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プロローグ

「あっ、」

 田舎道を歩いていると、盛大に転んでしまった。それだけならよかったのだが、不運なことにトラックが来ていた。

 ……これはまずい。非常にまずい。俺は、事故も骨折もしたことがないし、ましてや死にそうになる経験なんかあるはずも無い。が、わかる。これは死だ。

 ――だってなんかスローになってるもん。頭のなかに昔の記憶流れちゃってるもん。これが走馬灯ってやつ?脳が死ぬ時に観せるやつでしょ?諦めんなよ!走馬灯観るのにリソース使うな!ここから助かる方法考えろ!

 うわ、トラックの運転手さんめっちゃ驚いた顔してる…。ごめんなさい、俺がコケたばっかりに…。気負わないでっていうのも無理か、あぁ、お父さん、お母さん、ごめんなさい。

 あとこんな俺と友達になってくれてありがとう(カイ)

 来世とか無いと思うけど、また何処かで。


           ドッ


 目の前が真っ暗になった。が、まだそんな事を考えられている。体は痛くない。少しの衝撃の余韻だけがのこっているような不思議な感覚。目を開けるのが怖い。が、段々と頭が覚めてくるにつれて、瞼の外側で起こっているざわめきが耳に届くようになった。何事かと、目を開けざるを得ない。

 恐る恐ると、目を開く。と、そこには王様が、本当にゲームに出てくるような王様が、比喩なしで目と鼻の先にいた。

 


 これはどういう状況?俺、確かトラックに轢かれて……。いや、それをかき消すくらい目の前の王様が王様過ぎる。この感じの王様、RPG系のゲームで100回は見たぞ。無個性王様。共通認識王様。The 王様。しかも近すぎて王様の皺の一つ一つを数えられる距離。情報過多で何も考えられなくなる。

「よくぞ来てくれた勇者よ。御主の転移、心から歓迎するぞい。」

「は、はぁ…、」

 腑抜けた返事しかできなかった。

「ところで、なんか近くないかの?一応儂王様なんじゃが…」

「アッ、スミマセン…」

 反射で謝ってしまったが、別に俺悪くないよな?何が何だか分からんし、王様は俺が転移すること知ってたみたいだし…。

「大変申し訳ございません王様。私の転移魔法が狂ってしまったようです。」

 声がした方を振り向くと、一人の女性が跪いていた。洗練されている黒の服に金の装飾が施されており、その上から黒いマントを羽織っているのが見えた。

 それと同時に、一気にこの建物の景色が目に入ってくる。とても広い部屋。王様のいる玉座から、入り口らしきところまで引かれた大きな赤いカーペット。白く、そして美しい彫刻が施された壁と柱、カーペットの横にいる女性と、その他の多くの臣下らしい人物たち。この世界は日本とは全くの別世界なのだと思わされる。

「おお、サリア、御主のミスであったか。よい。気にするな。」

「お許しいただき有難う御座います。」

 てか、この人のミスだったんだ。じゃあなおさら俺悪くないじゃん。

「ちょうどいい人物は居ないかと探して行ったら、御主がおってのぅ。転ばせてトラック?と言うものと接触させ、転移させていただいた次第じゃ。」

「え?転んだのもあなた方のせいだったんですか?」

「うむ。」

 と、王様は大きく頷く。いや、駄目でしょ。倫理的に。

「それって殺人じゃないですか?」

 と、心の声が漏れてしまった。しまった。王様に対して無礼だったか?いや、これは仕方がない。だって殺されたの俺だもん。文句行ったって良いでしょ。

「何せ、御主は魔王を100を超えて撃破したことがあるそうじゃからのう。魔王に攻め入られている今の王国を救ってもらおうと思ってのぅ。」

「いや、殺人の件については…」

 何だよコイツ、無視かよ。

「何せ、お主は魔王を100を超えて撃破したことがあるそうじゃからのう。魔王に攻め入られている今の王国を救ってもらおうと思ってのぅ。」

「え?NPC?」

「それは違います。転移者様。」

 おっ、さっきの女の人。

「あなたの世界の娯楽、ゲームの中ではございません。トラックの件につきましては、大変申し訳ございません。私のスキル「転移魔法」によるものです。トラックを任意の対象にぶつけることで転移させる。あれが、私の魔法なものでして。」

「あ、そうなんすね。あれ正式な儀式の一環なんですね。」

「王様があんなふうなのは、もともとですのでご了承ください。」

「は、はぁ…。」

「御主の名前を聞いてなかったのぅ。聞かせてもらおうか。」

 急にふられて少し焦った。

田中翔(たなかかける)です。」

 いや、異質すぎる…サリアとか外国風の名前に対して田中翔はあまりにも日本すぎる。

「では田中よ!」

 あっ、苗字…

「アリサと共にこの王宮を出、魔王を討伐するのじゃ!」

 うぉぉぉぉ!と、王室内では臣下たちの歓声が上がった、が俺は同意していない。 

「いや、ちょっと待っ「アリサと共にこの王宮を出、魔王を討伐するのじゃ!」

     うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 臣下たちの声が2倍になった。なんかバグってない?

「諦めてください、田中様。肯定していただかないと、貴方の世界のゲームで言うイベントが進みません。」

 ここマジでゲームの中かもしれない。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。もし誤字脱字や設定の矛盾、不備等あれば、教えていただけるとありがたいです。

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