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第五話 お前のいない世界で逢いたいと願う。


お前のいない世界で俺は生きる。

いつまでも俺は願い続けるだろう、お前に“逢いたい”と...。


 ̄ ̄ ̄ーーー_____

 ̄ ̄ ̄ーーー_____


母さん達の“ありえない”話を聞いた。俺は自分の部屋に戻って来ても、まだ信じられない。あの事故で、本当は俺が車にひかれて死んでいた。

普通じゃ考えられない、有り得ないことが起こってた...。


俺の死を受け入れられなかった母さんが真希に



『優雅を生き返らせて!』



なんて、変な頼みごとして...いったい何考えてたんだよ、俺の母さんは。

それに真希は、何か知らねーけど、強い霊力とか持ってたわけで...“あの時”に時間を遡ったとか。

意味分かんねーよ!マジでありえないだろ!



「真希のバカ野郎...!」



それで真希は俺を、助けたはいいが...俺の代わりに自分が死ぬことになって。本当にお前はバカだ。



そして今度は、俺が真希を呼び続けて、傍にいてもらって...

俺はお前を離すことが、できなくて。



「俺の方がバカだよな...?」



本当に、母子そろって何やってんだか...

呆れるよな、真希...マジで、ごめん。俺が何も、知らなすぎた。

真希だけに大変な思いをさせて...ごめん。



俺に真希を“好きだ”なんて、言える資格なんて、無いんだ。真希。



「っ...真希!!」



ああ、俺はまた、懲りずに真希を呼んでる。






次の日。

優雅は、学校をサボってあの日の“横断歩道”に来ていた。


「ここが、俺と真希が車にひかれた場所か...」


優雅は、ただ静かに目の前の横断歩道を見詰めている。


「どうなったら、良かったんだ?」


すごく、哀しそうな表情の優雅のその青色の瞳に映すのは複雑な悲しみと、後悔...そして、何もできない自分への怒りだ。


「なあ、真希。俺は、どうすれば良いんだ?時間を遡ることなんて、俺にできるわけないだろ!?」


優雅は、もう声の届かない真希を想って言う。こんなに何もできない、どうしようもない自分をどうにかしてくれ...頼むから。

俺は真希がいないとダメだ。


「こんなんじゃ、駄目だよな...」


右手で困ったように頭をかき、優雅は情けないこんな自分を虚しく笑う。


「...真希...!」


何度呼んでも、もうお前は俺の傍には来ない。もう、お前は、俺の隣にはいない。

優雅は目の前の横断歩道から視線を外して、灰色のビルをスルーしてムダに青い空を見上げた。


ーーーただ、お前に“逢いたい”


優雅が願ったのは、真希に逢いたいというとても単純で短い言葉。でもそれは、すごく難題で理をねじ曲げるような、呪いのような、熱く身を焦がす想いだった。

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