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炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【改訂完了版】  作者: シロクマシロウ子
黒竜池編

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すれ違う者たち2

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員だったが、6年前から行方不明。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の実弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平の長男。農業高校2年。


 


 正火斗の言葉を理解するのに安西は少し時間が必要だった。いや──理解してからも信じられはしない。


「水樹が、()()水樹が、僕の言う通りにしたってことですか? なんで?」


 やっぱり 信じることは無理だ。


「正火斗が……」


 気が動転して、思わず昔の呼び方をしてしまった。


「部長が思ったとしても何かの勘違いです。水樹はいつも神々(こうごう)しくて女王みたいで、僕なんかの言うことを聞く訳がないんだから。…………間違いです!」


 最後に言い切る。息はだいぶ、荒くなった。


 正火斗はそんな安西を黙って見ていた。そして少しの間だけ目を閉じて開いてから──ゆっくりと話し始めた。


「確かに あいつに確認した訳じゃないからな。僕の思い込みかもしれない」


(そうだ!!)


 安西は息を整えていて言葉にはできなかったが、心の中で叫んだ。


「でもキッカケだったんだと僕は思う。君の言葉も、真淵聖との出会いも」


「キッカケ…………?」


 正火斗はうなずいた。


「真淵聖は人と違うところがあるようだが、水樹と似ているところが一点だけある」


 安西は正火斗を見つめた。無言だが 問いかけだった。

 正火斗はそれに応じた。


「考え方が変わっていたりやり方がズレているかもしれないが、“誰かの役に立ちたい"って思って行動したところだ。

 水樹の5年間の行動は()()だった」


 安西の視線が正火斗をとらえたまま、だが焦点がぼやけた────この5年を思い返す。


「…………確かに」


「だから真淵聖となら、異性だが"友達になれるかもしれない"と思ったんだろう。もしくは"友達になりたい"と。

 でも ああいう性格だから素直に言えなかったのさ。それで駐在所の息子だの情報源だの理由をつけて、みんなも巻き込んだ」


 安西は、水樹がそう言った時の正火斗の姿を思い出した。


「正火斗は……水樹にあきれたのかと思ってた……」


「あきれてはいたな、なんで僕の妹はこうも事態をややこしくするんだろう……って」


 正火斗はため息を吐いた。


「ああ、でも…………」


 安西は、ずれた眼鏡を掛け直しつつも言おうとする。いろいろ動揺して乱れていたのだ。


「言わんとしたことは、分かってきましたよ。ええ、うん、分かりました。水樹は変わろうとしてきていて、その時僕にたまたま"今までみたいなことはやめた方がいい"と後押しされた。それで真淵くんに会ったとき、今までとは違って ちゃんとした友達の関係を構築しようとした──と!」


 安西は模試で満点を取ったかのように、後半は自信満々に説いた。

 正火斗は先程と同じくらい怪訝(けげん)な顔つきになって


「50点」


 と評した。


「なんで? そこまでの減点は無いでしょう!?」


 安西は本気で食ってかかっている。

 正火斗も本気で返した。


「大きい間違いがある。()()()()()()()()変わろうと思ったんだろうが。だから、真淵聖とは友達になろうとし始めた。そこの順番の違いは大きい。30点でもいいくらいだ」


「……………………っ」


 安西は唇を噛んで拳を握っている。しばし(うつむ)いていたが、やがて思いを口にした。


「だけど…………全ては正火斗1人の想像だろう?

 僕は……僕は、水樹のことは世界が違うと思ってきた。たまたま親同士が知り合いで中学から同じなだけ。水樹が16人男子とイチャつこうと脅そうと……ハッキリ言って"なんて馬鹿なんだろう"としか思ってこなかった。それよりも、水樹みたいな女の子なら"普通に恋してしっかり付き合えばいい"とさえも」


 安西はもう俯いてはいなかったが、前を見ているわけでもなかった。彼はただ続けた。


「そういう想像に僕は、僕自身を水樹の隣りに描いたことはない── 一度も。考えたことがないんだ」


 そして安西は気づいた。いつの間にか、シンカー入りの全身タイツ人形は出来上がったいる。後はロープを結うくらいだ。

 彼は立ち上がった。


「それに、()()()()()()同じことを言うと僕は思いますよ、部長」


 ロープを取りに行く。その安西の背に正火斗は呟いた。


「最っっ悪だな、確かに」








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― 新着の感想 ―
メバツヨイグサ! 夜中に誰かが、供えに来ている! と、鳥肌が立ってきました(⊙ꇴ⊙) こ、こわい((((;゜Д゜)))
50点or30点。この採点は甘いと見るか辛いと見るか…………難しいところだな。 水樹って本心を明かさないタイプかな、って思うし。 というか、男子に明け透けにする女子はあんまりいないか。
点数は辛口採点で、厳しいですね。 起因が重要という価値基準からの採点かな? (・∀・) 夜にきてた? 謎が多いですね。 ようやく調査開始ですけど、果たしてすんなりいくのだろうか。 楽しみです。 (…
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