骨端微塵
魔王居城
イデア・アリスト・プラット城。
デグさんの話によれば
古代魔語で、偉大なる魔王族の理想郷
という意味だそうだ。
「おのれぇぇぇぇぇ"混沌者"めぇぇぇ」
ローアーク以上がそろった謁見の間。
魔王の怒号が響き渡る。
玉座の前に立つ魔王の怒声に
その前に跪くカーツ・シーヴァは
首をすくめる。
よく見ると、カーツの体は刀や矢により
ついたと思われる傷で、ボロボロだ。
治療の痕もわかる。
魔王の怒声とボロボロのカーツ。
そう、カーツによるドーガ家、スノー砦
攻略は失敗に終わった。
ラ・モンドにより今回の経緯が語られる。
無感情に、カーツの失敗を客観的に
読み上げるラ・モンドさんは
怒声をあげる魔王様やクソ爬虫類野郎
よりも残虐なものを感じるよ。
それによると
ドーガ家、正確にはアンゼロ家の戦力と
カーツが準備した戦力の数はほぼ互角。
ただし戦闘力に関してはカーツ軍が
圧倒的という状況であった。
一気に殲滅するという作戦を取った
カーツであったが
―クソ爬虫類野郎をかばうわけではないが
今回のような圧倒的な戦力差がある場合
援軍や補給などで泥沼にならないように
短時間で殲滅する作戦は順当で
間違っていない。
戦場に突如あらわれた"混沌者"により
カーツの身動きが取れなくなる。
後の解析によると
龍捕縛の魔法を
使われたらしい。
龍捕縛・・・
なるほど・・・
クライドは、感心する。
龍捕縛は
ドラゴン一体だけ動きを止める魔法だ。
一見役に立ちそうな魔法だが
クロノスゲームの世界では不要な魔法と
言われている。
実際クライドもゲーム中は
この魔法を使ったことは無い。
なぜなら、この魔法
効果範囲が一体限定なのだが
伝説級のドラゴンには
一切効果が無い。
効果がある種類のドラゴンは集団で
出現するため一体だけ縛っても
仕方がない。
ゆえに、無能魔法、不要魔法と
呼ばれている。
しかし、今回の場合。
カーツのおっさんは実力は
伝説の龍クラスだ。
だが種族的には正当な龍じゃないから
龍というカテゴリで見ればこの魔法が
通用してしまう。
ということは指揮官であると同時に
強大な力を持つ戦力の中心である
カーツのおっさんの動きが封じられれば
軍としては崩壊だ。
そして結果はその通りとなった。
すげぇ、ゴロムが前に言ってたけど
魔法って一見役立たずそうな
物でも使いどころを選べば
強力無双って言ってたけど
こういうことか・・・
そして魔王様の怒号から
これら全てを仕掛けたのが
"混沌者"ということだ。
わかっていたことではあるが
まざまざとその策謀の凄まじさを
見せつけられると
敵ながらすげぇな。と思う。
しかし気になることがある。
出撃するのがカーツのおっさんって
"混沌者"は、なんでわかったんだろう。
龍捕縛を準備する
なんて、カーツのおっさんが
出撃するってわかってないと絶対
用意なんかしないはず。
なぜだ・・・・?
偏見かもしれない。
そう思いたいのかもしれない。
気のせいかもしれない。
だけど
ジュード軍の連中がほくそ笑んでる
気がするんだよ。
もちろん魔物で性格悪いから
ライバルの失敗はほくそ笑むんだろうけど
にしてもきな臭い。
こいつら情報もらしてる?
曲がりなりにも同じ魔王軍なのに
足を引っ張るために平気で敵対勢力に
情報流す?
ジュード軍の動きやカーツが
まんまとやられた件は
まぁ気になるが
しかし、そもそも論として
短期決戦を挑むからこんなことに
なるんだよな。
おっさんが
戦闘不能になっても死んだわけでは
ないのだから一時的な物だ。
長期戦を考えてしっかり準備しておけば
おっさんが倒れても
どうにかなる体制を作れただろうし
魔法の対策準備もしただろう。
短期決戦を挑むという基本戦略が
まずいんだよ。
でもなぁ・・・
短期決戦挑むしかないんだよな。
スノー砦とその近辺って
敵地まっただ中だから長期決戦用の
補給砦とか立てらんねーんだよな。
戦いながらの補給砦構築とか無理だぜ、
建築と戦闘が同時にできるやつなんて
そうそういねーぜ。
そんなけったいなことしてるの
俺が知る限りパックスくらいだぜ
でもパックスは使っちゃならねーんだろ?
パックスくらいなのに・・・
そうパックスしかいないんだ・・・。




