幸福システムで人生逆転!?
天城龍太は平凡な大学生だった。
イケメンでもなければ、実家がお金持ちなわけでもない。
学力も普通だし、運動神経も普通で、何か他人より優れた才能を持っているわけでもない。
そんな龍太が唯一誇れるがある。
それは大学のマドンナと呼ばれている辻原香奈子と付き合っているということだ。
大学のマドンナと呼ばれいるだけあって、香奈子は龍太にはもったいないほどの美人だった。
そんな人物が自分と付き合っているということに龍太は誇りを持っていた。
しかし、龍太は最近、香奈子は本当に自分のことを好きなんだろうかと疑い始めていた。
香奈子と付き合って、もうそろそろ一年が経とうとしている。
だというのに龍太は香奈子と恋人らしいことを一切させてもらえていなかった。
デートはするけど、手を繋がせてくれたことはないし、キスをさせてくれたこともない。
それに最近の香奈子は何だか怪しい気がする。
もちろん疑いたくはないけど、会う頻度が減ってきているし、連絡の返信も遅くなってきている。
だから、龍太は香奈子が浮気をしているんじゃないかと思っていた。
「ふぅ~。そんなわけないよな」
龍太は首を横に振って頭の中から疑念を追い払った。
香奈子と付き合い始めて、もうそろそろ一年が経つということで一周年記念として龍太は密かに温泉旅行を計画していた。
バイトをいくつか掛け持ちして稼いだお金で、香奈子に喜んでもらおうと、龍太はちょっといいところの温泉旅館を予約した。
その話をするために龍太は香奈子を東棟の裏に呼び出していた。
「なぁ、香奈子。まだあんな冴えないやつと恋人ごっこしてんのか?」
「まぁね~。私のためにいくつもバイトを掛け持ちして貢いでくれるんだもん。付き合ってるふりくらいしてあげないと可哀そうじゃん?」
東棟の裏に到着すると香奈子と男の声が聞こえてきた。
龍太は咄嗟に物陰に隠れ、バレないよう少しだけ顔を出して見ると、ベンチに香奈子と見知らぬ男が座って楽しそうに話をしてた。
「お前も悪い女だよな~。あいつとそろそろ一年だろ? その間一回もヤラせなかったんだろ? 俺だったら、ヤラせてくれない女と一年も付き合うなんて無理だわ」
そう言ったガタイのいいイケメンが香奈子のおっぱいをも揉んだ。
「あんっ♡ こんなところでやめてよ♡ 誰かに見られたらどうするのよ~♡」
「そんなこと言って本当は揉んでほしいんだろ? てか、見せつけてやろうぜ。加奈子のおっぱいを揉めるのは俺だけなんだからよ」
ガタイのいいイケメンはその言葉の通り、見せつけるように香奈子のおっぱいを揉みしだいていた。
おっぱいを揉まれている香奈子は見たこともない顔をしていた。
気持ち良さそうな、それを望んでいるような、嬉しそうな顔。
香奈子がガタイのいいイケメンにおっぱいを揉まれて嬉しそうにしているのを見て龍太はその場に膝から崩れ落ちた。
龍太には一度だって体を触らせなかった香奈子が、恋人である龍太以外の男に体を触らせている、おっぱいを揉ませている。
その事実に龍太は絶望した。
「まさか、浮気をしてたなんて・・・・・・」
たった今、そんなことはないはずだと疑念を追い払ったばかりだったので余計に龍太は絶望していた。
「なぁ、香奈子。場所を変えようぜ。せっかくだから今日は外でヤるか?」
「ダメよ~。もう少ししたら彼が来るんだから。なんか大事な話があるって言ってたから待っててあげないと」
「おいおい。あいつと俺どっちを優先すんだよ」
「そんなの言わなくても分かるでしょ♡」
香奈子はガタイのいいイケメンにキスをした。
「もう、我慢できねぇ。行くぞ」
「もぅ~。仕方ないわね♡」
ガタイのいいイケメンに無理やり立たされた香奈子はそのままガタイのいいイケメンと一緒に立ち去って行った。
二人の声が聞こえなくなってすぐに龍太のスマホに香奈子からのメッセージが送られてきた。
香奈子:ごめんね。用事ができて行けなくなっちゃった。ちなみに大事な話って何かな?
「もうどうでもいいや」
龍太は香奈子のメッセージに既読を付けることなく、トーク履歴ごと消して、香奈子の連絡先をブロックした。
その瞬間、龍太の目の前に【ユーザーの絶望を検知しました。超幸福システムを起動しますか?】という文字が書かれたウインド画面が現れた。
【幸福システムを起動しますか?】
はい いいえ
「な、何だこれ・・・・・・」
いきなり現れたゲームや漫画に登場するようなウインド画面に龍太は困惑していた。
しかし、龍太はすぐに状況を理解した。
なぜなら、龍太はオタクだったからだ。
龍太の好きな漫画にこういう展開から人生逆転する漫画がある。
この展開はその漫画の展開そっくりだった。
「もしかして、これって人生勝ち組ってやつか?」
香奈子の浮気現場を目撃して絶望していた龍太だったが、その気持ちはどこかへ吹き飛んでいった。
「こんなチャンス掴むしかないだろ!」
龍太は迷うことなく『はい』を選択した。
【幸福システムを起動。ユーザーの認識を成功。ユーザー天城龍太に対して超幸福システムを適応します】
そんな画面が現れて【幸福システム】というのが起動したらしいが、龍太の身にこれといった変化は特に見当たらなかった。
「どうなったんだ?」
変化したことがあるとすればウインド画面が見えるようになったことくらいだ。
ウインド画面には【美女一覧】と【スキル】と【ガチャ】と書かれていた。
「美女一覧とスキル? スキルはなんとなく分かるけど、美女一覧って一体何なんだ?」
龍太は美女一覧の文字を指で押してみた。
すると美女一覧の画面に切り替わった。
切り替わったけど、画面には美女一覧という文字しか書かれてなかった。
試しに美女一覧の文字を押してみると説明文が現れた。
【美女一覧】
出会った美女のプロフィールを見ることができる
美女一覧の説明文はたったのそれだけだった。
「出会った美女のプロフィールか」
一人も載っていないということは龍太はまだ一人も美女と出会っていないということだろう。
それはそれでおかしな話だと思った。
なぜなら、少なくとも龍太は一人は美女に出会っているからだ。
香奈子は龍太がこれまで出会った女性の中で一番と言っていいほどの美女だった。
だから、考えられる可能性は二つ。
ここの載る美女は香奈子よりもレベルの高い美女に限る場合か、 これまでに龍太が出会ったことのある美女は載らずにこれから出会った美女が載る場合だ。
龍太はおそらく後者だろうと思った。
「まぁ、美女に出会えば分かるか。それよりも気になるのはスキルだよな」
オタクの龍太にとって、スキルという三文字にワクワクしないわけがなかった。
龍太はスキルの方の文字を押した。
するとスキル一覧が表示された。
【スキル】
・幸福の手
・幸福の唾液
・幸福の子種
「おっ、スキルが三つもあるのか」
スキル一覧にはスキルが三つ書かれていた。
一つ目は【幸福の手】、二つ目は【幸福の唾液】。三つ目は【幸福の子種】。
とりあえず、龍太は一つずつスキルの説明を見てみることにした。
まずは『幸福の手』を見た。
【幸福の手】
触れた美女を幸せな気持ちにする
触れる度に好感度が1%上がる(上限10%)
「好感度? 好感度って何だ?」
どうやら好感度というものが存在するらしい。
もしかして恋愛ゲームとかでよくあるやつだろうか。
好感度を上げれば何かいい事があるのだろうか。
そのうち好感度の説明もあるだろうと思った龍太は次の【幸福の唾液】の説明を見てみることにした。
【幸福の唾液】
対象の美女に唾液を飲ませると飲んだ美女の気持ちが昂る
唾液を飲ませると好感度が2%上がる(上限10%)
「唾液を飲ませるって・・・・・・」
このスキルで好感度を上げるためには、要するにキスをしなければならないということだ。
女性と手を繋いだことがない龍太にとって、キスをするのは至難の業だ。
「無理ゲーじゃねぇか」
最後にスキル【幸福の子種】の効果を見てみることにした。
【幸福の子種】
子種を対象の美女の中に出しすと、出した美女に幸福が訪れる
子種を中に出すと好感度が10%上がる(1回限り)
「こっちの方がさらに無理ゲーじゃねぇか!」
要するに美女とエッチをしろと言っている。
キスよりもさらに難易度の高いスキル効果に龍太は笑うしかなかった。
せっかく人生逆転できると思ったのにこんな無理ゲーを龍太にクリアできるわけがなかった。
そう思って項垂れたその瞬間、【美女と遭遇しました】というウインド画面が龍太の目の前に表示された。
☆☆☆




