見守るもの達の佇まい
ー登場人物紹介ー
◆桜田風晴・・・田舎の農業高校2年。
◆桜田風子・・・風晴の母親。民宿を営む。
◆大道正火斗・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。
◆安西秀一・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆桂木慎・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。
◆神宮寺清雅・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。
◆椎名美鈴・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。
◆真淵耕平・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。
◆真淵実咲・・・耕平の妻。
◆真淵聖・・・耕平と実咲の長男。農業高校2年。
◆真淵和弥・・・耕平と実咲の次男。
一階に降りると──そこには母親達の声がしていた。
玄関に行くと確かに聖はそこにいて、そして聖の母親らしき人もいた。真淵巡査部長はよく民宿にも立ち寄ってくれて顔見知りだが、母親の方は初めてだった。
母親達も
「同じクラスだなんて何も知らなくて。うちの子話してくれないから」
「うちの風晴だってそうですよ。昨日、聖くんが一緒だったことも何にも言わなかったですし。まあ、ちょっとでもあの子が人の役に立ったんなら良かったです」
風晴は"げぇっ"と内心で呻いた。昨日真淵親子を帰すために警察に頭下げたことが知られたんだろうか?ハッキリ言って母親には知られたくなかったことだ。物凄いむず痒さ。
風晴の後ろから水樹が来ていた。
彼女は手を振って自らの存在を知らせた。
「聖!」
(すでに呼び捨て!)
風晴は少し驚いたが、聖の母親はその声に喜んだ。
「聖、聖、お友達が呼んでくれてるじゃない。行ってきたら? お母さんは今帰らなくちゃいけないけれど、連絡くれたら迎えに来るから」
「……………………」
聖は動かない。家に帰りたいか。思わぬ展開で固まっているのかもしれない。
風晴は
「真淵、来る? 昨日のヤツらみんないる。でも気がのらないなら無理しなくていいから」
と、いくらかでも助け舟を出した。
聖は今日初めて風晴をチラリとだけ見て、視線を外した。風晴は断られると思った。
「おいで聖。アイスあげるから。ね? おいで」
横から水樹が舟を沈める。
「……………………」
聖は無言だが視線がさまよった。外がもうかなり暑かったのだろう。
彼はコクンとうなずき、靴を脱ぎだした。
真淵の母親はウキウキしているのが、こちらにまで伝わってくる。
「じゃあ聖! お友達と仲良くね! 風子さん、お礼に参りましたのに、お邪魔させることになって申し訳ありません」
彼女は頭を下げた。
「全然! お昼も風晴達と食べさせましょうか。うちは同じなんですよ、お客様の分どうせ多めに作りますから」
真淵実咲の瞳は、わずかに潤んだ。
「申し訳ありません」
と また頭を下げる。先程より もっと深く。
彼女は最後に
「風晴くんたち、聖をどうかよろしくお願いします」
と一礼した。それが、これまでで一番深い礼だった。
風晴も慌てて頭を下げた。隣りで水樹も。
そして去っていく聖の母親を、水樹は少しの間見つめていた。
「風晴!」
母に大声で突然 怒鳴られて、風晴は萎縮した。本能である。
肩をパンと叩かれて
「あんた やるじゃないの!!」
と次の瞬間に言われていた。ああ、面倒くさい。
「肩、いてーんだけど」
と言った息子を無視して、風子は水樹を見つめた。
「水樹ちゃんもね、ありがとうね」
水樹はただ風子を見返す。
「聖くんも頑張ったんだね。昨日はみんな よくやってくれたよ」
聖はオドオドと少し下がった。
風子は3人に、満面の笑顔で言った。
「みんなに何か美味しいお昼用意しなきゃね」
読んで頂きまして、いつもありがとうございます。
次回は黒竜池行方不明者リストが復活します。登場人物紹介後に載せる予定です。




