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揉めよ骨

ジュニに連れられて草原へたどり着いた。


そこには

二足歩行の竜人―カーツ・シーヴァ―

羽の生えた男―カジー―

そして獣人―シェイ―もいる。

そんな連中が


イコン族、ナグル族と相対していた。

一触即発。

そんな空気だ。


「おぃ、てめーら魔王様の周りを

うろちょろしやがって!先代派か!」


叫んだのは、シェイだ。

もうすでに半分黒い狼男状態に

なっており戦闘態勢だ。



そんな両者の間をクライドが割って入る。


「ちょっと待ったーーーーー」


イコン族、ナグル族そしてカーツ達

両者の間に一瞬緊張が走る。


が、すぐにクライドの姿を確認した

シェイが戦闘態勢を解く。


イコン族、ナグル族も気が緩む。


「ここにいるイコンとナグルの者達は

先代派じゃない。魔王様の周囲に

不審者がいないか監視してるんだ。

敵じゃない!」



「なんだ、クライド、

そういうことかよー」


とシェイが安心したような声を発する。

しかし


「魔王様を監視だと」


カーツがジロリとクライドを睨む。


バカかコイツは?

人の話ちゃんと聞けよ

とクライドがあきれていると


「ちげーよ、オヤジ殿

彼らは魔王様の周辺に変な奴が

いないか監視してるんだって」


とシェイがフォローするが


「何ににせよ下等種族が魔王様の周りを

ウロチョロして良い道理は無い!」


とカジーが余計なことを言う。


「左様、雑魚は無用よ!

ましてや骨、キサマの仕業ならば

もっと不要よ!」


とカーツも叫ぶ。



ただの因縁付けじゃねーか

とクライドがイラついき


「魔王様を監視するとか

間違ったやつに言われたないわ」


と返すと



「う、うるさい!!!下等な骨め!

このカーツに恥をかかせおって!!」


とみるみるうちに力が

カーツへ集約していく。


それは凄まじく強大で猛烈な

破壊衝動と言える力だ。


ここにいるイコン族、ナグル族

クライドも

全て一瞬で消し飛んでしまうだろう。

そんな力がカーツへ集まる。




やべぇ。


ガチでヤバイ。




魔王軍トップクラスの力舐めてた。




どうやってこの場から全員を

撤退させるかクライドが

頭を悩ませていると



シェイがカーツを羽交い絞めにしようと

後ろから飛びつき


「オヤジ!落ち着けって!!

間違いは間違いだろ!こんなとこで

力使うなって!それこそ無駄だろ!」


と叫ぶ。



その様子を見ていたカジーが


「シェイ、邪魔するな!」


とカーツと同様に力を集約させ始める。



シェイはカーツを抑えるので精一杯。

カーツに劣るとはいえ

カジーも魔王軍だ。

このままでは、イコン族、ナグル族に

被害が出る。


クライドはとっさに

カジーに絡みついた。


パックス流戦闘術蜘蛛絡みだ。




カーツとカジーはグッグッと抵抗する。


「邪魔するなーーーーーーー!!!」


カーツとカジーが同時に叫ぶ。



ポーンと毬のように

ふっとばされるシェイ。



カジーに絡みついているクライドは

特に吹き飛ばされることもなく

絡みついたままだ。



なんだコイツ偉そうにしてるけど

たいしたことねぇや。

これならシェイのほうが圧倒的に強いぞ。


カジーに絡みつきながら

クライドはそんなことを考える。




しかし、シェイを吹き飛ばしたカーツの

力は今にもナグル族とイコン族へ向かい

放射されそうになる。




あ、おわった・・・・・。





クライドの頭が真っ白になった

その時




「やめんか、カーツ」


深く静かな、しかしちょっと甲高い声が

クライドの後ろから聞こえた。


その声が聞こえた瞬間

今にも力を放射しそうであった

カーツがとっさに跪き頭を下げる。


「カーツ、

私を思っての忠義の怒りご苦労」



クライドの後ろに頭巾姿の

魔王が立っていた。



「魔王様!こやつらが余計なことを

しようとしているため排除いたそうと

しておりました!!」


えー恥かいたからっていう単なる

私怨じゃーん。

とクライドはカジーに絡みつきながら

考える。


「離せ!離せ!この骨!」


カジーは、クライドを引きはがそうと

体を動かすがクライドは離れない。



「魔王様、こやつらは魔王様の力を

小さく見て魔王様を警護するなどと

くだらぬことを申しております!」



とカーツが言う。



ばかやろーどんなに強大な力を持った

魔王でも勇者にやられることが

あるだろーが。

だから警護するんだよ、タコ助!

とクライドはカジーに絡みつきながら

考える。


「離せ!離せ!もう良いから離せ!

この骨!」


カジーは、クライドを引きはがそうと

体を動かすがクライドは離れない。




「カーツ、お主の私に対する

気遣いと想い感謝するぞ。

だが我が手をわずらわせずに済むなら

それで良いではないか」


魔王はカーツへ鷹揚へ答える。


クライドは不思議な気分だ。

いつも接している魔王と違う

雰囲気なのだ。


クライドがいつも接している魔王は

ちょっと(かなり)怖い上司という程度の

感覚なのだが


カーツと接している今の魔王は

絶対王者。圧倒的強者。超上位者。

そんな雰囲気を漂わせている。


こりゃカーツもびびるわ。

いつもと違う意味でこえーわ。

とクライドはカジーに絡みつきながら

考える。


「離せ!離せ!いい加減離せ!この骨!」


カジーは、クライドを引きはがそうと

体を動かすがクライドは離れない。



「しかし!魔王様!あのような下等な

連中を用いるなど!」


「ほう、私に反対を申すか?

それとも何か?カーツ、キサマは

私にもっと働けとでも言うのか?」


冷たい目線と焼けつくような恐怖の

波動があたりを包む。


その波動を皆が感じた瞬間

それまで棒立ちだった

イコン族とナグル族は一斉に跪く。

カーツに吹き飛ばされていたシェイも

慌てて魔王の元へ駆け戻り跪く。



クライドも、俺も行かなきゃなー

とクライドはカジーに絡みつきながら

考える。


「離せ!離せ!頼むから離してくれ!

この骨!」


カジーは、クライドを引きはがそうと

体を動かすがクライドは離れない。




「め、めっそうもございません!!」


カーツが額に汗を浮かべ頭を下げる。


「ふむ、ではこのままで良いな」


と言い、魔王はその場を立ち去った。



魔王が完全に立ち去ったのを見届けて

クライドはカジーから離れた。



カーツとカジーは

ギロリとクライドを睨む。


しかし何も言わずに立ち去る。



その後をシェイが追いかけようとするが

何か思いだしたように

クライドへ近づき


「すまねーなクライド。

オヤジ達はうまくなだめとく」


と耳打ちして去っていった。




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