祖母の帰国。
私の入院生活も約3か月が過ぎ、寝たきりだった体も車いすで移動できるまでになった。トイレもシャワーも一人でなんとか出来るようになり、ミアと祖母の献身的な介助もかいあって私は奇跡的な回復を遂げた。
祖母も毎日、賄いと作ってきては私とミアに食べさせてくれた。そんな祖母も日本へと帰国する。
(だいぶ良くなったねぇ。愛は悪運が強い子だからもう大丈夫だ。笑)
(お祖母ちゃん、ほんとにありがとう。ミアもお祖母ちゃんが作る料理が毎日楽しみって言ってた。)
(愛も元気になって帰国するときには、ミアも日本に連れておいで。笑)
空港まで見送ることはできないが、日本に帰国したときにはすぐにでも祖母に会いに行きたい。
(じゃ、私は帰るから。愛もしっかりとオックスフォードで学んでおいで。)
こんなイギリスに来てまで私は祖母にどんだけ迷惑をかけてしまったんだろう・・・
ロビーまで祖母が私の車イスを押してくれた・・・ ロビーには日本総領事館の方が待っていてくれ、祖母を空港まで送ってくれるそうだ。
(じゃあね。愛。)
お祖母ちゃん・・・・
(待ってー!)
ミアが走ってきた。
(お祖母ちゃん、色々とありがとうございました。)
(ミアも一度、日本においで。私の家に来るといい。)
(絶対に行きます。お祖母ちゃんの料理、ほんとに美味しかったです。ありがとうございました。)
ミアが祖母に渡したのは、私と祖母とミアの3人のフォトフレーム。
(おしゃれな写真立てだね。いいのかい?頂いて?)
(日本に帰っても私の事、思い出してください。私もお祖母ちゃんのこといつも想っています。)
(ミア、あなたは本当に優しい女の子だ。元気でね。)
ミアが祖母に抱き着いて泣いている・・・
祖母は車に乗り、私とミアを見ながら、
(じゃぁね。愛。 ミア、愛をお願いします。)
祖母はイギリスを後にし、日本へと帰国した。
怪我の回復も順調に進み、オックスフォード大学への留学へと手続きが本格的になってきた。 秋田国際大学とルミエラ大学の留学担当の職員が入学審査のために入院先へと来た。
(どう?だいぶ良くなってきたみたいね。)
(車イスからも立てるようになって日に日に良くなってきてます。)
(今日は、オックスフォード大学への入学審査の手続きをするために私たちと一緒に行くことになるわ。大丈夫かしら?)
(病院からもOKの返事を頂いているので大丈夫です。)
(そう。じゃ、あと少したったら出ようか?)
あの連続爆破テロ事件から5か月ほど経った。私はようやくイギリス留学へと一歩、前進することとなった。オックスフォード大学へ留学するには、推薦でも入学審査というものがある。これは試験とは別に面接みたいなもので人格や性格など見られるのだろうか。当たり前だがすべて会話は英語だ。私の英語力を試す、いい機会かもしれない。
日本に帰国するのも約半年間、ずれ込んでしまったがこれも自分に与えれた試練だと私は思うようにした。仮にオックスフォード大学に留学できたとしてその後、半年間はイギリスに在住しなければならない。セギョンやティファニーはもう既に秋田に帰国している。 私も今、自分に直面している現実を素直に受け入れ、またそれを一日一日とクリアしていかなければいけないのだ。
車イスからも歩けるようになり、日常を取り戻さなくてはいけない。 そのためにもこのイギリス留学は確実にしなければならないのだ。




