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幸福システムで人生逆転~日常編~  作者: 夜空 星龍


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7/14

白鷺梨花を飲みに誘う

「二人ともお疲れ様」

「お疲れ様でした〜」

「お疲れ様です」


 閉店時間になり、店の掃除じも終わってひと段落ついたところで、梨花がコーヒーを淹れてくれた。

 梨花の淹れてくれるコーヒーは絶品で、龍太は梨花の淹れてくれるコーヒーが大好きだった。


「ありがとうございます。梨花さん」

「じゃあ、私は賄いを作ってくるわね」


 そう言って梨花はキッチンへと向かって行った。

 

「ねぇねぇ、今日の梨花さん、なんか元気なくない?」

「やっぱり鶴岡先輩もそう思います?」

「だって明らかに変だったもん。いつもなら、絶対にしないようなミスを何回かしてたし」

「ですよね」


 龍太たちの前ではいつも通りに振る舞っているつもりだったかもしれないが、香澄が言ったように普段の梨花なら絶対にしないようなミスを何度かしていた。

 

「もしかして、何かあったのかな?」

「かもしれないですね」


 それからしばらくして賄いのパスタを作って戻ってきた梨花さんはいつも通りの梨花だった。


☆☆☆

 

「それじゃあ、梨花さんお先です〜」

「はい。お疲れ様。今日もありがとね」

「お疲れ様でした」


 賄いを食べ終えて、着替えを済ませ、店を後にした龍太は香澄と一緒に駅に向かって歩き始めた。


「梨花さん大丈夫かな?」

「心配ですね」

 

 結局、龍太はバイト中に梨花のことを飲みに誘うことができなかった。

 今日中に梨花のことを飲みに誘わないとクエストが失敗となり、梨花の好感度が下がってしまうことになる。

 せっかく今、梨花の好感度は40%もあるのにクエストに失敗して5%失うのは勿体無い気がした。

 そう思ってスマホで時間を確認しようとカバンの中を探してみたが、スマホが見当たらなかった。


「鶴岡先輩。すみません。スマホをお店に忘れてきちゃったらみたいなのでお店に戻ります」

「え、大丈夫? 私も一緒に行こうか?」

「大丈夫です。申し訳ないですけど、そういうことなので、今日はここで」

「うん。分かった。気をつけてね」

「はい。お疲れ様でした」

「お疲れ〜」


 香澄の好感度を上げることも大事だと思ったが、今日はクエストが出てる梨花の方を優先しようと思った龍太は急いで店に戻った。

 店に戻ると裏口の鍵がまだ開いていた。

 

「よかった。まだ、いるみたいだ」


 もしも、梨花さんが帰っていたら、電話して飲みに誘おうと思っていたが、どうやらその必要はないみたいだった。

 裏口から店内に入ると事務所の電気がついていた。


「梨花さん」

「あれ、龍太君。どうしたの?」

「スマホを忘れちゃたみたいで」

「あら、それは大変ね。どこに忘れたの?」

「たぶん、ホールだと思うんですけど」

「ちょっと待ってね。電気つけてあげるから」


 そう言って梨花が立ち上がった瞬間に着信音が事務所に響いた。

 鳴ってるのは梨花のスマホで、梨花はスマホを手に取って誰からの着信なのかを確認すると、はぁとため息をついて、スマホをテーブルの上に戻した。


「電話、出なくていいんですか?」

「うん。大丈夫よ。また後でかけ直すから」

「もしかして、梨花さんが今日一日元気がなかった原因はその電話ですか?」

「えっ・・・・・・」


 龍太は思わず聞いてしまった。

 さすがにあんな態度を見てしまっては聞かずにはいられなかった。


「あちゃ〜。気づかれちゃってたか~。さすが龍太君ね。お客様の些細な変化にも気がつく龍太君が気がつかないわけないわよね。それに今日の私たくさんミスしちゃったし」


 梨花は申し訳なさそうな顔で微笑んだ。

 

「実はね、母から早く結婚しなさいってしつこく言われてるの。さっきの電話も母から。今年中に結婚しなかったら、お見合いをさせるって言われちゃって。ごめんね。こんな話聞かされても楽しくないよね」

「いえ・・・・・・」

 

 梨花の話を聞いて龍太はチャンスだと思った。

 どうやって飲みに誘おうかと思っていたが、これなら相談に乗るという口実で飲みに誘うことができる。

 もちろん自分なんかでは相談相手にならないことを龍太は分かっているが、このまま梨花のことをほおっておくことなんてできなかった。

 

「えっと、スマホを忘れたんだったよね」

「あの、梨花さん。よかったら、この後、俺と飲みに行きませんか? 俺なんかじゃ相談相手にならないかもしれないですけど、元気のない梨花さんの姿を見るのは嫌です」


 龍太がそう言うと、梨花は最初驚いた様子を見せたが、すぐに微笑んで「ありがと」と小さく呟いた。


「お酒で失敗してから、お酒は飲まないようにしてたんだけど、こんな時くらいは飲んでもいいわよね。もちろん朝まで付き合ってくれるのよね?」


 梨花は小悪魔な笑みを浮かべ、龍太に手を差し出した。

 もちろん龍太はその手を取り「朝までだってお付き合いしますよ」と言った。

 梨花のことを飲みに誘ったことによりクエストをクリアし、さらにスキル【幸福の手】の効果により、梨花の好感度は一気に上がった【現在の白鷺梨花の好感度46%】。


☆☆☆

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