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詩全集4

棲み花

作者: 那須茄子
掲載日:2026/04/14

私の奥で

ひっそりと棲みついた花がある

花と呼ぶにはあまりに奇妙で

花弁は紙飛行機のように折れ曲がり

根は記憶の地層を勝手に掘り返して

忘れたはずの感情を化石みたいに掘り当てる


その花は光を食べない

代わりに沈黙を食べて育つ

誰にも言えなかった言葉の残骸を

夜ごとむしゃむしゃと噛み砕き

新しい色を発明していく

まるで孤独を燃料に飛ぶ

無音の遊覧船みたいに


悲しみが降る日は

花の影が伸びて

部屋の隅々まで侵食する

影の中には小さな魚が泳いでいて

その魚たちが私の不安をついばみ

代わりに少しだけ前へ進む灯を

そっと置いていく

そんな奇妙な循環で

私は今日まで生き延びてきた


喜びに触れた瞬間はもっともっと奇妙だ

花弁がぱちんと弾けて

空中に浮かぶ見えない文字が

私の周りをくるくる回り始める

その文字たちに

触れると胸が少しだけ熱くなる


世界が冷たくて

心が氷点下に沈む禍々頃

花は凍らない

むしろ氷を好んで食べる

凍った痛みを噛み砕き

その破片を花弁に貼りつけて

強さという名の模様を作る

私のためだけに進化し続けてくれる




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― 新着の感想 ―
なるほどー  そーゆーかんかくで そーさくしているのだねぃ  (。・_・。)
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