ギャングとの追撃戦
前方から、9ミリ弾とAK弾が連続で放たれまくり、賢一たちは死ぬかと思った。
しかし、弾切れになったらしく、敵の攻撃が弱まったため、賢一は頭を上げる。
「弾切れだっ! スピードを上げるわよっ!」
「こっちも逃げるっ!」
アジア系の女性ギャングは、弾倉を交換するために、一度退却しようとする。
アジア系のギャングも、崖沿いに緩くカーブした先に車体を隠そうと、速度を一気に上げた。
「こっちも、このまま…………うぎゃっ!」
「ぐはぁぁ…………」
「誰が逃がすかっ! 反撃だっ! コノヤローー! ゾンビの餌にしてるっ!」
「逃がしません…………さっきのお返しですっ!!」
左側の四輪バギーに向かって、賢一はシグP220を連射するが、なかなか弾が当たらない。
だが、メイスーの機銃掃射は、ギャング達を貫通して、二人とも纏めて射殺した。
アジア系の女性ギャングは、車を草むらから浜辺へと走らせながら横転させた。
ラテン系のギャングも、後部から落ちて、転がりながら砂を赤く染めた。
「不味いっ! 仲間が殺られたぞっ! うぎゃあっ!」
「きゃああああああ」
カーブした先に逃げていたアジア系のギャングは、後ろを振り向いた。
次いで、直ぐに四輪バギーの速度を上げたが、そこに右側から何かが、勢いよく衝突した。
その衝撃により、小さな車体は制御を失い、ひっくり返ってしまった。
そして、奴は白人女性ギャングとともに、身を投げ出されてしまい、茶色い崖に当たる。
「邪魔だっ! 悪党は救助しないっ!」
「自業自得だね」
鏡を見ながら四輪バギーを倒したことで、ジャンは気を引き締めて、ほかの敵を探す。
死んだ二人の死体が、崖に隠れて見えなくなっても、モイラは警戒を怠らない。
「やったか? 後ろの方は…………」
「まだ、戦ってますっ!」
「バイカー連中は、弾を当てにくいわね」
「横に来やがった、来るなっ!」
「死になっ! クズ野郎っ!」
「死ね、死ねっ!」
険しい表情のまま、賢一は後ろで戦う仲間を気にするが、メイスは機銃掃射を開始する。
二台のバイクに追われながら、エリーゼは荷台に伏せて、鉄板を盾にする。
黒人女性ギャングは、ソードオフを撃ち、横に拡散する散弾を放った。
太平洋系の女性ギャングも、マカロフを乱射しながら、赤いピックアップに近づいていく。
「うわわっ! このまま、死んでたまるかっ!」
「死にやがれっ! ぐぎゃああっ!」
太平洋系の女性ギャングが、赤いピックアップに右側から回り込むと、マカロフ弾を放ってきた。
当然ながら、ダニエルは頭を下げながら、トカレフで応戦すると、偶然だが敵の胸を撃ち抜けた。
「やったか? ダニエル達ので、最後か? あと、一人を倒してくれればっ!」
「そうは行かない見たいですっ! 上から来ますっ!」
残り一人となった敵を、ミラー越しにチラ見する賢一だったが、まだ安心できなかった。
崖上を走るバイク部隊を見つけて、メイスーはM1919の銃火を放つ。
「見つかったぞっ! 手榴弾を投げろっ!」
「発煙弾を喰らえっ!」
崖上と言う有利な地形を利用して、白人ギャングは手榴弾を投げてきた。
太平洋系のギャングは、何回か発煙弾を投げたあと、CF98を乱射してくる。
「うわわ…………爆風がキツい…………煙も前が見えなくなるっ! コイツは不味い状況になったな」
「こっちの攻撃も、崖に阻まれてしまいますっ! しかも弾切れ? どうやって、入れ換えるんですか? 予備の弾もどこに?」
道路に転がった手榴弾は、どのタイミングで爆発するか、予想ができない。
目の前で、炸裂するかと思えば、やや後方で爆炎を上げたりもする。
視界を遮ろうとする煙幕弾とともに、吹き上がる炎を避けて、賢一は何とか運転を続ける。
しかし、いつ車の真下で爆裂するかも分からない爆弾に、彼は恐怖を感じる。
そんな中、メイスーはM1919が弾切れになったため、パニックになってしまう。
「メイスー、拳銃でもライフルでも良いから? 武器を持ちかえろっ!」
「は、はいっ!」
賢一は取り敢えず、慌てまくるメイスー落ちつかせるため、声をかける。
すると、彼女は冷静さを取り戻し、斜め上に向けて、ライフル弾を撃つ。
「こっちも、居るんだよっ!」
「うぅ? また腕がっ! 良くも、やってくれたわね」
「おい? 無事かっ! うわわわわ? 前が見えね~~!?」
黒人女性ギャングは、ソードオフから散弾を放ち、それがエリーゼの右腕を貫通する。
鉄板からMP28を片手だけを出して、乱射しようとしたら、二発の黒丸が肉を抉った。
後ろから、カンッと車体を叩く金属音を聞きながら、焦るダニエルは速度を上げようとした。
ただし、目の前に落ちてきた発煙弾を避けられず、仕方なく車を急停止させてしまった。
「うあっ!? 危ないっ!? うぎゃああああ」
「何か、ぶつかったか?」
「ギャングが事故っただけよ…………」
突然、停まった赤いテクニカルを避けるべく、黒人女性ギャングはバイクを右側に走らせた。
だが、勢いよく急旋回したため、路上に転倒しながら滑っていった。
ダニエルは、後ろから聞こえる悲鳴を聞いて、エリーゼが無事か確かめる。
すると、彼女はポーカーフェイスを崩さず、今度は斜め上のギャング達をAK74で狙いはじめた。
「崖を盾にしているわ…………こっちが不利な地形ねっ!」
「ライフルでも、当てられない…………」
「手榴弾が切れた、じゃ拳銃を撃つしかないな」
「弾は、まだまだ充分にあるっ!!」
崖ごと、ギャング達を撃ち抜くために、モイラはM1ガーランドを構える。
SKSを何回も撃ち、メイスーは敵を狙ってみたが、やはり弾が当たらない。
白人ギャングは、崖上からトカレフを乱射するが、こちらも狙いを定められない。
太平洋系のギャングも、コルト45を何発か撃ちながら、弾切れになると断崖から離れていく。
「残りは、上だけか? なら、無視して、撤退だっ!」
「あっ! ゾンビが、ちらほら見えて来ましたよっ!」
崖と浜辺のどちらにも、住居や店舗などが見えてくると、ゾンビ達も増えてきた。
賢一とメイスー達は、村落の中に入れってしまえば、逃げ切れるだろうと思った。
「危なっ! ちくしょーー! 逃げられちまうっ!!」
「くっ! 坂道がっ! 戻るしかないっ! ここはゾンビも多いからなっ!」
白人ギャングと太平洋系のギャング達は、断崖を前にして、バイクを停めるしかなかった。
浜辺から内陸部へと登るために整備された坂道が、急に現れたからだ。
「連中、追って来なくなったわ? もう安心できるわよ? これで、AKを撃たなくて済む…………」
「そうかっ! だったら、もう少ししたら適当な場所に隠れて休むぞ」
「やっと終わりましたかぁぁ…………」
「ふむ? だが、まだ気は抜けないっ! ゾンビが来るかも知れないからな」
「ヒギャッ!?」
「ガフッ!!」
エリーゼは、肩から力を抜いて、右腕を見るが、真っ赤に破れた血肉を眺めても痛みを感じない。
戦闘に集中するために、アドレナリンが出ていたからかと彼女は思った。
賢一は、村を抜けると、遠くに見える崖に囲まれた白い屋敷へと、テクニカルを走らせた。
メイスーも、経たりこみながら、SKSを両手で掴み、荷台で座ってしまう。
ようやく終わりを告げた戦いに、ジャンは緊張感が抜けてしまった。
だが、正面に会社員ゾンビと漁師ゾンビ達が見えたため、アクセルをベタ踏みした。
こうして、彼らはギャング達の襲撃を振り切り、ゾンビ集団に囲まれる前に、道路を進んでいく。
やがて、車両部隊は河原にあるような岩石を固めた囲いに向かっていった。




