表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/102

64 ギロチンジラフ

ウォーリーの口調に苦戦。

関西弁とかにしとけばよかったw

勢いよく倒れてきて結界を一撃で破壊した棒状のものに目を奪われる。

長さもさることながら太さだけでも俺の身長を超えている。

眺めていた先端の一部が開き、紅い瞳と目が合う。それは俺など歯牙にもかけない表情でのそりと起き上がる。


「結界が!?なんなんだあいつ」

「ギロチンジラフね。長い首を振って攻撃してくるわ」


見上げるほど高い位置にあるギロチンジラフの顔を伺う。下からはその表情は伺えず、どこを見据えているのかも分からない。


仲間が目の前で味方にやられたというのに、全くうろたえる様子もなくゴブリンが向かってくる。


「1匹足りとも通すな!」

「んな事言ったってこの数じゃ」


弱音を吐くルル。

リリは何も言わずにゴブリン達を蹴散らすが、そこへ再びギロチンジラフの首が降ってくる。リリはその首を真正面から受けきるが、その間は他までは手が回らなくなる。

リリが動けない隙に広場の中へワイルドファングが侵入する。ルルは他のゴブリンの相手をしていて間に合わない。

広場にいた男共が棒を振り回したりして抵抗するも、ワイルドファングに弾き飛ばされ、うち1人の腕に食らいついた。


「ぎゃあああああああ!!」

「情けねぇ声を出すんじゃねぇ」

「軟弱だな」


ウォーリーが男に食らいついているワイルドファングに短剣を突き立てると、ワイルドファングは霧散して消えた。いつの間にかフットマンが合流していたようだ。


「こりゃまたでっけぇお客さんだこって」

「大物だな」


ギロチンジラフを見上げる2人は世間話でもするかのように呑気に話しているが、その間にも広場に向かってくる黒獣を的確に処理している。


「リリ!あのデカブツを何とかしなさいよ!」

「むり」

「はぁ?あんたならあんなの余裕で一撃でしょう!」

「クレイがいいって言わないと、剣は抜けない」

「何よそれ、役に立たないわね!」


こっちはこっちで戦いながら言いあっている。リリもルルも手こずることなく応戦しているが、敵の数が多すぎる。討ち漏らした分はウォーリーとフットマンが倒してくれてはいるがいつまで持つかも分からない状況だ。


「結界もなしにこんな広いとこにいてもしゃーない。西門まで引きやすぜ!」


避難の指示を出すウォーリー。そこへ アマゾネスも合流する。


「あんたらまだこんなところにいたのかい!さっさと引きな!」

「今から逃げるとこでさぁ」

「ローズ!子供たちがまだ孤児院の中に!」

「ちっ。おい、勇者もどき!」

「………あ、俺?」

「他に誰がいんだよ!おまえ子供らを誘導しろ。それまではあたいらが踏ん張ってやっからよ!」


ローズの指示を受けて俺、ルル、リリの3人で孤児院に飛び込む。


子供らとシスター達は昼寝などに使っているいちばん広い部屋にかたまっていた。


「ススム様、ご無事でしたか」

「あぁ、けどここはもうダメだ。すぐに外に逃げるぞ」


『おい!でけぇのがくるぞ!!!』


外からローズが叫ぶ。


おいふざけんなよ!あたいらが踏ん張ってやるとか啖呵切ってから10秒くらいしか経ってねぇよ!ちょっとは踏ん張れよ!


咄嗟に床に手を当てる。

地面が遠い。床下の高さのせいで本調子とまではいかないがなんとか……


リリが俺より1歩前に出る。


「リリ、下がって―――いってぇ!?」


リリを後ろに下げようと手首を掴んだらビリリときた。静電気か?


「ビリリきた。…………ガルファ?」

「俺はススムだ」


とうとうリリまで俺を勇者にしたい病か?

静電気がきっかけとか、もうなんでもありだな。


今はそんなことに構ってる暇はない。


地面の感触は捉えた。そこへ目一杯の力を込める。


「伸びろぉぉぉっ!」


気合い最大で土の壁を創造。


黒い棒が天井をぶち破って降ってくる。


俺の壁とギロチンジラフの首がぶつかり合う。砕けたのは俺の壁の方だ。

上へ上へと壁を生み続けているがギロチンジラフの勢いは止まらない。


くそっ、ダメか!?


力は流し込み続けながらも、咄嗟に両手で自分を庇いながら身を反らす。


巨大な首が床を叩きつけて地面が揺れる。






―――――生きてる?


目を開けて横を見ると、ぶっとい首が倒れていた。


攻撃が反れたのか。直撃すると思ったんだが運が良かった。

ギロチンジラフの一撃で建物は半壊、壊れた壁から外の景色が拝める。


「うううっ……」


うめき声が聞こえて後ろを振り返る。

子供らは崩れた飛び散った瓦礫を受けて、何人かは怪我をしているようだ。

目の前の攻撃に必死でそこまで頭が回ってなかった。

幸いにも落ちてきた大きな柱はルルが受け止めて子供らへの直撃を防いでくれていた。


―――ズズズと地を這う音が聞こえる


こいつ、動くぞ!


黒い巨首は床を剥ぎながら横凪に迫る。


「くっ!」


どうするかと思考が定まらないながらも体は咄嗟に動いていた。

俺は子供らを覆うようにトンネル状の壁を展開していた。さっきの攻撃で建物の瓦礫から守ってやれなかったからだ。


しかし幅を優先した土のトンネルは壁が薄く、ギロチンジラフの攻撃を防げるとは思えない。どうすれば良かったのかは分からないが、この行動は正解ではない。大して意味は無いと思いながらも全力で土の強度をあげる。


ギロチンジラフの首に弾かれた瓦礫がマシンガンのように土壁を襲う。

しかしギロチンジラフの首そのものはトンネルを避けるように上へと反れた。


また外した?


飛んでくる瓦礫は防ぎきった。


逃げるなら今しかない、この2度の幸運を無駄にしてはいけない。


「全員動けるか!?外に出るぞ!」


動けない程のケガをした子はいないようだ。

全員トンネルから出て広場に飛び出した。

初めて誤字の指摘を頂きました。

コメントみたいなのもんだと思ってたんですけど、めっちゃ便利な機能でした!

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ