最終話 新たな旅立ちです!
「ところでソランジュさん、これからどうなさるおつもりで?」
秘宝の依頼は済んでいる。
ソランジュは、空を見上げた。
「そうだな。あいつが見られなかった、世界を回ろうかな。あいつが楽しめなかった分、私が回ってやろうと思う」
アジトでのんびり暮らす道もある。しかし、そんな暮らしをソランジュは望まないだろう。もう十分、休暇は取ったのだから。
「素敵です。同行させてください」
「もちろんだ。ついてきて欲しい」
「ありがとうございます!」
ジョーイとチヨメも誘ったが、二人とも首を振る。
「ワイは残るニャ。クテイとキエフが落ち着いたら、またパーティ組もうニャ」
「あたしも、クテイの利益をキエフに還元します。アジトも守らないと」
ジョーイは最後に、「でも」、と続けた。
「あたしたちはずっと友だちです! またアジトに戻ってきてくださいね!」
「約束ニャ!」
ジョーイとチヨメに手を振られ、リッコたちはキエフを後にした。
「この近くの街にも、秘宝伝説があるらしい。行ってみるか?」
「いいですね、ソランジュさん!」
ソランジュは、リッコの言葉を手で制する。
「呼び名なんだけどね。これからは、私をソルと呼んでくれ」
「えっ」
リッコがソランジュをあだ名で呼ぶのは、おこがましいかと思っていたが。
「お友だちが付けてくれたお名前ですよね?」
「やはり、知っていたな?」
思わず口に出てしまい、リッコは口を手で覆う。
「説明してくれないか。怒らないから」
「それじゃあ。実はですね」
リッコは事情を説明した。
「コジモめ、余計なことを」
ソランジュは、コジモ王女には怒った。
「でも、いいさ。キミはコジモの遺伝子から作られたかも知れない。が、キミはキミでしかないし、キミでいい」
「それで、本当にいいんですか?」
「本人が『自分は自分だ』と、言い張っているからね」
突然口ごもり、ソランジュは目をそらす。直後、パッと正面を向いてきた。
「キミに呼んでもらいたいんだ」
心の内側から、喜びがわき上がってくる。
「外の世界に連れ出してくれて、ありがとう。キミのおかげで、私も吹っ切れた。キミがいなかったら、私はあの場所で、ずっとコジモの亡霊に詫びながら暮らしていたことだろう」
ソランジュが、握手を求めてきた。
「わたしの方こそ、ありがとうございます。あなたがいなかったら、わたしはずっとひとりぼっちでした。人との関わり合い方を教えて下さって、感謝しています」
リッコも、握手に応じる。
まだ、ソランジュとの距離は詰めかねていた。
それでも。
「これからもよろしく、ソルさん!」
終わり




