ハギザ47
よろしくお願いします
ガタンっ!と大きな音を立てたテーブル。
机に置いてあるコップもお盆も落ちる。
そして、目の前よりも直ぐ近く。
呼吸すらしないこの灰色の化け物の微かな震えが理解できるくらいに近い。そんな間近で灰色の化け物が僕を凝視している。この部屋いっぱいに広がっているこの灰色の化け物が、僕を攻撃しない理由はただ一つだった。
『俺様を無視するのか?許さねーぜ?ガハッ』
寸前の所で僕を防御したハギザ。
ハギザお得意の敵対意識。灰色の化け物からの広い攻撃範囲を軽々と防いでいた。
「こーゆーのは嫌なの?」
「僕の趣味じゃない、って言えばかっこ良くない?」
君の部屋の床は冷たい。でも僕が君との距離を保つのに駆使している僕の手のひらは君の肩に触れているから、冷たくない。
今の状態、これは月乃光に僕が押し倒されていると言うなんとも情けない光景。
だんだんと、腕に入れた力が和らいでくると、髪の長い髪僕の頬を撫でた。そして、それはゆっくり距離を置くように離れていく。それから、あれだけ大きく広がっていた灰色の化け物も比例するように、いつのまにか縮まっている。
「秋乃くんも死ぬよ?みんな死んじゃうんだからね?」
「深い話でもする?」
「いいや、嫌いだから」
大人しいと言う言葉も、優しいなんて言葉も似合わない君に一番よく似合う言葉は『奇想天外』。そんな君の言動に困惑しながら、僕は決して表情は変えない。
『久々だ。俺は機嫌がいいぞ』
「ありがと、ハギザ」
脳内に流れたハギザの声は、今までに聞いたことないくらいに明るく感じた。一方で灰色の化け物は、何事もなかったかの様で、何一つ変わらない。
「私も見てみたい、その化け物」
「え、やめときなよ。良いことないし」
「良いことなんていらない、ただ私は。秋乃くんが見る人を見たいだけだよ」
「え、どーゆうこと?」
『がはっ、こいつじゃあ見えねーな!』
よくもわからないことを言う月乃さんに、ハギザは何を思ってなのか、嘲笑うように言う。
「あ、今馬鹿にしたでしょ?秋乃くんかな?それとも化け物さんの方かな?」
『がはっ?んー。がははっ』
「え、なんでわかったの?」
「人間を舐めてはいけないよ、化け物さん」
僕の右方向を指差してキメ顔を作る君。たぶんハギザに向けての指差しだったのだろう。
「月乃さん、そこにはいないよ。左側だね。こっち」
僕がハギザに指差すと、月乃さんは合わせてハギザに指を向け直す。すると、図星をつかれて唖然としていたハギザが目を細める。
『しん、俺様らが見える方法、教えてやるよ』
「えっ?他の人も見えんの?」
『がはっ』
ありがとうございます




