第6話 親友
たまたまショッピングモールで遭遇した親友二人と向き合う俺と黒江
最初に口を開いたのは親友のうちの一人、空だった
「にしても白野、お前ずいぶんと可愛くなったな」
いつもと変わらず接してくる空に、俺は少し驚かされる
しかし、元々こういうやつだったのを思い出し、勝手に納得する
「だろ?俺の理想の美少女だぜ」
「だろうな」
空のいつもと変わらない雰囲気に呑まれ、俺もいつもと同じように会話をし始める
そして、それを見て少し安心したかのような表情をしながら蒼人も会話に入ってくる
「かなり変わっていて驚きましたが、白野は白野のままですね」
「そりゃそうだろ。ガワが美少女になったくらいで変わるようなタマじゃねぇって」
いつも通りの会話が始まる
感じる時間は短いが、経つ時間は長い、親友同士の会話が
だが、何事もなかったかのようにいつも通りの会話が始まったことに、俺は少し安堵していた
心の奥底の何処かで「もしかしたらいつも通り接してくれることはないんじゃないか」と、不安になっていたんだろう
だが流石の親友
俺の不安は杞憂だったようだ
そう、話しながら考えていると、黒江が少し申し訳なさそうに言ってくる
「あの、折角ですしどこかお店に入りませんか?私、少し疲れてしまいまして...」
「体力ないんじゃないか?」
そう言いながら俺は時間を確認する
スマホには11:38と表示されていた
顔に驚きが出ていたのだろう
「ま、白野は時間感覚がアレなところあるしな、仕方ない」
「なにも考えてなさそうな顔してましたしね」
「時間見る癖付けてってお兄にはいつも言ってるよね!?」
も、申し訳ない...
「まぁまぁ、黒江ちゃん。今は移動して座ることが優先だろ?」
「そ...うですね、ありがとうございます。
お兄は帰ったら説教ね」
「んな理不尽な!!!!!てか疲れたんなら先帰ればいいのに...」
「今のお兄を、一人で帰る必要がある状態にするわけにはいかないでしょ」
確かにそうだ
正直な話、今の俺はありえないくらい可愛い
まじでめちゃくちゃ美少女だ
そんな俺が一人になってしまえばナンパされまくり、下手したら誘拐とかもされかねないだろう
そこまで考えて黒江は残っていてくれたのか...
感謝しないとだな
すると、蒼人が聞いてくる
「ところで、その体から戻る気はあるんですか?」
「ないな」
俺は即答する
あるわけないだろう
こんな美少女になって何が悪いというのか
そのままの方がいいに決まってる
「じゃあお決まりの『原因となった奴を倒しに行って元に戻る!!』みたいなのはないのか?」
「ないな
あぁ、でもなんでこうなったのかは気になるから、一応原因を探ったりはするつもりだぞ」
お決まりの展開を破壊するのを宣言しながら、俺は今後の方針を決めた
その後、二人に昼飯を(黒江が)奢り、少しだけ話して別れることになった
そして、別れ際に二人は言ってきた
「俺もおもしろそうだし、『Unlimited』やってみるかな」
「僕もなぜこうなったのか気になりますし、やってみましょうかね」
「まじか!じゃあタイミングが合う時は俺とパーティー組んでくれないか!?」
俺がそう聞くと、二人は迷わず承諾してくれた
やっぱり持つべきものは親友だな
そして俺は黒江と帰路についた
すると、黒江が少し恥ずかしそうに言ってきた
「わ、私も一緒にやっていい?」
「ああ、いいぞ」
俺がそう答えると、黒江はパアッと笑顔になり、俺に抱きついてきた
「ちょ、今は俺のほうがちっちゃいんだからいきなり抱きつくなって」
「あ...ごめん」
とりあえず、これで四人パーティーが組めそうだな
俺は、自分がゴスロリを着ているのを完全に忘れながら、ゲームに思いを馳せていた




