沿岸部のレース
賢一たちのテクニカル部隊は、崖と海に挟まれた道路を走り、漁港を目指す。
時おり、見えるゾンビ達は無視するか、引き殺しながら前へと向かっていく。
「それっ! これで、安全になったわ…………」
「グオッ!」
最後尾を走る赤いテクニカルの上で、エリーゼはハチェットを振るった。
すると、小走りで近寄ってきていた包丁を持った漁師ゾンビの側頭部が、抉られる。
「メイスー、後ろで音が聞こえたが? 大丈夫か?」
「ゾンビが殺られただけです? 心配は要りません」
運転席から賢一が声をかけると、メイスーはM1917を握りしめながら答える。
「ん? 道の先に何かあるな? アレは…………ギャングだっ! 撃ってきたぞっ!」
「ひぇぇっ! 撃ち返さなきゃっ!!」
浜辺に、何軒か家が建ち並び、そこでは木箱やズタ袋が設置されている。
そして、何人の人間が武装している姿が、遠くからでも確認できた。
賢一は、こちらを攻撃してこないように祈ったが、やはり連中から銃撃を受けてしまった。
直ぐさま、メイスーが機銃掃射を行い、敵が反撃してこないように圧力をかけた。
「敵だっ! 連中、追いかけてくるぞっ!」
「分かってるわ」
「射撃は任せたぞっ!」
「近づいて来やがるっ! トカレフ弾を喰らいやがれ」
「ここからなら、AK74ね」
仲間たちに聞こえるように、賢一が叫ぶと、モイラの声とM4カービンを撃つ音がする。
どうやら、ジャンは運転に集中するため、射撃しない積もりらしい。
後ろから、彼の運転する青いテクニカルが、スピードを上げる走行音が鳴り響く。
ダニエルは、敵が来たらトカレフを撃つべく、それをダッシュボードに置いた。
エリーゼは、最後尾で後ろから迫ってくる部隊に向けて、AK74を二発ずつ撃ち続ける。
「あの野郎どもを撃ち殺せっ!!」
「もっと、スピードを上げろっ!」
「撃ちまくれーー!? ぐへ?」
「一人、殺られたっ!?」
白人ギャングは、弾が当たらないように、黄色いピックアップを、蛇行運転させながら近づく。
助手席から、黒人ギャングはイサカM37を暴発連射しまくり、散弾を放ちまくる。
後部座席、左側から立ち上がり、アジア系のギャングはM16連射するが、首を撃ち抜かれた。
ラテン系のギャングは、慌てながらM1カービンを構えて、一発ずつ狙い撃ちしてくる。
「うるさい連中だわっ! これでも喰らいなさいっ!」
「危ないっ!?」
「こりゃあ~~M4を連射するしかないわねっ!」
「うげげげげっ!!」
「近づいてきたら、撃ちますよっ! 本当に撃ちまくりますからねっ!」
エリーゼの右手から火炎瓶が投げられると、白人ギャングは炎を避けるべく、ハンドルを右に切る。
モイラは、M4カービンを五発六発ずつ撃って、黄色いピックアップを狙う。
すると、体中を穴だらけにされた、アジア系のギャングは車から力なく落ちていった。
メイスーは、二人が乗っている味方のテクニカルに攻撃を当てないように、機銃掃射を行う。
M1919から放たれる機銃弾は、断続的にギャング部隊を攻撃した。
「橫に回り込めっ! 散弾銃で、撃ち殺すっ!」
「分かったっ! ぶつけてやるっ!」
「そうはさせるかっ! 下がればっ!」
「うわっ! 頭を下げなきゃ、不味いわねっ!」
攻撃を掻い潜り、黄色いピックアップが右側に回り込んでくる。
そして、助手席の黒人ギャングは、イサカM37を暴発連射させて、何発も散弾を放った。
白人ギャングも、青いテクニカルに車を衝突させようとしたが、ジャンは急ブレーキを踏んだ。
それにより、揺れた荷台の上で、モイラは体制を崩して、伏せてしまった。
だが、それは幸いにも多数の粒弾から、彼女を守り、鉄板に小さな穴が開く。
「モイラさんが、ヤバいですっ! 今度はジープが来ますっ!」
新手が迫り、メイスーは機銃掃射をケネディ・ジープに向ける。
「撃たせるかよっ!」
「死ねっ!」
「狙い撃ちだわ」
「散弾を浴びてやるわよっ!」
アラブ系のギャングは、運転しながら、左手でマカロフを握り、何回か発砲する。
太平洋系のギャングも、助手席で、AK74を弾切れになるまで乱射しまくった。
スカンジウムの照準を覗く、アラブ系の女性ギャングは、メイスーを狙撃してきた。
白人女性ギャングは、ダブルバレルから散弾を放ち、三台のテクニカルに、たくさん小穴を開ける。
「おいっ? どうなってるんだ?」
「敵が、しつこいです」
「ひゃーー! 壁を貫通しないよな?」
「大丈夫よっ! 運転に集中して」
賢一は、鏡をチラ見したあと、すぐに前を向き、メイスーに戦況を聞いてみる。
すると、彼女は夢中でM1919を握り、機銃掃射しまくっていた。
窓の側を、弾丸が飛んでいく中、ダニエルは頭を低くしながら運転するしかない。
エリーゼは、AK74が弾切れになると、一度は伏せて、立ち上がながらMP28を連射した。
ギャング達の車両は、すでに後方にまで下がっており、再び攻撃する機会を伺っている。
そして、互いの車両に銃弾が当たっては、カンッカンッと金属音を鳴らす。
「しつこい連射だわ、これを喰らいなっ!」
「うわああああっ!」
「ぎょええーー!!」
「火炎瓶を投げまくればっ!」
「不味いっ? ああああーー!!」
「ぎゃああっ!?」
「もっ! 燃えるわっ!」
「うわわわわっ!?」
M1ガーランドを撃ちまくり、モイラは黄色いピックアップのエンジンを壊そうとした。
だが、その前に白人ギャングが胸を撃たれてしまい、黄色いピックアップは崖にブチ当たった。
その勢いで、黒人ギャングはイサカM37を手放し、空中を舞って、路上に放り出された。
火炎瓶を投げまくり、エリーゼは後ろを走るケネディ・ジープを狙う。
何回か投げられた瓶は、路上に落下する度に、真っ赤な炎を広げる。
その内、二個が運良くボンネットと運転席に当たり、車を燃え上がらせた。
結果、アジア系のギャングは火達磨になって、運転席から転げ落ちる。
太平洋系のギャングは、叫びながら火を消そうと暴れまわり、手足をバタつかせた。
アラブ系の女性ギャングも、後部から飛び降りてしまい、道路に転がる。
背中に、火の粉が着いてしまった白人女性ギャングは、同じく路上に身を投げた。
「今度は前から来たぞ? どうやって、回り込んでいたんだ? と言うか、反撃するぞっ!」
「また、敵が? 死んで下さいっ!?」
「後ろからも来ているわよ? また、M4に持ち変えなきゃね?」
「しつこい連中だっ! 引き殺してやるっ!」
四輪バギーに乗っているギャング達が、前方から二両編成で現れた。
後方からも、バイクに跨がるギャング達が、同じく二両編成で追ってきた。
シグP220を取り出し、賢一は左手を窓からだして、適当に発砲する。
前方から走ってくる敵を狙って、メイスーはM1919を連射させ続けた。
後部鉄板に身を隠し、モイラはM4カービンを、連射するために、再び膝だちになる。
ジャンは、青いテクニカルを、一気に加速させて、敵に突進していく。
「イングラムの連射を喰らいなさいっ!」
「ライフル弾だっ! 死ね、死ねっ!」
「運転手を狙え、そしたら車ごと殺れるっ!」
「言われなくてもねっ!」
前方右側の四輪バギーから、激しい銃撃が、賢一に浴びせられる。
アジア系のギャングは、ハンドルを握りながら、片手で後ろに向けて、イングラムを乱射する。
後ろに乗っているラテン系のギャングも、AKMを連射してきた。
左側を走る四輪バギーからも、運転を担当するアジア系のギャングが、グロック17を撃ってくる。
体を、こちら側に向ける白人ギャングは、MP28を連射しまくった。
「メイスー、頭を下げろっ! 不味いっ!」
「きゃああああっ!?」
大量の9ミリ弾は、窓ガラスをブチ破り、AK弾は鉄板を貫いていく。
ダッシュボードに身を隠しつつ、賢一は頭を下げながら、運転するために前を見続ける。
メイスーも、一旦機銃から離れて、荷台で伏せながら反撃する機会を伺う。
しかし、めちゃくちゃに放たれまくる弾を前にして、彼女もまた身動きが取れなくなった。
■ 武器&ビークル説明。
⭕️ AKM。
AK47の改良型で、銃口が竹槍形状になっているため、発射ガスが上に吹き出る。
また、全体的に軽量化されながら、部品点数も減らされており、性能が向上している。
単発・連射のどちらも、命中精度はよくなっているが、オリジナルより少しだけ連射速度が遅い。
これは、連射時の命中率を向上させるために、わざと発射速度を遅らせる装置を追加したからだ。
⭕️ イングラム。
アメリカ映画で、ギャングが使う定番のサブマシンガンで、片手で扱えるほど小型である。
ただし、命中率は全く期待できず、弾をバラまくためしか使えない。
とは言え、近距離では真価を発揮する。
⭕️ バイク。
ホンダ、カワサキ、スズキ等、整備しやすく頑丈なため、日本メーカーの中古品が多い。
ゾンビからは、素早く逃げられるが、走行音が近寄せてしまう可能性がある。
⭕️ 四輪バギー。
レジャー用から、軍隊や警察、沿岸警備隊などにまで、配備されている軽車両。
基本的には、一人乗りだが、二人や四人乗りする事も可能である。
バイクよりも、道具を積んだり、強力なゾンビを引き殺す事ができる。




