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第43話 竜の惑星

 あつい。

 これは暑いと熱い、このどちらにも変換できる感想だ。

 惑星リエースの森林エリアヴァーホルツと打って変わって、ゴツゴツとした岩、そして蒸し焼きになりそうなほどの暑さ。

 次の任務地に指定された惑星ドラクの火山エリアヴルガーはその名の通り火山しかない。

 とはいえこの辺は大規模な噴火があるわけでもなく、ただただ静かに溶岩が流れているだけだ。そして大きな違いはPFOにはこのようなエリアはないということだ。

 惑星に降下して一番溶岩に片足を突っ込んで冷汗をかいたのはつい先ほどのこと。幸いクレアレアを完全展開していたおかげで熱いお風呂といったところだったが、アレが生身だったら、と考えると恐ろしい。

 所々有毒ガスが噴き出ていて、生息する生物や出現するラークもこの環境に適応できる強靭な体を持っているという点を除けば危険はほぼない。いや、むしろ危険か。

 探索する価値はほぼゼロ。

 鉱石以外にめぼしいものはないからだ。

 それでも来る理由といえばラークを殲滅するため。

 だが、それも数回で私はここを離れることになるだろう。

 同じ惑星ドラク内にある砂漠エリアデゼルトで明らかに知性を持った生物がつくりだしたと思われる施設が見つかっているからだ。

 先遣隊によると既に知的生命体は滅びた後だろうとのことだが、施設は変わらず動き続けているという。

 水をつくりだす施設らしく調査が必要だが、警備用の機械兵やその施設に至るまでに生息するであろう巨大な生物に対する対処を頼まれているのだ。

 聞けば砂漠エリアデゼルトは地球にあるような砂漠の構造とは違い岩石砂漠はほとんどなく逆に砂砂漠が大部分を占めているという。歩きにくさや巨大な砂丘が多く先遣隊も苦戦したらしい。

 それでも私には解決策がある。

 歩かなくていいのだ。

 図書館でふとした瞬間に試してみたクレアレアを使用した飛行がうまくいくことが分かったからだ。

 無論まだ長時間飛び続けるのも手足のように扱うというのも無理だが、それでも方向確認や砂丘をのぼるくらいなら出来る。

 大旅団が何故ここまで早く動けたか。

 それは、あの黒衣の人物がジュークに手渡した情報が大きく関係している。

 どこからの情報だかは分からないが、あの日ジュークの手に残っていたのは宇宙の航海図とそれぞれの惑星に関する情報だったのだ。ところどころ意図的に削除されてはいるがこれまで得ていた情報と照らし合わせる限り正しい情報だった。

 敵、と名乗ったのにおかしなことをする奴だ。

 その中にはこの周辺の惑星には知的生命体がいた、という情報も含まれていた。

 それもかなり技術が発達していたらしい。下手すれば地球よりも。

「……あつい」

 クレアレアを完全展開しているおかげでかなり軽減されているはずなのだが、それでも暑い。汗こそ出ないが不快には不快だ。

 氷でできている、というイメージ故か両手に持つ剣が溶けていくような気がしてならない。

 トルムアやラークを倒しながら進んでいるが、ここに住む生物は総じて竜のような見た目をしている。

 その内、ドラゴンでも出てくるのではないかとかと思いながら岩陰から覗き込むと。

「ひぃっ……!?……ん?」

 最初に認知できた情報は何か巨大な白いものがいる、という情報だった。

 よくよく見るとソレはピクリとも動かない。

 大きな骨だった。

 そのまま朽ち果てたのか体の構造が素人目にもはっきり分かる形で骨が並んでいる。

 まさにドラゴンだった。

 これがゲームならこんな強敵がいるのかと喜んで探索するところだが、これは現実。そう思い踵を返そうとして悲鳴を上げとっさに剣を向ける。

 背後に立っていた人物も驚いたような声をあげ後ろへ下がる。

「落ち着いてください。私です。カストです」

「は……?」

 よくよく見ると見知った顔によく似た緑髪のエルフが防御態勢でいた。

「気配遮断して近づいたのは謝ります。ですから剣をおろしてくれませんか?でないと1ミリたりとも動けないのですが」

「あ……」

 剣を突きつけたままだったことにその言葉で気が付く。どちらかが動けば傷が出来てしまう距離だった。

「……えっと?」

 同じ特殊攻撃隊といえどカストは幹部。私は言ってしまえば役職名などない平に過ぎないのだ。今までの接触も例外に近いというのに、こんな場所で一体何だというのだろうか。

 確かに直接接触してくることはあると言われていたがそれは大旅団艦内だけだと思っていた。

 カストの表情から読もうとしても相変わらず読めない顔をしている。

「……あなたに、渡すものがあります。結城総司令からです」

「!」

「くれぐれも他言することの無いように、との伝言です。……機密事項だというのに私を通すあたり、総司令も食えない男ですよね。これを」

 差し出されたのはポケットに入ってしまいそうなほど小さな箱だ。

 研究部が開発したばかりの収納ケースで小さなものはもちろん、箱のサイズを超えるものでも容易に収納し持ち運ぶことができるようになっている。

 その中でも数個しかつくりだされていないのが個人のクレアレアを識別し、指定された人しか開封できないシステムを組み込んだものだ。これはまだ上層部と一部の人間しか知らない。

 私も特殊攻撃隊であるが故に知っていただけだ。

「……何をするのかは知りませんが、私経由でしかもかん口令を引くとは。まあ、私は構いませんが。……では、これで」

 空気に溶けるようにその姿は消え去る。

 受け取ったものを懐にしまうと、奥地へと歩き始めた。



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