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【2章完結】記憶喪失勇者 ~最強の勇者は、自分が何者なのかを知らない~  作者: さいらす
第1章

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1-1 勇者ライアス

 プロローグ


 ガリウス王国歴千六百二十二年、ベガリア王国。


 二年前、魔王が魔族の軍勢を率いて魔界からあらわれた。


 炎に焼かれた街。跡形もなく踏み潰された村。長き平穏のなかで戦いを忘れていた人々は、逃げ惑うしかなかった。


 神々に愛された古き王国は、一夜にして地獄に変わったのだ。


 だが、人間たちも黙ってはいなかった。


 隣国ガリウス王国から勇者が旅立ち、連合軍を率いて反撃を開始。二年にわたる死闘の末、魔王軍をその出現地点にまで押し返すことに成功したのだった。


 そして、いま――。


 王都ベガリスの南、約四十キロメートルの平原で、ベガリア王国軍七千と魔王軍四千が激突している。


 ベガリア王国軍の後方からは、援軍のガリウス王国軍五千とエルフ族の精霊術士部隊五百も駆けつけ、戦況は人間側の優勢で推移していた。


「ついに、ここまで魔族どもを追いつめたな、ライアス」


 自分の身体とほぼ同じ長さの太刀を背負った黒髪の猫人族(マレス族)の女剣士――パナメラが、後ろに立つ騎士姿の男に笑顔で振り返った。


「ああ、二年もかかったが今日、ここできっちり決着をつける。魔王ギリヨンを倒すぞ」


 ライアスと呼ばれた金髪でたくましい体格の騎士が、顎の無精ひげをいじりながら、うなずいた。


「たったの二年。私たちエル・フには瞬きするほどの時間ですけれど、人族にとっては、長いながい二年だったかもしれませんね」


 騎士の傍らに立つ、若葉色を帯びて煌めく金髪の精霊族(エルフ族)の女賢者――フルリーヌが、宝石のような緑色の瞳を細めた。


「ガリウス王国を旅立ってから、もう二年も経つのか。サイラスは剣の稽古をちゃんと続けてるかな?」


 背負っていた太刀を下ろし、パナメラはしみじみとした表情を浮かべる。


「ああ、毎日欠かさず素振りをしてるって、アレクサンドラからの手紙に書いてあったな」


 ライアスは、鮮やかな黄色の大きな丸い盾を地面に立て、その上に手を置くと、遠く離れた故郷の方角を見つめて微笑んだ。


「あたしの教えを、ちゃんと守ってるんだな。偉いぞ、あのチビ」


 パナメラが、にやりと白い八重歯を見せた。


「私たちが王都を出たとき、サイラスは確か十歳でしたね。人族の成長は早いですから、きっと背も伸びているのでしょうね」


「無口で、笑いもしない。子供らしくないやつだけど、剣の筋だけはやけにいいんだよね」


「ふふ、パナメラは本当にサイラスのことが気に入っているのですね」


「そりゃそうさ。あんなに才能のある弟子は、マレス族のなかにもいないからね」


「帰ったら、まずはあたしと手合わせだね。二年でどれだけ腕を上げたか、確かめてやる」


「ほどほどにしてやれよ。おまえの『確かめる』は、相手が立てなくなるまでだからな」


「失礼だね。手加減くらい、あたしだってできるよ」


「あら。先月、手加減したと言って、騎士を三人まとめて川に放り込んでいませんでしたか?」


「……あれは、あいつらが弱すぎたんだよ」


 仲間たちの会話に、ライアスは故郷を懐かしむような顔になった。


「サイラスとアレクサンドラには、土産を買って帰らなくちゃな」


「二年も、奥さんと息子を放ったらかしにしたんだ。お土産は馬車いっぱいくらいは必要なんじゃないか?」


「そうだな。馬車いっぱい、ベガリアのワインでも買って帰るか!」


「それは、おまえが飲みたいだけだろう、ライアス」


「ははっ、バレたか。けど、二年分の留守を許してもらうには、それくらい必要だろう?」


「本当にダメな父親ですね」


 フルリーヌが、あきれたように肩をすくめた。だが、その緑の瞳は優しく笑っている。


「お土産には、魔王の首を持って帰りましょう。アレクサンドラも、サイラスも、きっと喜びますよ」


「フルリーヌ、おまえな……」


 ライアスが額に手を当てて、ため息をつく。


「魔王とて魔族。魔族は死ねば灰になるんだぞ。首なんか、残るかよ」


「あら、そうでした」


 フルリーヌは、悪戯っ子のような笑顔で、ぺろりと舌を出した。


「それでは、魔王の魔晶石を持って帰りましょう。きっと、見たこともないような大きさでしょうから」


「ああ、そうしよう」


「それ、馬車に載るのかな?」


 三人は声をそろえて笑った。この二年間、ともに幾度も生死の境を乗り越えてきたのだ。それが今日、終わろうとしている――。


「魔王出現! 魔王出現!」


 前方から馬に乗った伝令が、慌てた声で叫びながら、戦場を駆け抜けていく。笑いはぴたりとやみ、三人の顔が、一瞬で戦士のそれに変わった。


「記憶喪失勇者」1-1を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

さいらすと申します。


はじめて書いた小説をこちらに投稿して、すごくドキドキしています。


もし、この小説を読んで、すこしでも面白いと思っていただけたら

【☆☆☆☆☆】をタップして、★をいただけると嬉しいです!


1-4まで主人公が出てきませんが、続けて読んでいただけるとありがたいです!


ブックマークで応援していただけると、とてもとても嬉しいです!!

あなた様の応援が、何よりの原動力です。よろしくお願いいたします!!


※『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』という小説も書いています。

※本編の800年前のお話です。

※リンクはあとがきの下にあります!


ChatGPTでイメージ画像を作ってみました。


挿絵(By みてみん)




※この小説は執筆に一部、AIを使用しています。

・自身で執筆した文章をAIに改変させているが、再度全て自分で編集・改稿

・自身で執筆した文章の誤字・脱字チェック

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『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』はこちら 本編の800年前のお話です。
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