近づく真実と足音2
ー登場人物紹介ー
◆桜田風晴・・・田舎の農業高校2年。
◆桜田晴臣・・・風晴の父親。市議会議員。6年前から行方不明。
◆桜田孝臣・・・晴臣の弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。
◆大道正火斗・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。
◆安西秀一・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆桂木慎・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。
◆神宮寺清雅・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。
◆椎名美鈴・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。
◆西岡幸子・・・桜田家の隣人。
◆今井薫子・・・桜田晴臣の秘書。
◆真淵耕平・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。
◆真淵聖・・・耕平の長男。農業高校2年。
◆北橋勝介・・・フリージャーナリスト。
「仕方ないわねぇ、もう……」
西岡幸子は娘からの麦茶リクエストに、その重そうな重そうな重そうな腰をなんとか上げた。
去っていく幸子に、北橋と風晴達は 水を沸騰させてから麦茶パックを煮出して、その やかんごと冷やし切ってから氷入れてグラスにストローでもさし、お盆に おしぼりも用意して──そして持ってきてくれないかと願った。
「薫子さんの方は? あなただと気づかなかった?」
エアコンの入った客間のドアを幸子が閉めると、安西はすぐに満子に話を勧めた。正常空間の時間が惜しいのだろう。(なんだこの文章/作者)
「ええ、そうなんです。実は薫子ちゃん……確か2011年頃だって言ってました。交通事故に遭ってご両親は亡くなってしまって、薫子ちゃんも頭に怪我をしてそれ以前の記憶があやふやなんだそうです」
北橋は眉を寄せた。
正火斗や安西、風晴は、桜田和臣の話からすでにその内容を知っていたので、ただうなずいた。
「2人共乗る電車まで……薫子ちゃんは新幹線だったけれど──時間が空いていたので、そのまま外の休憩所で話しました。
薫子ちゃんが"私どんな子供時代だったんだろう"と言うので 私教えたんです。
2人でやったままごととか、西ノ森の秘密基地とか、あの遺体の上がらない伝説の黒竜池でのお化けごっことか。
そんな話しをしていたらすぐ時間が足りなくなってしまって。薫子ちゃんが"もっと昔の自分を知りたいから連絡取ろう"ってアドレスを教えてくれました。
それでメールのやりとりをして……で、私がA県に戻る時には会ったりするようにもなりました」
順調だった。みんなは耳を傾けた。どうでもいい大関の話しではなく、重要な話に。
「2018年のあの12月23日にも、前々から薫子ちゃんの方から会って相談がしたいとメールが来ていました。
文面だけだと、いつもの子供の頃の話だとばかりに私は思っていたんです。
実際に会ったら──彼女の表情はすごく暗くて、それに体調が悪いのかとても沢山着込んでいました。
私は"寒いならうちで話そう"と言ったんですが、薫子ちゃんは "人に聞かれたくない"と。──うちの母にとか聞かれると嫌なので 外を歩こうってなりました」
幸子に聞かれたら灰畑中、A県中、日本中に知れ渡る気がする。全員力強く首を縦に振っていた。聖までみんなの真似をした。
「後はあの当時警察にも話した通りです。薫子ちゃんの話しを聞きながら歩いていたら、だんだんと西ノ森まで行ってしまいました。
私が"冬だから暗くなると怖いし帰ろう" と言ったんですが、薫子ちゃんは "子供の頃を思い出せる気がするから黒竜池まで行きたい"と。
それで私も付き合いました。でも黒竜池についた途端に薫子ちゃんは "もう限界、死にたい" って、池に飛び込んでしまったんです…………」
みんな──しばらく静かだった。
安西が ゆっくりと口を開いた。
「相談の内容は……どんなものだったのでしょう?」
満子は少し首を振って 答えた。
「仕事がきついとか、付き合っている相手と上手くいかなくて結婚も遠そうだとか、最近体調も悪いとか。──そんな感じです。
私がどう言っても悩みばかり話していたから、後になって……ノイローゼ気味だったのかなぁとか思いました。
"過去の記憶が無くて不安定だ"と本人も少し前のメールに書いていました。でもあの時はまさか、自殺までするなんて考えてもみなくて……」
正火斗が
「当然です。予測なんてできるわけないです。
あのう、薫子さんが 黒竜池のどこから飛び込んだのか分かりますか?」
と言って、スマートフォンを取り出した。
北橋班は、田所高文の家に行った日に 新聞紙に出ていた池から離れた地蔵の写真を画像に残してきていた。
北橋は、ポケットからデジタルカメラを出して今の黒竜池の画像も出した。
正火斗のスマートフォン写真とデジタルカメラ画像が並ぶ。
満子が見比べるために身を乗り出した。
「どちらの写真が記憶に合いますか?」
と再び 正火斗は聞いた。
風晴は思わずゴクリと唾を飲んだ。
その時、ドスドスドス……と重量級の足音が近づいてきた────全員がドアに振り向く!
「お待たせしてごめんなさぁい!!!」
麦茶のグラスを2つ持った西岡幸子がドアを開けて現れた!グラスは娘のと自分の分だ。
これで喉がいつ乾いても喋り続けられる。
最強アイテムを手に入れて、さあ、聞いてと言わんばかりに幸子は口を開いた。
キャ────ッて…………これ、なんの小説だったかなぁ。
読んで頂きまして本当に本当にありがとうございました。
なんか、すみません。
ちゃんと、進んではいます!!




