中学1年・夏
中学1年・夏
「佑ちゃん!!起きてっっ!!今日こそ遅刻するよぉ〜。」
「ん〜・・・まだ平気だよ・・あと3分〜・・。」
「お前いつもあと3分早く起きればって後悔するんだろ?」
「ん〜・・・」
「だめだこりゃ。いつもの言うしかないか。」
「佑、悪いけど俺未来と2人で学校行くから。」
「なんだってぇ〜!!!」
「あ、起きた。」
「ヤッベ、遅刻だぁ〜!!!」
朝の光景。幸太・未来・佑介。
幼なじみの同学年、隣んち。
僕達の家は3件並んでいて、屋根をつたってお互いの家を行き来できる。
いつも朝は僕、幸太は未来の部屋に行き、
未来をつれて佑介の部屋に入り、寝起きの悪い佑介を起こすのが毎日の『日課』だ。
最初は普通に起こす。
でも幸太が起きないのはわかってる。
だから最終手段を言うんだ。
『2人で行くから』って。
いつも3人が当たり前だからハブられるのが怖いんだ。
それと同時に・・・佑介は未来のことが好きだからでもある。
いつも佑介は僕に嫉妬する。
僕は勉強はそこそこできるほうだったから、
未来に勉強を教えてあげたりしていたから。
佑介はサッカーバカで頭はクラスでもビリをとるかとらないかの世界だから、
僕達が2人で勉強している間に入れないでいた。
僕のほうが未来といる時間が長かったから嫉妬してるんじゃないかな。
でも、僕だってこれでも一生懸命なんだ。
僕だって未来のことが好きだから。
佑介に奪われないように一生懸命なんだ。
「また遅刻か・・・。3人そろって。」
「すいません・・・。」
教室に着く。
先生は『またかよ』って顔をしている。
クラスのみんなはいつもどうり笑ってみてる。
もう慣れっこになってしまった。
「いいから早く席に着け。」
「は〜い・・・。」
ミーン・・・
外からセミの鳴き声が響く。
「今日は終業式が9時からあるからそれまでには体育館に行っているように。」
「は〜い。」
今日は終業式。
なんかいつもどうり過ぎてすっかり忘れてた。
終業式の日といえば毎年恒例のあの行事も今日あるわけで・・・。
「なぁ、今日花火大会だぜ!」
学校では僕は佑介やほかの男友達といる。
その中の1人のいつも佑介とビリ争いをしている林田が言った。
「お前ら今年も高橋の家で見るの?」
「もち。」
速攻で同時に答える。
「・・・そんなに好きなら告っちゃえばいいじゃん。」
何気のない林田の一言だった。
でも今の僕達にはそれができなかった。
3人でいることが当たり前すぎてしまったから。
ふられて未来との関係が崩れたらどうしようとか、
もし付き合ったとしたら、男の友情はどうなってしまうんだろうか。
それが怖かったから・・・。やっぱりハブられるのは嫌だから・・・。
「夏休みはダラダラしないようにちゃんと規則正しく・・・」
終業式が始まった。
校長のながったるい話。
誰もまともに聞いてないことに気づいてくれよ。
そう思いながら、今日の花火大会のことで頭がいっぱいになっていた。
その一方で、
「未来〜。」
「ん?」
未来と一番仲のよい麻衣が未来に話しかける。
「ねぇ、花火大会さぁ一緒に行かない?」
「ん〜・・・ゴメン。」
「また吉岡と若松と3人で見るの?」
「ゴメン!」
「だと思ったからいいよ。」
「ほんっとゴメンね、麻衣。」
「ねぇ、未来。」
「何?」
「そろそろどっちかにすれば?」
「え?」
「わかってるんでしょ、吉岡も若松も未来のことが好きだってこと。」
「・・・」
青春はツライ。
自分ではわかっているのに認めたくなかった。
『選ぶ』ことをしたくなかった。
このまま3人でずっと一緒にいたい。
その気持ちのほうが強かった。
終業式ももうすぐ終わる。
終わったら通知表もらって、部活やって、
家に帰ったら花火大会がある。
この花火大会が3人そろって見た最後の花火大会だった。




