人族代表者達・獣人代表者達
戦いが始まる前に集うリビングに、人族代表者達が勢揃いしていた。
フォー・N・アーキスト
ユウト・カザミネ
ラデ・パーク
グラン・ドレスフィール
の4人である。
フォーは他の者達にとっては見慣れた姿である、目をつむり、腕を組んでソファーに鎮座しているのだが、残りの3人はある一点へ視線を向けていた。
そこには、ただソファーがあるだけで誰も居ない。
少し前まではそこにキーノ・ラムリが座っていたのだ。
人族代表者である自分達が集い、改めてキーノが居ない事……死んでしまった事を実感して少々感傷に浸ると共に、次は自分が死ぬかもしれないと考えてしまう。
特にユウトは直接救って貰った事で自分は死ねないと考えており、それと同時にキーノが救った命は人族に勝利をもたらす事を証明するために、自分の持てる力全てを使う決意を固めていた。
ラデは黙って黙祷を捧げ、キーノの死を――種族間戦争で亡くなった者の事を決して忘れてはならないと心に刻む。
グランはたった1戦だが共に戦った同じ人族の死を悼み、自身の定めた目的を果たすまではどんな事をしてでも生き抜くつもりだと考えていた。
それぞれが色々考えている中、フォーだけは相変わらず何を考えているのかがわからない。
キーノの死に何も感じていないのかと、キーノが居た場所からフォーへと視線を向けるラデ。
それに追従して、ユウトとグランも視線を移す。
自分に向けられる視線の集中に気付いたのか、フォーがゆっくりと目を開き、周りを確認すると訝しげな目をする。
「……どうした?」
「どうしたじゃねぇよ……」
フォーの開口一番の言葉に、一気に脱力するユウト。
本当にこいつは何なんだと色々言いたくなるのだが、言っても無駄なんだろうなぁと思ってしまうのは、平常運転のフォーの態度を考えれば、ユウトがそう考えたとしても仕方ないだろう。
「……何もないなら、俺の事は気にするな」
「気にするなってなぁ……。そういう事じゃなくて」
「それに、第2戦に関して俺は手を出すつもりは無い」
「「なっ!」」
フォーの事実上戦う気がない発言にラデとグランが驚愕する。
富裕代表者達の1人、ウイゼルのように元から戦力として数えられていないのなら特に問題はないが、第1戦の動きを考えれば、フォーの技量は人族の中でもユウトに並んで……いや、他と比べて性能が劣るHRWWに搭乗している事を考えれば、今回参加している代表者達の中でもトップクラスであると思っていたグラン。
ラデにとっては、何故か自分と行動を共にしようとする変な奴で、害を受けた訳でもないので休息期間中は好きにさせていたが、戦力に関してはユウト、グランと同様の事を思っていた。
どう考えても、フォーが戦いに参加しないという事は、大幅な戦力ダウンに直結しているというのは、2人の共通見解である。
だからこそ、フォーの真意を確認しなければならない。
「な、なんで!」
「……理由は聞かせて貰えるんだよね?」
ラデが勢いのまま問い詰め、グランが内心の動揺を抑え表面上は冷静に尋ねると、フォーは視線だけをユウトに向けた。
この間、ユウトは呆けた表情を浮かべていたのだが、視線を向けられ訝しげな表情へと変わる。
「ユウト・カザミネに聞け。元々そうするつもりのようだからな。余計な手出しをするつもりはない」
「……お前」
どうしてそれを、と内心動揺するユウト。
本来であれば、自分が第2戦で行おうとしていた事は機を見て告げるつもりであったのだが、それをフォーが既に察している事に驚いたのだ。
そんなユウトへと、ラデとグランも視線を向ける。
2人の視線は、一体どういう事なんだ? もちろん、話してくれるんだろうな? と、原因がユウトでそれを責めるように睨んでおり、その意図を正確に読み取ったユウトは大きく溜息を吐く。
元々話すつもりではあった事に間違いはない。
しかし、一体いつその事を知ったのか確認するためにフォーへ問い詰めたい衝動に駆られるが、それは後に回して今は説明が先かと自分を納得させる。
だが、間違いなく今の状況はフォーのせいであり、咎めるように軽くジト目を向けるのだが、フォーは既に我関せずのいつもの姿勢である事を証明するように、目が閉じられていた。
こいつぶん殴ってやろうかと拳を握るユウトであったが、なんとなくその拳が当たるとは思えなかったので結局は再び大きく溜息を吐いてから、説明のためラデとグランへ向きあうように体を動かす。
「……フォーは手を出すつもりがないと言ってるからいいとして、第2戦に関して2人にお願いがあるんだ」
「お願い?」
ラデがこてんと首を傾げる。
「2人もフォーと同じように、第2戦に関しては手を出さないで欲しい」
「え?」
「それは……。今の段階だと流石に認められないとしか言えないな。確かに俺達人族は種族間戦争で最下位になる事が多いが、だからといって、わざわざ負けていいという事と同義ではない」
グランがユウトのお願いに否定的な事を告げながら真っ直ぐにユウトを見つめ、ユウトもまたグランの言葉を受け止めつつ真剣な表情で見つめ返す。
「俺とラデ、フォーに手出しを禁ずるというのは、ユウト1人で戦いたいという事だよな? どうしてわざわざ負けるリスクを背負わなければならないのか。現状の俺達はHRWWの性能差の他に、人数も1人少ないんだ。むしろ、ここからは全員一丸となって挑まなければいけないと思うのだが、俺の考えはどこか間違っているか?」
「いや、確かにその考えは間違っていない」
グランの考えを肯定するユウト。
だが、それでは駄目だと2人を納得させるために考える。
ユウトの中では1人で戦う事は決定事項であり、簡単に納得してもらえる話ではない事も、この行動が止められるであろう事もわかっていた。いくら自分が人族の隊長に推されたとはいえ、負けるリスクを背負うような事を認める訳がない。
だからこそ、ここに集まる前に色々説得の言葉を考えていたのだが、フォーのせいでそれら考えた事が全部台無しとなり、既に1人は納得している状況へと進まされてしまったため、また1から説得の内容を考えなければならない。
しかし、第2戦の開始時刻を考えればそれほど時間はないため、ここは正直に告げる事を決める。
「グランの言う通り、1人で戦う事にメリットなんて一切ない。代表者の死は、そのまま残された他の代表者への負担となる。それはわかってる。……けど……だからこそ。……俺はキーノ・ラムリの死が……俺を庇って死んだ事が決して間違いじゃなかったって事を示したい。キーノ・ラムリが救った命は、とんでもなく凄い力を持っているんだぞってな」
ここでユウトは一旦自分を落ち着かせるように息を吐き、どこか自分自身の内面へ告げるように続ける。
「……それだけじゃない。俺は多分、自分が思っている以上にキーノ・ラムリの死を引き摺っているんだと思う……。それを受け入れるために……乗り越えるために……今回やろうとしている事は必要なんだ……。後悔しているんだろうな……最初から真剣に挑まなかった事に……。遊びの延長線上のように感じていたんだ……それを払拭したい」
そう言うユウトの目は嘘を言っているようには見えないと、ラデとグランは思った。
確かに、ユウトは第1戦時に2対1になって追い込まれても、どこか楽しんでいたような、普通に遊んでいるような雰囲気があり、言葉の通りこの戦争を遊びの延長線上としてしか見ていなかったのだろう。
そしてグランは、ユウトがその心の内にあるものを払拭したいという言葉だけで終わらせるつもりがない事を、休息期間中に感じていた事を思い出す。
「……なるほど。だからあの時、無茶やってまで勘を取り戻そうとしてた訳か」
「あぁ」
「1人でやれる自信があるんだな?」
「そのために『RW』をやり込んだんだ。それはグランも見ていただろ」
「……わかった。なら俺もフォーと同じように手を出さない事にするよ。決意のほどは、あの時見せてもらったからな」
その言葉と共に、互いに笑みを向け合うユウトとグラン。
しかし、そこに待ったの声がかかる。
それはもちろん、残りの1人、ラデだ。
「いやいや、何か2人で意思疎通してるけど、自分としてはユウトの言いたい事はわかるけど納得は出来ないよ! ユウトがやろうとしている事って、死ぬかもしれないリスクを冒してまでしなければならない訳じゃないでしょ! むしろそれで死んだら、それこそキーノ・ラムリは無駄死にだったって事になるじゃないか!」
「いや、死ぬつもりはこれっぽっちもないけど」
「そんなの皆同じだから! 誰だって死にたくないって思ってるよ! だからこそ、自分達はきちんと協力しあって戦わないと! 1人で戦うなんて理に適ってない!」
「うん、だから別に死ぬつもりはないんだって」
「その言葉に何の保証もないよ!」
ふー、ふー、と息を荒げるラデ。
一方、ユウトはなんでわからないんだと、少々困惑顔である。
どこか噛み合わない2人を仲裁するように、グランが間に入った。
「まぁまぁ、ラデは一旦落ち着こう。ユウトが無茶な事を言っているのは俺もわかっている。だけど、その無茶な事はユウトなりにキーノ・ラムリの死を受け入れようとしている結果なんだ。それを尊重してあげよう」
「……」
グランの諭すような言葉に、それぐらいは自分もわかっているとふくれっ面を浮かべ、無言で返すラデである。
言いたい事もわかるが、だからといって1人で戦う必要性はそこにないんじゃないかとラデは考えており、やはり納得はしていない。
そう考えている事が表情に表れていたのか、グランはラデの内心を察して苦笑を浮かべ、キーノが居なくなった以上この場に居る者の中で一番の年長者であろう自分が落とし所を用意するべきかと考える。
確かに人族の隊長はユウトであり、こういう事が起これば普通隊長が仲裁するのだが、その隊長であるユウトの提案だけに止める者は居ない。
だからこそ、ここは残っている者の中で一番の大人である自分が仲裁しなければと、グランは何やら使命感に駆られ、2人にある提案をする。
「まぁ、そう簡単に納得出来るんだったら、ここまでの事にはなってないよな。だから、ユウトの独断に対して条件をつけてもいいかな?」
「「……条件?」」
突然の物言いに、ユウトとラデは困惑顔である。
「そう、条件。ユウト1人にやらせはするが、俺達はいつでも駆けつけられる位置で待機。危ないと判断したり、手間取るようなら即座に介入する。その際は、ユウトも1人で戦う事をこだわらずに逃げに徹して俺達の到着を待つ事。この辺りがお互いにとって妥協点だと思うが?」
「「……」」
グランの提示した条件に、ユウトとラデは思案する。
ほんの少しの間だけ、この場が沈黙した。
最も、フォーだけは最初に喋った後はずっとそのままで、微動だにしていない。
「……そうだな。まぁ、俺としては1人で戦わせてもらえる時間があるなら、それでいい」
「……自分も、その条件なら」
ユウトとラデが了承の意を示し、内心でほっとするグラン。
ただ、これで2人の仲が悪くなる事は避けないといけないため、仲裁役としてもう一言告げるため、グランはまずユウトの方へと視線を向ける。
「ありがとう。ただ、お互いにわかって欲しい事なんだが、ユウト」
「ん?」
「ラデは、もうこれ以上仲間を失いたくないから、わざわざ危険な事をするユウトを心配して厳しい事を言ったんだ。その事はわかってやって欲しい」
「言われなくてもわかってるよ」
笑みを浮かべるユウトに、こっちはこれで問題ないと、グランは次にラデへと視線を向ける。
「ラデ」
「何?」
「ユウトのやろうとしている事を全部納得しようとしなくてもいい。ただこれは、ユウトにとって今もこの先も必要な事であるという事をわかってやって欲しい」
「……わかった。いざという時、助ける余地を与えてくれるなら、これ以上小言は言わない」
ラデもまた渋々認めるように笑みを浮かべ、とりあえず2人の仲違いは回避できたかなと、年長者としての役割は果たせたと思うグラン。
「俺達とさほど歳が違わないと思うが、面倒な役割を押しつけるような形になって悪かったな」
「お前達よりかは大人だからな」
「大変ですね、大人って」
ユウトの謝罪にグランがやれやれと肩をすくめるが、ラデの少し茶化すような発言と同時に浮かべた笑みにつられるように、ユウトとグランも笑みを浮かべた。
すると、ユウトがまだ言いたい事があると手を上げる。
「あ~、あと1つ聞きたい事があるんだけど……」
まだ何かあるのかと、グランは少し疲れたような目をユウトへと向けるが、当の本人の視線はフォーへと向いていた。
「……なんでお前は俺のやろうとしている事を知っていたんだ?」
その言葉にそれもそうだなと、ラデとグランもファーへと視線を向ける。
自分に注目が集まっている事に気付いたのか、フォーがゆっくりと目を開け、簡潔に答えた。
「エリスラ・ロンドバードがスキルの事を聞かれたと言っていた。その時の表情や最近の雰囲気から、お前は多分そうするだろうと教えられたからだ」
「「「……」」」
予想していなかった名前の登場に3人が固まる。
すると、まるでそれが自然の流れであるかの如く3人は円陣を組むように顔を寄せ合う。
「……一体何なんだ、あの女は。たったあれだけの事で……」
「さすが『天才』の名を冠するだけの事はあるね」
「それで終わらせちゃうんですか?」
そう言う3人に共通しているのは、どこか疲れたような表情を浮かべている事だった。
なんというか、「天才」の一言で全て納得してしまうエリスラ・ロンドバードの人間性が、一番納得出来ないような気分なのだ。
意図した訳ではないのに、3人は同時に溜息を吐く。
「……この見透かされてる感……」
「あの人の前では迂闊な事は出来ないな」
「頼もしい味方なはずなんだけどね……」
もう1度、同時に溜息を吐く3人。
その間、やはりフォーはそのままで我関せずである。
結局この流れのまま、人族代表者達は第2戦へと赴くのであった。
◇
人族代表者達と第2戦でぶつかる獣人代表者達は、緑溢れる一室で寛いでいた。
兎の獣人セーフ・ムナンは藁のソファーに仰向けで寝そべり、酒が注がれたグラスを傾けてちびちび飲んでいる。
藁ソファーの直ぐ傍には、既に空となった酒瓶が数本転がっていた。
その姿を言葉にするなら、間違いなく「自堕落」そのものだ。
「……さすがに気を抜きすぎだぞ、セーフ」
セーフが寝そべる藁ソファーの真横にある、もう1つの藁ソファーにきちんと腰を落ち着かせて座る犬の獣人ナラス・ヤフルから、その姿を注意する声が飛んでくる。
ナラスの手にもグラスが握られているが、その中に注がれているのはピーチティーであった。
「うささささ。気を抜くのも致し方ないではないか。なにせ、これから戦うのは最弱の人族。勝利が確定している安全パイではないか」
「セーフさんの言う通りですよ、ナラスさん。それに獣人機の運動性を考えれば、人族機如きの性能じゃ触れも出来ませんよ」
セーフの余裕な発言に、狐の獣人チミック・フロフも乗っかる。
セーフとナラスの対面にある藁ソファーに座るチミックもまた、その手には酒が注がれたグラスを持っており、セーフが開けた空き瓶程ではないが数本転がっていた。
元々閉じているような目で、焦点が定まっているかなどわからないし、頬が赤くなっている訳でもないので酔っているかどうかはわからない事が難点のチミック。
セーフと同じく調子に乗った発言をしている事で、最初の時から思ってたが実はこいつ酔ってるんじゃないか? セーフと同じく酒しか飲んでないイメージしかないんだが、と思うナラスなのだが確証が得られないために思うだけで留めるのであった。
チミックに関しては代表者として出会った時が最初なので、人格そのものもそこからの情報しかないので判断しようがないというのもあるが、今更そこを突っ込んでも仕方ないとも思っており、自分判断だが空き瓶の数からそこまで飲んでいる印象がなかったため、まぁいいかと判断する。
だが、セーフに関しては元々付き合いがあったため、さすがに今の状態は芳しくないと諌める事にした。
「チミックはそこまで飲んでないようだが、セーフはさすがに飲み過ぎだ。飲むのはそのグラスに入っている分までにしておけよ。酔って操縦が狂うなど勘弁だし、飲み過ぎは体に悪いぞ」
と、一応諌めるように言葉を発するが、それでもなんだかんだとナラスも人族に負けるとは一切思っておらず、純粋にセーフの体の事を心配しているだけである。
その事をセーフもわかっておりグラスを一口分傾けると、それでおしまいとそのまま芝生の床へと置く。
「……致し方ないか。確かにここへ来てから少々飲み過ぎであったな。肝臓を休ませると共に、友人の心配事を減らすためにもやめておこう。うささささ」
「そうしてくれると助かるな。チミックもほどほどにな」
「わかってますよ」
ナラスはセーフの言葉と行動にほっと肩の力を抜いて安堵し、チミックもこれで終わりとグラスの中に残っている酒を一気に飲む。
そんな光景を少し離れた場所で、暇潰しに見ている者が居た。
「……ふん。くだらん」
そう呟いたのは、狼の獣人イルムン・ワナイである。
イルムンは他の者と同じ席はごめんだと、1人用に藁ソファーに身を沈め、用意されたワインとチーズを楽しんでいた。
その所作は流石王族とでも言えばいいのか自然で見事なものであり、その姿は容姿と相まって1枚の絵画のように見える。
もちろん、その内面までは写し出されていないが。
ただ、イルムンとしては今1人で居る事は別に苦ではなく、ワインとチーズの質が予想より良かったのか、充分堪能しているのだった。
獣人代表者、残りの1人である虎の獣人テリアテス・ボナもまた1人佇んでいる。
といっても他の者達とは違い飲食の類は一切しておらず、藁ソファーにもたれかかるようにして立っていた。
ただその目はこの部屋の中へは向いておらず、部屋の窓から見える空を眺めていたのだが、そのテリアテスに向けて何かが飛んでくる。
元々代表者としてここに来るまでは女王の近衛兵の1人であるテリアテスにとって、この程度なんでもないと言わんばかりに、慌てる様子も無くその飛んできたものを難なくキャッチし、その手に掴んだものへと視線を向けるとそれは中身の入っている酒瓶であった。
一体なんだ? と疑問に思ったテリアテスは飛んできた方向を確認すると、そこではナラスが不敵な笑みを浮かべている。
座ったまま何かを投げたような態勢であったため、ナラスが酒瓶を投げてきた事は間違いないだろう。
そのままナラスがテリアテスへと声をかける。
「テリアテス、お前も少しは飲んでおけ。気付けだ」
「……」
どうもナラスは厚意で酒瓶を投げてきたというのが雰囲気でわかったため、テリアテスの表情には表れなかったが手に持つ酒瓶を少しだけ持ち上げて返答する。
そのまま親指の力だけで酒瓶の蓋を外すと、ぐいっと飲む。
その様子に、少しはこちらにも心を開いてくれただろうかと思うナラス。
こうして獣人代表者達は、各自のんびりと過ごしながら開始の時を待つのである。
ナラスも気を抜きすぎだと言いつつも、心のどこかで人族の事を侮っていたのであろう。
結局、獣人代表者達は人族戦に対しての作戦等を一切決める事はなく、このまま戦場へと向かうのであった。
そして第二戦、人族対獣人の戦いが始まる。




