ギャング、私兵、狩猟者、ゾンビ…………
賢一たちは、激しい銃撃戦で巻き込まれたため、射殺される前に逃げようとした。
しかし、メイスーは遠くから白いピックアップが走ってくるのを見てしまった。
「車が、こっちに来ますっ! きゃああっ!」
「間に合わないかも…………」
メイスーは、白い車体が近づく度に衝突すると思って、韓国レストランの裏路地に逃げ込んだ。
エリーゼは、一瞬だけAK74を構えたが、すぐに三階建ての建物へと走った。
「邪魔やっ! 退けっ!」
「こっちは逃げてんだよ」
白いテクニカルが、走ってくると、急ブレーキを踏んだらしく、横滑りしながら停まった。
そして、左右のドアを開いて、白人ギャングと黒人ギャング達が、悪態を吐きながら出てきた。
「くっ! ここも、塞がれているのかっ! 死ね」
「敵が来るってのにっ! この野郎がっ!」
黒人ギャングは、M1917を両手で発砲して、白人ギャングは、ソードオフから散弾を撃ち放つ。
しかし、それらが当たることはなく、二人とも右側の路地裏へと消えていった。
「下がるのに邪魔なのは、お前らの方だってのっ! 仕方ないっ! コイツは貰うっ! メイスー、機関銃手は頼んだぞっ!」
「はっ! え? きゃああっ! わ、わわわわ分かりましたっ!」
白いテクニカルを奪い取った賢一は、向きをギャング達が逃げてきた方に向ける。
荷台後部を見ているメイスーは、いきなり名前を呼ばれて焦るが、頭上を弾丸が飛ぶと走り出した。
「奴ら、逃げる気だぞっ!」
「逃がすかああ~~~~!?」
「乗りましたっ! 出して下さいっ!」
「よし、連中を撃ちまくれっ!」
太平洋系の私兵は、M2ブローニングを両手で掴み、大口径弾を連続で放ってくる。
ラテン系の私兵も、M1919で機銃掃射を放ち、白いテクニカルを狙った。
メイスーは、怖がりながらもM1919を握りしめ、めちゃくちゃに乱射する。
ただ、敵は直ぐに撃つのを止めて、顔を真っ青にしながら逃げ出した。
「逃げるなっ! 撃ち殺してやるわっ!」
「いや、俺たちも逃げるぞっ! ゾンビが来ているっ!」
「背中や脇腹を見せるとわね」
「その前に、スタコラサッサすんぞ? アレ見ろ、ヤベーーだろっ!」
青いピックアップの荷台で、モイラはM1ガーランドを撃ちまくる。
敵を鉄板ごと、ブチ抜こうとする彼女だったが、ジャンは異変に気がついたため、運転席に走る。
窓ガラスを狙って、AK74を連射するエリーゼの反対側から、ダニエルは疾走していく。
そして、運転席に乗り込むと、後ろから別な驚異が迫っていることを伝えて、車を走らせる。
私兵部隊も、どうやら前方から迫るゾンビの群れが見えたらしく慌てだす。
「早く出せっ! ここは、ダメだっ!」
「分かっているっ!」
「直ぐに逃げるんだっ!」
「撤退するんだ」
「急げ~~!?」
白人私兵は、運転席に飛び込み、太平洋系の私兵は相変わらず、M2ブローニングを撃ちまくった。
黒人私兵も、ハンドルを握り、ラテン系の私兵は機銃に、ベルト弾を補充する。
アジア系の私兵は、右側で動き出した白いテクニカルに飛び乗った。
こうして、私兵部隊も逃げ出したが、左右のギャングや狩猟者たちは、群れに気がついてない。
「グアアアアアーーーー」
「ギャアアァァァァ~~~~」
「アイツら、まだ撃ち合っているようだな? だが、こっちは目の前のゾンビに対処せねば成らんっ!」
「もう、姿が見えなくなりましたよっ! と言うか、あの数は昨日と同じ…………」
正面から迫るゾンビの群れを前にして、賢一は背後から聞こえる銃撃音を無視する。
彼は、ひたすらテクニカルのスピードを上げて、アンデッド集団に突っ込もうとした。
M1919に捕まっているメイスーは、前方のゾンビ達を見て、固まってしまう。
しかし、次の瞬間には彼女が引き金を動かし、機銃掃射を大集団に浴びせた。
「ギャアアアアッ!?」
「グルルルルッ!!」
「ガアガアガアガア」
「ギャオオォォォォーー!」
「あらよっと」
「うあっ!」
「ウゲゲッ!?」
「ギア、グギャ」
ゾンビ集団とテクニカルが衝突する前に、賢一は左側にハンドルを切った。
結果、メイスーは振り落とされそうに成りながらも、機銃弾をゾンビ達に浴びせる。
「こっちには居ないっ! なら、真っ直ぐ逃げるのみだっ!」
「だったら、私は撃つのみ…………と思ったけど、味方が来ているから撃てません」
逃げる賢一のテクニカルを、ゾンビ達は追ってきたが、段々と距離を開けられてしまう。
後方から来る連中に、メイスーはM1919を向けたが、撃つのを躊躇った。
右側では、青いピックアップの荷台から、モイラがM4を撃っている。
左側では、赤いテクニカルから、エリーゼが火炎瓶を投げていたからだ。
「ゾンビは? よし、離したな」
鏡を見ながら、ゾンビ達を振り切って、賢一は安堵しつつ、テクニカルを何処までも走らせた。
やがて、彼らは海辺の海岸が見える街道にまで、無事にたどり着いた。
左側は崖になっており、右側にはクリーム色の砂浜と緑色に輝く海が見える。
ここには、誰も存在しないため、彼らは近くにある海側の個人商店へと向かう。
そこは、鼠色の古くさい建物があり、周りは小さな駐車場になっていた。
「メイスー、休憩するぞ…………みんな? 無事か?」
「つ、疲れましたああ~~! でも、無事ですぅ」
「ようやく休憩かい?」
「ここは無人なのか? 店主は逃げきれたんだろうか?」
「そんな事より、コーヒーを飲もうぜ」
「ふぅ? それより、中には…………入れないわね」
日影になっている左側に白いテクニカルを停めると、賢一は仲間たちを心配した。
荷台の上で、メイスーは握りしめていたM1919を手放し、肩と腕から力を抜いて、座り込む。
屋根に背中を預けながら、モイラはM4カービンの弾倉を抜き取る。
ドアから出てきたジャンは、建物を眺めて、カーテンが掛けられた窓を眺めた。
赤いテクニカルに積まれている段ボール箱から、ダニエルは飲み物を探すために、手を突っ込む。
正面に回って、ガタガタと音を鳴らし、ガラス戸が開かないと知ると、エリーゼは落胆する。
「銃撃で、開けるのもね? ギャングじゃないんだから…………そっちの車に物資は無いの? 無いなら、また缶詰めを食べたいわ」
「少し待っていろ? 桃の缶詰め、フルーツミックス缶詰め、魚の缶詰め、肉の缶詰め、菓子パン、ポテチ、カップ麺」
「何か、武器や大砲まで有りますよ? …………盗んだんでしょうか? これなんて、ランボーが使うような武器です? 重い…………」
左側の日影に隠れている仲間たちに、エリーゼは腹を擦りながら近づいていく。
賢一は、荷台後部にあった二個の収納ボックスを明けて、食糧を取り出した。
その左側にあるボックスからは、武器や兵器などが満載されていた。
中から、メイスーが取り出したのはM60であり、百連ベルトが繋がっていた。
「メイスー、これは俺が貰おう? コイツと交換するっ! 百発も連射できるのは凄いからなっ! こっちの武器は、どうなんだ?」
「えっ! はい、私じゃ持ちきれませんので…………」
「どれどれ? おっ! M19迫撃砲があるわ…………博物館でしか見た事がないわ? プロケトでは、未だに使っているのね」
「RPGー2、それに手榴弾や砲弾かっ! アイツら、どこからか武器を盗んできたな? まさか、ロケットランチャーまで持っているとはな…………」
体格の良いジャンは、九九式軽機関銃を収納ボックスに仕舞うと、M60を貰おうと手を伸ばす。
この銃が余りにも、重たすぎるため、メイスーは自分に合わないと思って、素直に手渡す。
モイラは、M19迫撃砲を運びながら青いピックアップに載せて、テクニカル化させる。
賢一は、弾頭が取り付けられてないRPGー2や大量の弾頭を見て、呆気に取られた。
■ 武器&ビークル説明。
⭕️ ピックアップ→テクニカル。
青いピックアップは、迫撃砲を載せて、武装化したため、テクニカルと呼ばれます。
⭕️ M19迫撃砲。
M2迫撃砲の後継として、設計され、第二次世界大戦中1942年に制式採用された。
M2迫撃砲と同一の砲弾を使用する。
また、装填すると弾が発射されるだけでなく、装填後に引き金を引いて、射撃する事も可能である。
M2迫撃砲よりも、命中率は低く、重たかったため、後継機でありながら更新は殆ど進まなかった。
M19迫撃砲の大半は、廃棄処分されるか、海外に売却・供与された。
だが、一部は米軍でM2迫撃砲と共に朝鮮戦争やベトナム戦争で使用された。
こうして、1970年代後半以降に、M224迫撃砲に更新されて退役するまで活躍した。
現在でも、ベルギーとカナダが使用している。
プロケトでも、米軍が使用していた物を供与されており、未だに現役配備されている。
⭕️ RPGー2。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツのパンツァーファウスト250が、ソ連に滷獲される。
そこから、研究開発が進んで、RPGー7が配備される1960年代まで東側諸国で使用された。
しかし、ロケットランチャーとしての座を譲った以降も、ゲリラ組織では使用が続いた。
東南アジアでは、山岳地帯やジャングルが多かったため、軽量なRPGー2の方が好まれたからだ。
また、こう言った場所には、主力戦車や歩兵戦闘車が入れなかった理由もある。
軽装甲の装甲車程度なら、これでも充分に破壊できるからだ。
射程距離は、100メートルしかなく、弾頭も弧を描くため、命中率は低い。
また、弾頭を取り付けた状態で、下に向けると、落下してしまう。
流石に、爆発はしないが、弾頭の信管が壊れてしまう事案が多く見られた。




