天骨と地骨
あれから
クライドとボニーとザインの3人
色々とやかましい日々を過ごしていると
魔王城のデグから呼び出しがかかった。
先日の任務に対する結果報告だ。
すぐさまクライドは支度を整え
魔王城へ向かう。
魔王城いつものデグの部屋へ入ると
デグと白金の全身鎧を身につけた魔物
ラ・モンド軍軍団長、魔王軍4侯爵の一人
ラ・モンドが待っていた。
うわっ軍団長直々。
これは非常に良い報告か
非情に悪い報告だね。
もちろんクライドには悪い報告である
理由は思い当たらない。
極秘の困難と認識されている任務を
遂行したわけだから良い報告であると
期待する。
クライドが部屋に入り
デグとラ・モンドの前に立つと
ラ・モンドがすぐさま口を開く。
「困難な任務ご苦労」
ラ・モンドから
直接ねぎらいの言葉だ。
会社の重役から直接ねぎらいの言葉を
かけられるというのは
非常に光栄なことで喜ばしいことである。
ラ・モンドもそこらへんはわかって
直々に声をかけているわけであるが
非公式とはいえ
これまでいとも簡単に魔王と言葉を
交わしていたクライドはここら辺が
やや鈍い。
「はい、ありがとうございます」
というクライドのあっさりした対応に
「う、うむ」
とラ・モンドは心なしか
がっかりした感じがする。
それに気が付いたかどうかデグが
いつもと変わらぬ口調で
「クライド the スケルター。
今回の任務達成にあたり
貴殿を第6位階へと任命する!」
うっひょー。また一個出世だぜ。
位階ゲットだぜぇ!ってやかましわ。
にしても
ちょっと、はやくね?
スムーズすぎじゃね?
とクライドは心の中で考える。
「いつかは、まだ言えぬが
ドーガ家攻めを行うことが決定した。
それに対するお前の功績は多大である
という魔王様の言葉だ」
また魔王様の言葉か・・・。
思わずクライドは口に出してしまう。
「自分で言うのも何ですが
早すぎではありませんか?」
デグは、うぅむ。
といつもの唸り声をあげ黙る。
しばしの沈黙の後
ラ・モンドが口を開く。
「そうだな。
確かにまぁ、今回の決定は荒れたよ。
カーツとジュードは反対した。
お前の言う通り
早すぎ。
功績が少なすぎ。
本人の能力が低すぎ。
とな。
カーツに至っては魔王様に
身内びいきがひどすぎ、私情を挟むのは
いかがなものか?と讒言までする始末だ」
くそ爬虫類野郎に言われたら腹立つけど
正直、当事者である俺もちょっと
そう思うよ。
「しかし私とジーク殿は魔王様の決定に
賛成した。
理由は、お前は長く諜報系の活動から
ドーガ家について詳しい。
そして破壊任務と諜報任務を同時に
こなせる者はそうはおらず貴重だ」
なるほど・・・。
そういう評価か。
とクライドが納得しかけると
ラ・モンドが自嘲気味に
「まぁ我々の派閥が大きくなるから
という理由もあるし
ジュードやカーツの言うことを
通すわけにはいかん。
という俗物的な判断もあるがね」
と笑う。
そして
「魔王様の本心はうかがい知れぬが
何はともあれ、お前に
第6位階が授けられるのは事実だ」
と改めてクライドの第6位階就任を
告げた。
なるほどね
大人たちの事情で出世するのね。
たぶん魔王様、シーノさまとの
思い出的な物もあるだろうから
後ろめたさが無いと言えばウソになるけど
どんな理由であれ、
どんな手段を使ってでも
成り上がると決めたんだ
この出世大いに利用させてもらう。
と一人心の奥底で黒い決意をして
かっこつけたクライドであったが
本来はお調子者。
評価されて嬉しくないわけがない。
「フン、フン、フフフフーーーン」
「第6位階様・・・フヒヒ」
とニヤニヤしながらボニーの家へと
向かう。
電撃的出世。
キラ星のように現れた超新星。
ラ・モンド軍の超秘密兵器的人材。
その名もクライド the スケルター!
なんて魔王軍にて噂に
なっているのを小耳にはさみ
有頂天なクライドである。
そりゃスキップもする。
ルンルン気分でボニーの家に帰ると
ボニーが手紙を持って立っている。
「どうした?」
「あ、クライド
ちょうど良いトコに来た。
魔王様からのご通達だってよ?」
と未開封の手紙を差し出す。
なんだろ?
第6位階様だから正式に魔王様直々の
任務かしら?
それとも特別報酬か何かかな?フヒヒ
「何て書いてあったの?クライド?」
「・・・・」
食い入るように何度も何度も手紙を
見返すクライド。
「ちょっと!何が書いてあるのさ!」
じれたボニーがクライドに言うと
クライドは無言で手紙をボニーへ渡す。
「え?なにこれ・・・・」
手紙を読んだボニーも言葉を失う。
魔王からの通達は魔王軍全体宛に
出されておりその内容は
ナグル族とパックスを
一切任務で使ってはならない。
と書いてあった。




