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第一夜・たけのこなのかねこなのか

 近所の人にたけのこをいただいたが、なんと中からニャーと鳴き声がするではないか。

 抱えてみればずっしりと重く、そればかりか仄かに温かい。

 何とも不思議な感覚がしたので、暫くそのまま生活をすることにして、時折暇をみては抱え、手持ち無沙汰になった時には話しかけたりするなどしていた。

 

 ある日知り合いがたけのこの()()に成功したと言うではないか。

 中からは愛らしいねこが出てきたとのことで、ひどく自慢げである。


 なんとも羨ましい。


 我もと思い小走りで帰宅をすると、さっそくソファに鎮座する温かなたけのこを抱き抱えたのである。

 うちのニャーと鳴くたけのこからも、きっとどこのうちよりも可愛いたけのこねこが生まれるに違いない。

 逸る気持ちを抑え、少しずつ皮をめくり脱皮をさせたのだが、中から出てきたのはなんとカレーであった。

 

 なぜカレー。ねこはどこへ行った。ねこ、どこ。


 だが、カレーもまたニャーと鳴くのである。

 しかしなにせ液体だ。そのまま愛でるわけにもいくまい。

 また、たけのこねこが死んでしまうのではないかという不安が途端に押し寄せて、慌てて皮に包み直したのだが、やはり中からニャーと声がするのである。


 数日後、チャプチャプとした水気を感じなくなったので、おそるおそる皮の隙間から中を覗き込むと、中身はホカホカの卵焼きのようなものになっていた。

 しかしその卵焼きもまたニャーと鳴くのである。



 ニャーと鳴く卵焼きがその後どうなったのかは残念ながら知る由もないが、

 夢の世界であの卵焼きは今日もホカホカのままニャーと鳴いていることであろう。


おしまい。

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