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20話 新たな情報

 ローエンが剣を抜いてから数秒俺たちは向かい合っていたが先にローエンが動いた。

 さすがは訓練を受けた兵士だと言えるのかもしれない。ローエンの剣は鋭いし重い。

 しかし、それだけだ。

 だが、それだけでもナイフだけで受け流すのは中々辛いものだ。


「遅いなぁ!!守るだけじゃ勝てないって知ってるかな?!」

「今どうやって殺してやろうか考えているからあまり急かすな」


 エルの真実にここまで近付かれているのなら生かして返すつもりは無い。


「奇遇だな!私もそれを考えている!悪魔を匿ったディラン、お前はその桜付きと共に地獄に送ってやる!」


 たしかに俺は地獄へ落ちるだろうがそれは今じゃない。

 全部知ってからだ。


「悪いが先に地獄で待っててくれローエン」


 見きった。

 ザン!

 ローエンが俺の頭を狙った一閃。

 それを左手のナイフで受け流して


「な、何!」


 ザスッ!


「何十年後かに地獄に行ってやる。そこで大人しく待っていろ」


 大振りの一撃。当たれば痛いだろうしダメージも半端ではないだろう。

 だが、当たればという可能性がある前提だ。

 果たしてそのメリットがデメリットに打ち勝ったか。


 それは俺を相手にした場合否だろう。

 そしてこいつの敗因はその判断を誤ったから。

 大振りの一撃というのは外した時の隙が大きすぎる。


「ば、馬鹿な………何故………この私が………悪魔に………聖騎士であるこの私が………負ける………」


 首に突き刺したナイフ抜く。

 首を狙ってなお息をしているのは結構凄いのではなかろうか。

 確実に殺せる箇所を狙ったつもりだが。


「快楽殺人者と生きるために腕を磨いた殺し屋とじゃ同じ土俵には立てないだろうさ」

「私が………快楽殺人?何を馬鹿な………」

「お前のそれは仕事だから殺したとかそんなのではなくただ殺しに快楽を見出していたんだろ?だから笑っていた」


 こいつはさっきの男を殺すとき笑顔を顔に浮かべていた。


「俺が気付かないとでも思ったか?悪いがお前の笑顔については気付いていた」

「………」


 悔しそうな顔をするローエン。


「殺し足りない………桜付きは悪魔だ………殺さなくてはならないのに………そんな悪魔を匿った………貴様も悪魔だディラン………」

「眠れ」


 まだ何か言いかけていたローエンにナイフを突き刺して殺す。

 この場に残ったのは俺とティナとエルの3人だけ。

 ローエンと隊員の死体を集めると魔法で消した。


「そんな魔法があるなら初めから使えばいいじゃないですか!」


 それを見て何故かティナがそう言ってきた。


「バカ言うなよ。連打出来る魔法でもないし生きているものを消すのは結構疲れるからな」


 そう答えてエルに目をやる。


「………し、死んじゃうかと思いました」


 そのまま胸に飛び込んできた。


「守るって言ったよな?」


 彼女の頭を撫でる。

 しばらくそうしてエルが落ち着いてから現状をまとめることにした。

 ローエンが言っていた桜花病患者が悪魔というもの。

 それから………


「私は………あんなふうに黒爪になるんでしょうか」


 地下室に転がっている死体を見て泣きそうな顔をするエル。


「………仮になるとしても必ず助かる道はあるはずだ。探そう」


 そう答えてからこの地下室をもう一度漁ることにした。なにか出てくるかもしれない。



 探し回った結果1枚の書類が出てきた。


「………これ、何なんでしょうか。嫌な予感がします」


 エルが不安そうな顔をしている。

 無理もないだろう。

 しかし中身を見なくては前に進めない。

 無言で目を通す。


「呼んでみたがしっかし汚い字だったな。最後に書いてあるのは名前か?これは」


 そう呟くとティナが覗き込んできた。


「横のこっちは写真では?」


 ティナが指さしたそこにはたしかに写真があった。

 若い男の写真だ。

 横の文字を見るにこれを残した本人のものらしい。


「これ、本当なんでしょうか」

「………とりあえずここで答えは出さずに持ち帰るべきだな」


 この書類に書かれていることは重かった。

 俺だけで判断していいものでは無いだろう。




「………やはり桜花病の罹患者が黒爪になるのか………?」


 アマレウスもその顔に驚愕の色を浮かべていた。

 今まで仮定の話としてはそうでないかというふうに考えていたが現実味を帯びてきたのだ。


「俺は信じてもいいと思う」

「ディラン殿。その根拠を述べてもらえますか?」


 アマレウスの正当な副官であるシエスタが聞いてきた。


「前提としてその書類の文字は何とか読めるといったレベルのものだ。書こうと思ってもとても人間に書けるものでは無いと思うしそんなものを書いても仕方が無い。それを考えるに書いたのは黒爪だと考えることが出来る」


 アマレウスやシエスタを見てそう答える。

 だがここで疑問があるのかアマレウスが俺を見てきた。


「1ついいかな?黒爪が化物だというのはフィオナ君が言ったことだし君もそう言ったよね?そんな化物に文字が………「書けるはずだ」


 最後まで聞くのも無駄だと思った俺はアマレウスの言葉に言葉を重ねた。


「根拠としては以前監獄の黒爪を倒した時に俺はあるものを見た。壁に残された傷だ」


 あの時の違和感。

 ようやく気付けた。


「パッと見て何かメッセージ性のあるようなものには見えないし実際に何か伝えようとしたものでは無いと思う。でも、一つだけ言えることがある。あれは傷のように見えるがいくつかは俺たちの使う言語を書こうとしていたように見えた。恐らく人間としての理性が残ってる時に残そうとしたんじゃないか」


 そして俺たちに何かを伝えようとした。でも文字としては形をなさなかった。

 そしてそのまま狂った。


「………君はいいのかい?黒爪が元は人間だった。それを認めてしまうと君は………黙っていたが黒爪は私から更にルクスブルク卿に渡っている」

「別に。いちいちそんなことでうじうじしていては前に進めない」


 俺は俺の意思で捕獲した。

 それがどのような結末になろうがどうでもいいし気にしない。

 それが捕獲するという事の意味。


「既に汚れた手だ。どうでもいい」


 そう言うとアマレウスの目を見た。


「俺が今から成すことは追悼することじゃない。そんなものは後でいくらでも気がすむまでやればいい。今からやるのはこの事実確認を行い。本当なのであれば桜花病罹患者を助け国を変える。それだろう?」


 アマレウスとシエスタの顔を見る。

 俺たちのやることはそれだ。


「そうだな。なら、私はこの件についてもう少し調べてみたいと思う。2人もそういう方向で動いてもらうつもりだ」

「アマレウス様。ついにこの国が変わるのですね」


 シエスタが遠くを見るような目をした。


「あぁ。変えよう。この世界の━━━━未来を」


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