
「ごめん、私急いでて」
「あー、気をつけろよな。下向いてるからそうなるんだよ」
私が悪いのだがなんかムカついたのでグイッと顔を上げた。
そこには大欠伸をした身長は高いが綺麗な女の人のような中世的な男子がいた。
ふーん、結構カッコいいじゃん。
「なに?」
怪訝な顔をして男子が訪ねてきた。
「ふん!」
少し見とれちゃった、なんて言えないからこんな態度になってしまった。
「はあ?意味わかんねぇな、お前。可愛い顔してると思ったけど態度悪すぎ」
「あんたもね!」
「あ‥」
「え?」
ぶつかったところを見ると胸の下辺りにファンデーションがついてしまっていた。
お母さんからも女の嗜みよ、早めに覚えろ!と言われ薄く化粧してる私は、ああ、やっちゃったってなってしまった。
「はぁ〜」
思わずため息が出てしまった。
「ため息つきたいのはこっちなんだけど?」
「本当にごめん!」
もう今日は悪い事しかないやと思った私はパンパンと手で彼のファンデーションがついたところを払った。
「はい、消えた!‥ように見えるよね?」
「なんで疑問形?てか適当すぎんだろ」
「あーもう!時間ないからもう行くね、とりあえずごめんね!」
急いでないけど気まずくなったので少し早足で校舎を出ると奏さんと優さんが待っていた。
「どうだった?」
「えーと、なんだか疲れちゃいました」
「まぁ椿ちゃんはこっちに知り合いいないから少し緊張するよな、楽しくなればいいね。学校」
「はい‥」
学校なんて楽しいと思った事ないけどね。そうして入学式は終わった。