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Give and take 留学編  season2   作者: 月岡 愛
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カレーライス

入院をして寝たきりになると、当然、トイレもお風呂もシャワーもできない。


毎日、当たり前に出来ていたことが出来なくなるというのは本当に辛い。 


いくら看護師が身の回りをしてくれてもしてもらいたくないこともある。でも、体がこんなんじゃ本当にどうしようもない。



(愛、体、拭いてあげるから。ちょっと起こすわよ。 エイ!)


(ミア?ちょっとお願いがあるんだけど、私の部屋の入室記録に日本人の女の子の名前があるはずなの。見てもらえない?)


(いいわよ。友達でも来たの?)


(うん・・そうだと思うんだけど・・・)



ミアが私の体をお湯で絞りながらキレイに拭いてくれている。ほんのりと温かいタオルが意外に心地いい。


(どう? 拭くだけでも気持ちいいもんでしょ?)


(うん、いい。ほんと気持ちいいよ。)


ミアには世話になりっぱなしだ。本当にありがたい。



体もキレイになり着替えもしてくれてスッキリと楽になった。


(今、見てくるから。)


ミアが入室記録を調べに部屋を出た。



(見てみても日本人の女の子らしき名前はないわよ。ただ・・・)


(ただ・・?)


(余白に【H】とあるけど、これなにかしら?)


記録を見せてくれた。


(H・・・Hねぇ・・え?まさか?)


H・・・hitomi、瞳のイニシャルだ。間違いない。瞳がこのイギリスにいる。






(ふぅ・・愛?ちょっと作って来たから、食べな。手作りのご飯も恋しくなってきたろう?笑)


祖母が来てくれた。


(ミアもどうだい?一緒に。)


(わぁ、いいんですか?私も食べたい。笑)


祖母が用意してくれたのは、カレー。しかし日本の食材などのスーパーはあるの?


(ホテルの近くに日本の食材もある市場をホテルの人が案内してくれたんだ。その人も日本食が好きでよく行くみたいなんだよ。その人にもお願いしてキッチンをお借りしたんだ。)


祖母の作るカレーは格別に旨い。そのカレーがこの病室で食べれるなんて、私は幸せだ。


ご飯も炊いてカレーも作って重い荷物にもなって私に届けてくれるなんて、80歳を超えた高齢の祖母には本当に頭が下がる。


ご飯は日本にもあるお弁当のプラスチックの容器に入れてあり、カレーは保温効果のある魔法瓶みたいなものに入っていて温かいようだ。ミアと私によそってくれて、ご飯タイム。


(わぁ、美味しい!! 日本のカレーライスってほんとに美味しいわよね。私、大好き!)


(さ、愛も食べな。)


祖母が私の口元にカレーの乗ったスプーンをそっと入れてくれた。


何ともいえない味だ。こんなにもカレーライスが美味しいなんて。ほんとに美味しい!!





こうして私の入院生活も一週間が過ぎ、一か月が過ぎ、祖母やミアの介助もあり、リハビリも順調に進み、ようやくベッドから起きれるようになり車椅子で動けるまでに回復した。


私も、特室(特別集中室。事件やテロの被害者、官僚、政府関係者などが極秘に保護される特別な病室)から一般病室に移り、通常の入院患者の人と同じ部屋となった。




入院生活も3か月が過ぎた。  そして・・・








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