『ハギザ』
「うわぁ!ゔぅ…頭いたい…」
ベットから飛び起きた。
同時に、長時間息を止めていたような息苦しさと頭の中でズキズキと音を立てる痛みに襲われて頭を抱える。
『がはっ!なにごと?』
「あー、ごめん。おはよう」
『相変わらず元気ねーなーガハハッ!』
僕が横になっているベットの直ぐ隣り、ポツンと寂しそうに立っている化け物の名前。
『ハギザ』
大きい一つ目をした幽霊型の化け物。色は真っ黒だ。そんなコイツの名前の由来はと言うと、歯がギザギザしているから、適当に僕がつけただけ。
僕だけが見える化け物で、会話もすることができる。そんな化け物を『化け物』そう呼ぶよりマシだ。
「はい、せーの」
僕の合図に合わせて、ひゅるりと身体をくねらせたハギザは器用に僕の背後に取り憑いた。
毎日、ハギザが僕に取り憑いた瞬間から、良く目が冴えて、体調もしっくりくる。そんな気がする。
『腹減った、がはっ』
僕と同じくらいの大きさだけど、地面からは数十センチ空いていることもあり僕を見下ろしている。上を向けば、細めた目は何か企んでいそうで、ギザっと開けた口は楽そうにして恐ろしい。でも、こんな化け物に慣れてしまっている自分自身が一番に恐ろしいところでもある。
一度見上げたハギザから目を逸らして、今日も始まる1日を何とか乗り切るために身体を伸ばす。ぐいっと腕を上げて欠伸をする。すると、ハギザも僕の背後で合わせるように伸びた。
部屋の中は涼しいけれど、玄関を出ればきっと蒸し暑い。そんなことを予想しながら、高校の制服を着た僕は、つけっぱなしにしていた部屋のクーラーを消して扉を開いた。
「僕もお腹すいた」




