人間5
よろしくお願いします
「うわぁ〜調子乗った…」
お風呂から上がった後に、自分の部屋のベットに倒れ込む。頭がくらくらして、喉元や顔周りが熱い。それに、微かに自分からアルコールの匂いがする。
「なあ、どうしたんだよ…黙ってないでなんとか言えよ。不貞腐れちゃったのか?」
返ってくるはずもなくなった存在に声を掛けてしまうのは、僕が今酔っているからだ。
寂しいだとか、悲しいだとか、元に戻りたいなんてこれっぽっちも思ってないし、まだこの部屋に居座る化け物が鬱陶しいくらいだ。
「なあ、僕を殺すんだろ?」
いくら煽ったって喋らないのだから意味はないけど、やっぱり酔っているから、今僕が楽しいんでいることを存分に自慢してやりたい。
※
真っ白な空間。
「あっ、ここは?」
疑問に思ったけれど、やっぱりきた覚えがある。
そうだ、ここは夢だ。
『がはっ!がはがはがは!ガハハっ!』
「あー、久しぶりだな!」
こんな夢の中じゃ、久しぶりに見たこの化け物と話すのも楽しいだろう。だから今僕は強気でいられる。
『お前…食ったな!ガハッ!』
「はあ…お前って話せないんだな」
『食った食った!ガハハ!ガハハ!』
「うざいな!あれ?動ける?」
今まで動くことができなかったこの真っ白な空間、状況も変わったわけでもないのに、僕はこの空間で自由に身体を動かせる。
『なあ、美味いか?美味いのか?』
話も通じない、くねくね動く黒い化け物を目の前に、この空間で身体がどれほど動かすことができるのか試してみる。
「なあ、お前を殺すって言ったらどうする?」
『がは…』
僕の言葉に反応したのかわからなかったけれど、くねくねと動いていた黒い体を静止させたのは確かだった。
そして、その化け物の顔は僕をじっと、大きな一つ目で見ている。
「なんだよ、やんのかよ…!?」
僕がまた言葉を吐いた瞬間だった。
『詰みだぁ〜ぜぇ〜!ガハッ!ガハハ!』
僕の心臓部分に刺さる化け物の両手。
真っ白な空間に垂れる赤い僕の血。
一つ
二つ。
そして流れ始めた。
※
ねます




