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化け物『ハギザ』と僕と君。  作者: 秋乃しん
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82/120

人間5

よろしくお願いします


 「うわぁ〜調子乗った…」


お風呂から上がった後に、自分の部屋のベットに倒れ込む。頭がくらくらして、喉元や顔周りが熱い。それに、微かに自分からアルコールの匂いがする。


「なあ、どうしたんだよ…黙ってないでなんとか言えよ。不貞腐れちゃったのか?」


返ってくるはずもなくなった存在に声を掛けてしまうのは、僕が今酔っているからだ。

寂しいだとか、悲しいだとか、元に戻りたいなんてこれっぽっちも思ってないし、まだこの部屋に居座る化け物が鬱陶しいくらいだ。


「なあ、僕を殺すんだろ?」


いくら煽ったって喋らないのだから意味はないけど、やっぱり酔っているから、今僕が楽しいんでいることを存分に自慢してやりたい。


 ※


真っ白な空間。


「あっ、ここは?」


疑問に思ったけれど、やっぱりきた覚えがある。

そうだ、ここは夢だ。


『がはっ!がはがはがは!ガハハっ!』


「あー、久しぶりだな!」


こんな夢の中じゃ、久しぶりに見たこの化け物と話すのも楽しいだろう。だから今僕は強気でいられる。


『お前…食ったな!ガハッ!』


「はあ…お前って話せないんだな」


『食った食った!ガハハ!ガハハ!』


「うざいな!あれ?動ける?」


今まで動くことができなかったこの真っ白な空間、状況も変わったわけでもないのに、僕はこの空間で自由に身体を動かせる。


『なあ、美味いか?美味いのか?』


話も通じない、くねくね動く黒い化け物を目の前に、この空間で身体がどれほど動かすことができるのか試してみる。


「なあ、お前を殺すって言ったらどうする?」


『がは…』


僕の言葉に反応したのかわからなかったけれど、くねくねと動いていた黒い体を静止させたのは確かだった。

そして、その化け物の顔は僕をじっと、大きな一つ目で見ている。


「なんだよ、やんのかよ…!?」


僕がまた言葉を吐いた瞬間だった。


『詰みだぁ〜ぜぇ〜!ガハッ!ガハハ!』


僕の心臓部分に刺さる化け物の両手。

真っ白な空間に垂れる赤い僕の血。


一つ


二つ。


そして流れ始めた。


※


ねます

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