ボラティリティ
付き合ってから1ヶ月。
彼女のことは少しずつ知ってきてるが、
まだ情報が足りない。
デートを通して情報を集めよう。
最も価値のある商品は情報だ。
映画で言ってた。
丸の内のビルに着く。
エレベーターを待つ。
「なんで今日はそのお店にしたの?」
彼女は聞いてきた。
「別に君の好みとアレルギー考えて、
ここが一番喜んで貰えると思ったからだよ。」
彼女は少し照れている。
当たり前のリスクリターンの管理だ。
なんでだろ?
でもとりあえず機嫌はやや上げ相場。
様子見だ。焦らない。
席につき食事を楽しむ。
料理について、動物について、仕事について。
話が弾む。楽しい。
メインが終わり、二人で余韻に浸ってる。
今だ。
ここで用意しておいたとっておきの言葉だ。
「君の価値はユニコーンだ。」
昨日1時間半考えた言葉だ。
「ユニコーンって?」
そう返された。
なんだ細かいとこまで言って欲しいのか。
欲しがりさんめ!
ユニコーンは、企業価値10億ドル以上の未上場スタートアップだ。
そのまま説明してもわからないだろうし、簡単に言おっと。
「世に出てない素晴らしいものをユニコーンって言うんだよ。
まさに君だ。」
完璧で簡潔な説明。
「私は世に出てないってどういうこと?」
……言葉に詰まる。
さっきまで機嫌が上値ブレイクしそうだったのに、急落だ!
「えっと、つまり、僕が見つけたことで価値が出た的な?」
会話の流動性が枯渇した。
彼女はそれ以降ほぼ話さなかった。




