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親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
8/20

逆転劇

随分間が開きました。

後半戦・・・続きです。

別タイトルで行こうかとも思ったのですが、あらすじが面倒なので(^^;

それ以外にも、本当に続きだし、転校前の朋花の話の要約が面倒で・・・


で、続きを2章としてUPする事にしました。


今日から本編9話と、おまけの聡太くんサイドの話を1話か・・・

長くなり過ぎたら2話に分けてUPです。

本編は上がってるので、明日以降はいつも通り午前10時にお届けします。

おまけは、今書きかけです。


ではどうぞ。

「・・・あのさ、朋花、まだ返事は保留のまんまだよな?」

「あーそういえばそうだね。」

学校からの帰り道、不意に航がそんな話を持ち出してきた。

今の状態が居心地がよくて、ついそのままになっていた。質問攻めの間で急に告白されてから一ヶ月くらい過ぎたと思う。航も返事を急かすような事をこれまで一度も言ってこなかった。

「言い難いんだけど・・・」

「何?」

あの航が珍しく言い澱んでいる。さすがに返事が聞きたいんだな、確かに長い事放って置き過ぎた気もする。

『OK、いいよ』って返事を用意して私は航の言葉を待った。

「あのさ、ちょっとキャンセルしていいか?」

「・・・はっ?」

「朋花の事好きなのは変わってないんだけどさ、あの時は俺・・・お前の事何も知らずに言っちゃったからさ・・・だから、少し時間くれない?」

「・・・何それ?」

思いもかけない事を言われ、私は足元が崩れて谷底に落っこちでもしたような・・・そんな状態だ。

「だって、まだ返事してないんだからいいだろ?」

「そういう問題じゃなくて・・・、」

私は付き合う前から、ううん、返事をする前に、告白してきた人に振られるって事?

まったく悪びれた様子も無く、何か物を借りる時くらいの感覚で言われた言葉に、ものすごくショックを受けて私はその場を逃げ出した。

「あ、朋花? ち、ちょっと待て・・・」

航の引き止める声を振り切って、私は家まで走って帰った。



「何で、何でよ!? 何で今になってキャンセルなんて言い出すの!?」

肩で息をしながら自分の部屋に駆け込み、勢いでカバンをベッドに叩きつけた。

しかし、その反動でベッドの上にあったコンポのリモコンが飛び上がり、床に落ちて電池が飛び散り・・・当たり散らしてもいい事なんか無いぞって、どこかの誰かに言われているような気がして、ガックリと力が抜け床に座り込んだ。

「何でこうなるの・・・?」

いきなり過ぎて、まだよく分かんないけど、きっと自業自得・・・なんだよね? きっと私何かやったんだ。

段々航に傾いてる自分に気付いて、航に構って欲しくて色々ちょっかい出してきたから、それかもしれない。その挙げ句がキャンセルさせてくれってんだから、おかしくて仕方ない。今の私は全然笑えないけどさ・・・。

さっさとOKしとけばよかっただけなのに、今となっては後の祭りで、もうどうにもならない。

カバンを床に引きずり下ろして、布団に倒れ込んで突っ伏した。制服に余計なシワが入ったり、白くなったりしそうだけど、何か今はどうでもいい。このまま寝ちゃって、起きたらすべて夢でしたって事になってたらいいのに・・・

でもそんな事はあり得なくって、眠れもせず、後悔に苛まれたまま時間だけが過ぎ、下から夕飯を告げるお母さんの声が聞こえた。



朋花が走って行った後、突然後ろからどつかれた。

つーか、蹴ったな!?

「航、お前何してんだ!?」

聡太にしては珍しく大きな声だ。しかも怒っているらしい。

「痛いな・・・、何すんだ?」

「何じゃない、お前こそ正気か? キャンセルってどういう気だ?」

振り向くと怖い顔なんかじゃなくて、逆に表情がよく分からないくらいでかなり驚いた。からかうと嫌な顔したり睨んでくるけど、ひょっとしてこれは、そういうのを突き抜けた状態なのか? だとしたら、こいつがここまで怒ったのは見た事が無い。

「・・・あぁ、それか。やり直したかったんだ。」

「何を?」

「何って、告白自体をだよ。」

「何で?」

「・・・言ったろ? 朋花の事何も知らないで勢いで言っちゃったから、よーく朋花の事を知ったうえで、改めて告白し直したかったんだ。だから、朋花の事を知る時間が欲しかったんだけど・・・。」

聡太は右手で顔の半分を押さえて項垂れた。さっきまでの怒りはどこかへ行ってしまったらしく、いつもの見慣れた聡太に戻って眉をしかめている。

「・・・見事に誰にも伝わってないぞ、それ。」

「途中で逃げられたしな・・・。」

「違う。・・・あのさ航、それはとっても航らしいと思うんだけど、バカ正直にキャンセルなんて言わなくてもいいと思うんだけど?」

「そうか?」

「そうだ! 現に今。朋ちゃん傷つけただろ?」

「ん・・・そうみたいだよな・・・参ったな~。」

俺は、こうなるなんて思ってもみなかった。

軽々しく告白してしまった事が申し訳なくて、俺の知らない朋花もどうにかしてやりたくて、全部まとめて任せとけ!・・・って言えるように、前の学校での事を聞きたかったんだが、それ所じゃなくなったな。

「・・・参ったって、ちゃんと先の事考えろ。そうしないと次無いぞ。このまま朋ちゃんに嫌われて、これでお仕舞い。航、残念でした~って?」

聡太はふざけた口調で恐ろしい事を言う。その内容に俺は本気で血の気が引いた。

「マジか!? そりゃ困る。」

「短絡的。・・・その時その時の気分で決めてないで、たまにはに本気で考えろ。」

指を突きつけて、俺に念を押した聡太は、急に向きを変えると先を歩き始めた。

・・・いや、今回は俺、よく考えたつもりだったんだけどな。



まったく何で今? どうして今、あんな事を言い出すんだ航は?

朋ちゃん、絶対航の事好きになってきてたのに。後ろから見てたらそれが一目瞭然で・・・ショックだろうな。

僕としても、三人でいるのが当たり前になってしまった今、このままバラバラになってしまうのは嫌だ。間に挟まれて気まずい思いをし続けるのは、もっと御免被りたい。

という事は、今僕はあの二人の仲直りに尽力するしかない・・・という事になる。

・・・さて、どうしたものか。

朋ちゃんの気持ちに微塵も気づいてもいない航に、それをはっきり伝えたら、ルール違反だってきっと朋ちゃんは怒るだろう・・・そもそも僕が伝える事じゃない。

朋ちゃんに航の考えを伝えるのは癪だ。ああいう考え無しな行動を今後改めてもらうためにも、今は十分考えて自分でどうにかして欲しい。

とは言え、板挟みの状態は好ましくない。

秋から冬に変わりかけの幾分暗くなった道を一人で歩きながら、前途多難な先を考えている自分に溜息を吐いた。

自分の事もどうにもできずにいるのに、どうして人の恋路に手を出さなければならないのか・・・その今の状況を周りのもの全てに笑われているような気がして、もう一度溜息を吐いた。


途中で手放した事を本気で後悔。

区切らなければ、朋花の過去は本人の回想じゃなくて、

兄貴の和樹に語らせたのにー!!

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