目が覚めて。
ゆっくりと瞼をあける。
机に。
テーブル。
私の部屋。
カーテンの隙間から。
一筋の柔らかな光が差し込んでいる。
ちらりちらりと埃が。
その中で瞬いていた。
手を伸ばして。
枕元のスマホを手に取る。
画面をつけて。
時刻確認。
8時24分。
「ふー」
ため息一つ。
掛け布団を頭から被る。
よく寝たような。
寝てないような。
頭も冴えているような。
冴えていないような。
疲れたようにも感じるし。
なんかだるい。
「ふわぁ」
あくびが出て。
目頭を拭う。
朝は苦手な方じゃないけど。
うーん。
もぞもぞと体を丸める。
両手を股の間に挟んで。
ぬくぬくする。
とっても大切な夢を見ていた。
気がする。
どんな内容だったか。
思い出そうとしても。
笛の音と。
お姫様らしき人と。
あとは……
ぎゅっと目を閉じてみるけど。
全然ダメだ。
思い出せない。
そもそも。
覚えてる夢自体が。
あまりないように思う。
ていうか。
頭が重い。
だるい。
花粉症でもないし。
生理でもない。
週末の引っ越しは。
ちゃんと予定日をずらしたから。
風邪かな?
嫌だな……
喉乾いたな。
なんか寝汗もかいている。
ベッドから出たくないな。
小さく息を吐いて。
よし。
布団をはいで。
ゆっくりと起き上がる。
寝不足なのかな?
のそのそと足を下ろして。
両手を挙げて伸びをする。
「んー」
すとんと肩を落とす。
「はあ」
だるい。
「ふわぁ」
あくびをしながら。
立ち上がった。
顔を洗って。
歯磨きをして。
ミネラルウォーターのペットボトルを持って。
部屋に戻ってきた。
ああ……
開いたままのダンボール箱。
アルバムやらが床に散乱したまま。
テーブルの上には。
差出人不明のラブレター。
結局。
何も分からないままか……
ペットボトルを抱えて。
カーテンを開ける。
眩しさに目を細めた。
少し風があるのか。
向かいの家の庭の木が波打っていた。
外を眺めつつ。
ペットボトルに口をつける。
冷たい液体が喉を伝っていく。
気づけば。
半分ほど飲み干していた。
ピコン。
ベッドの上のスマホが鳴った。
ペットボトルをテーブルに置いて。
ベッドサイドに腰かける。
朝から誰ですか?
手に取ったスマホの画面を見つめた。
ん?
岡田だ。
『亜季から連絡もらった。例のラブレターの件。沢田じゃないな』
ん?
「確認したの本人に?」
『それとなくな、お前のこと気にはしてたけどな』
「そっか。ありがとう岡田」
『いや、いい。おまえが東京行くって伝えたら、沢田も東京の大学に行くんだって』
『だから、連絡取りたそうだった。沢田の連絡先知りたかったら教える』
ふーん。
そうなんだ。
沢田くんか……
でもな。
ラブレター気になるでしょ。
『あと他の男子、数人に当たってみたけど、該当者ゼロ。まあ、本人が俺に嘘ついてたら、知らんけど』
『何か分かったか?』
「全然。お手上げ。橋の場所も分かんないし。岡田ありがとうね色々」
『気にすんな。城が見える橋なんて腐るほどあるからな』
「一応、志帆が金華橋じゃないかって。だから明日行ってみようかなって。志帆が一緒に来てくれるし」
『まあ、一人よりかはマシだな』
頼りになるな岡田。
幼馴染み四人で唯一の男子。
あれ?
そう言えば。
岡田が好きな女の子の話。
聞いたことないな。
まさか……
ね。
「あのさ。念のためだけど、岡田じゃないよね? ラブレター?」
冗談のつもりで打ち込んだ。
?
あれ返事が来ないけど……
まっ。
どうせもったいぶって。
私をからかおうとしてるんだよね。
さてと。
引っ越しの準備は。
あとは衣類とか。
身の回りのものだけだから。
「だるーい」
ベッドに横たわる。
机の上の写真立てが目に入った。
幼馴染み四人で撮った。
卒業式の日の笑顔たちが。
私を見つめていた。
お読み下さりありがとうございます。
感謝しております。




