ハギザ36
よろしくお願いします
「修学旅行、少しだけ楽しみかも」
『…』
気付けばベットで横になっている。
眠たい思考の中で、力を振り絞って横を向くけれど、目を瞑るハギザからの反応はない。ハギザよりも奥にあるカーテンの隙間からは、日の光が入り込んでいた。
「おやすみ」
ピンポーンっ。
「はぁい」
ぼやけた意識の中で、土曜の朝っぱらからのインターホンに、呑気な母親の対応。このまま寝て仕舞えば、お昼あたりには母親が起こしに来てくれるだろうか。
休みという日が平和な理由は、睡眠後のその先の余裕が確保されているからだ。
「ちょっと、しん?月乃さん、来てるけど?あんた遊ぶ約束してたんじゃないの?」
玄関先からの母親の声は、明らかに僕に向けてのものだった。そんな不安げな言葉を、ゆっくりと追うように読み解いて行く。
「月乃さん、なんで…?」
『ねむいぞ、俺は行かなぁぁ!…』
「えっ!?月乃さんっ!?」
飛び起きると、眠かったはずの脳内が一時的に起きているようだった。
ハギザを無理矢理連れて、パジャマ姿と言うことなんて関係なく、一回に駆け降りて行った。
玄関は閉まっていて、外から母親と月乃さんの話声がする。一度立ち止まる。
パジャマだと言うことは気付かれていなくて、私服に着替え直そうかと一度は悩んだが、待たせるのも悪いと思い、そのまま直ぐに玄関扉に手を掛けた。
おやすみなさい




