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炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【大ドンデン返しミステリー】  作者: シロクマシロウ子
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それぞれの行きたい道

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平の長男。農業高校2年。


北橋勝介きたはししょうすけ・・・フリージャーナリスト。

安藤星那あんどうせいな・・・朝毎新報・新聞記者。

 


 ミステリー同好会メンバーは女子部屋に入り、北橋や安藤と2つに分かれて行動することについて、意見を言い合った。

 今回に限っては(?)1番乗り気がしていないのは、明らかに正火斗だった。

 が、これには次々と反論が起こった。


「車は相当ありがたくないか? 電車代とか待ち時間無くなるわけだし、この暑さの中歩かなくていいなんて。もう、

 この話受けることしか考えてなかったんだけど、オレ」


 と桂木だ。


「2つに分かれるってところがむしろメリットだよ、これは。僕らは後で両方の情報が得られるんだから。安藤さんに情報を渡しても、それは半分で済むってことだ」


 これは安西。


「部長、少しだけでも北橋さんに協力してあげたらどうでしょうか? 9年追い続けるって…………結構凄いことだと思うんですよ。だって、私達の人生の半分以上なんですよ!」


 優しい椎名は 北橋に同情したようだ。


「部長が北橋さんとS県に行ってくれれば、僕は安藤さんと丸1日過ごせるってことですよね。どこに行こうかなぁ。安藤さん何が好きなんですかね。聞いてみるところからですよね、まず」


 神宮寺はもはや調査する気もない。


 だが、極めつけは水樹だった────のかもしれない。正火斗にとっては。


「安藤さんとは得た情報を共有するって話しになったわよね。北橋からは…………兄さんが聞いてきてよ。彼、兄さんを物凄く気に入ってるじゃない? いつもの処世術(しょせいじゅつ)でやってやってよ」

 

 正火斗は片手を額に当てた。


「水樹、僕は中年のオジサンを落とすシュミがない。あまり近づきたいタイプでもない」


「お願いよ。聖の前では…………男にクネクネしていたくないのよ。なんか嫌なのよ、彼の前では」


 正火斗は"おや"と言う顔で妹を見た。

 安西は無表情だが、水樹を見た。


「なんて言ったらいいのか──

 そう、なんか……聖の前だと"夫を亡くした母親が、新しい彼氏を作ってイチャイチャしてるのを息子に見られる"かのような気持ちなのよ。罪悪感がハンパないの。聖が明日来るのは嬉しいけど、彼の前で北橋に会うことがあったらどうしようとも思ってたから。

 今回こういう話になって本当に良かった…………」


 と水樹は息を吐いた。

 正火斗は


「なんなんだその例えは」


 と言ってはいたが、微笑みを浮かべていた。

 安西は水樹を見つめたままだったが、何も言わなかった。

 風晴は少し水樹の気持ちが分かる気がした。

 なんとなく、なんとなくなんだが、何故か聖には──人間の汚い部分のようなものを見せたくないんだ。彼は傷つきやすい。もしくは、もう充分傷ついてきたのではないか。


「桜田はどう?ってか、オレ思うんだけど…………」


 風晴は呼ばれた方を向いたが、桂木は後の言葉を続けた。


「桜田は北橋さんの方に行ったらむしろいいんじゃないか? 安藤さんは、桜田にお父さんのことやら何やら聞こうとするかもしれない。でも、北橋さんは自分の兄貴──田所高文一直線! って感じじゃん、完全に。だからさ」


 なるほど。桂木の言いたいことは伝わってきた。


「気が楽かもってことよね」


 水樹も同意した。


「安藤さんに余分な情報を渡すリスクも減る。勿論、僕らは何も知らないって言うさ。知り合って間もないからって」


 みんなが うなずいてくれた。神宮寺も。ちょっと彼は心配ではあるが。(脳内にシーソーがあるなら、絶対彼の中では風晴より安藤星那に重きが置かれているだろう。正火斗があの扱いなのだから)


 は────っ…………と長いため息が聞こえ


「分かった。分かったよ。みんなもう決定なんだな? あの2人の提案にのる…………と」


 正火斗は片手を少し上げて、1人1人に確認するかのように所作した。

 これにも全員がうなずいた。勿論風晴も含めて。







 翌日の朝──


 昨夜のうちに、風晴と正火斗を除くメンバー達はくじ引きをして2つに分かれた。

 結果は、

 北橋班──正火斗、風晴、安西、桂木

 安藤班──水樹、椎名、神宮寺

 となった。

 女性陣に囲まれることとなった神宮寺は


「男1人ですが、よろしくお願いします」


 と恥ずかしそうだが幸せそうに同車メンバーに言った。

 が水樹は


「大丈夫。聖がこっちに入るから。向こうは満員だもの、こっちに決まってるわ。仲良くしてあげてね」


 と第二の母親のように後輩達に言っていた。


 だが明朝 真淵聖が合流して、その事件は起こった。







 聖は到着して、分けられたメンバーを知ると


「僕……桜田くんと…………行きたい」


 と言いだしたのだ!

 水樹は慌てて


「なんで? なんでなんでなんで聖? ジュースも用意したし、飴もお菓子もあるよ? 全部聖にあげるよ! あげるから! だから私と一緒に行こうよ!!」


 と自分より背の低い聖の肩をつかんだ。

 聖は水樹に驚いたようでしばらく静止していたが、やがてハアハアと息をつく水樹に向かって言った。


「桜田くんが……僕がいた方が……良かったって。1人じゃ……ダメなんだって」


 そうして聖はニコッと笑った。ニコニコになった。

 瞬間、風晴は頭を抱え込んだ。

 水樹は驚愕の表情で聖の肩から手を話し、数歩下がっていく。彼女はよろけながらも、なんとか風晴の方を向いた。


「桜田ぁ!!! あんた何してくれてるのよ! 昨日でしょ? 昨日なんでしょう? 私のいないところでそんなやり取りしていたわけ? あんた、一体何の抜けがけよ! もう!!」


 風晴は恥ずかしさと(かなりの)ややこしさで顔があげられない。


(クソッ! 確かにオレはそれっぽいことは言った。だけど……)


 と訂正したい気持ちは物凄く湧き上がった。だが、聖の眼前で否定の言葉を使ったら? アイツまた"間違えた"って、ひどく落ち込むんじゃないか? 風晴は苦悩の果てに次の言葉を選んだ。


「悪い。……オレが 悪い。ごめん」


 その一言で、水樹は今度は半泣きになった。民宿の門の道路に彼女はしゃがみ込んで伏してしまった。


 北橋と安藤は高校生の一悶着(ひともんちゃく)を見ていた。

 北橋は


「どういう修羅場だ? あれ?」


 と聞いたが、安藤は


「多様性の時代だから」


 と首を振った。







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― 新着の感想 ―
そこで多様性なんて言ったらBL疑惑著しいだろぉ!? 風晴「名誉毀損だ! 訴えてやる!」 安藤「事実でしょ?」 風晴「事実じゃねぇ!!」
どうかんがえても腐った脳内では、風晴✕聖になったかと。 それっぽいことを二日連続で言うとは……。 (。ŏ﹏ŏ) KENZENですね! (╹▽╹)
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