《 肉食の獣 》
目が合った その刹那。
判断と思案。
そして 行動。
自分より大きな体躯の雄。
欲を満たそうと爛々とした瞳。
私の肉は美味しそう?
逃げてみよう。
駆け出す私を追って来る。
右へ 左へ 向きを変え全力疾走。
追う側も、
右へ 左へ向きを変え 喉を鳴らしてる。
私を捕まえられるの?
捕まえたら 私を丸ごと食べられるわよ?
左へ 右へ 向きを変え 振り返る。
大きな雄は涎を垂らし、
余裕な顔で笑ってる。
左へ 右へ 向きを変えながら。
荒い呼吸音が耳許に迫り、
距離が縮まった今、
立ち止まり、
後方に向きを変え 跳躍、
大きな雄の太い首に、
牙を突き立てて 一気に引き裂く。
何を勘違いしたの?
私は草食ではなく肉食獣なのに。
目の前に横たわる、
仕留めた雄の 美味しそうな肉。
涎を垂らす私の口。




