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骨とゴリラ時々息子

いやーん、ごっつ良い奴やーん。



クライドはナグル族とパックスの

破壊工作同期実施任務の調整のため


ナグル族当主、ワズム・ナグルの息子

ジュニ・ナグルとパックスへ

向かっている。


道中、全く話さずに黙々と目的地へ向かう

なんてことは無い。


道中色々と話をする。


「素晴らしいですね」


「さすがです。クライドさん」


「父から色々伺っていますが

それ以上です」




いやーん、ごっつ良い奴やーん。



シーノさまに振られた坊ちゃんって

設定だけで、もうすごいボンクラを

想像してて、そのボンクラっぷり

もしくは嫌な奴っぷりを生ぬるく

見てやろうなんて思ってたけど



こちらの話を目をキラキラさせて聞き、

必ず褒める。


こちらから多くを学ぼうとする

勤勉な姿勢。


ちょっとしたことに細やかに気が利く。


ナグル族のスキルもかなりの物だそうだ。


そんな、ワズム・ナグルの息子。

時期当主候補、ジュニ・ナグル。


ジュニちゃん。


いやーん、ごっつ良い奴やーん。



クライドがおバカな妄想を繰り広げている

間に、とっととパックスの砦へと

到着した。




パックスの砦。

こんな森の中に不自然に立派な砦。


そしてそれを作り、ここら一帯を

治めているのが亜人集団と知れば


普通の人々は驚くであろう。


相変わらずパックスの砦は異様な

たたずまいであった。



「あれ?門番とかいないんですか?」

ジュニがクライドにたずねる。



パックスの砦、入口の門には

非常事態ではない限り常駐する

門番はいない。


不用心ではないか?

そんなことはない。


「まぁ行こうよ、ジュニちゃん」


入口の門へ近づくと、門の上部から


「あ!!!クライドさん!!!」


と声が聞こえてきた。

ジュニが声のほうを見上げると

ゴブリンとオークが門の上から

こちらを見下ろしている。


パックスの砦、入口の門には

常駐門番はいない。

なぜなら、門の上部に監視小屋が

あり、訪問者に姿を見せずに

監視しているからだ。


今回は、旧知の仲であるクライドが

いるため何も起きなかったが


もし不審な訪問者ならば

上部から容赦なく矢や投石が行われる。




「みんなーーーーーーー!

クライドさんが帰ってきたどーーーー」


と大声が砦の中に響き渡る。



大げさだよと苦笑いを浮かべながら

門が開くのをじっと待つクライド。


「すごい!あのクセが強い

荒くれもの集団パックスからこれほど

慕われているなんて!」


なんかもう、ジュニちゃんの

驚き(勘違いとも言う)が照れくささを

通り越して心地良い。


ジュニちゃん、ごっつ良い奴やーん。




やがてゴゴゴゴゴゴという鈍い音を

立ててパックスの門が開く。



開いた門には

こずるそうな顔をしたゴブリンが

くしゃくしゃにした笑顔で

立っていた。


「クライドの旦那ぁ、久しぶりだねぇ」


パックス古参メンバーの一人

ワンだ。



「ワン!達者だったか!!」


懐かしい顔にクライドも思わず

両手を広げかけよる。



「あぁ、おかげさんでね。

で、そっちのアンチャンは?」


と鋭い視線をジュニへと向ける。


「あぁ、こっちはジュニ・ナグル。

ナグル族当主ワズムさんの息子さんだ」


クライドに紹介されるや否や


「ジュニと申します。噂に名高い

パックスに訪れることあできて光栄です。

若輩者ですがよろしくお願いしたします」


と握手を求める。


ジュニちゃん、相手に握手求める時

いっつも両手で求めるんだよ。


ジュニちゃん、ごっつ良い奴やーん。


ジュニの良い奴っぷりに気が付いたか

ワンも笑顔で握手に応じる。


「おぅ、クライドの旦那の舎弟か?

旦那からたくさん学べよ!!」


いや、舎弟とかじゃないんですけど

っていうか後のナグル族の当主なんで

いくら良い奴でもそういう扱いは

ちょっと・・・。


なんて思ってると


「ハイ、わずかな時間ですが

こんなにも学べるとは、父の命令に

従って感謝しています!」



ジュニちゃん、ごっつ良い奴やーん。



「おぅ、がんばれよ!

で旦那?今日はどういった要件だい?」


「今日は、仕事の話だよ。

大将いるかい?」



「おうよ!旦那の到着を部屋で

首ながーーーくして待ってらぁよ!」



シックスの大将の部屋へ向かう途中

ワンへそれとなくゴロムのことを

聞いてみた。


「ゴロム?あぁ任務に行ってる」


またいつものようにすれ違いか。

まぁ良いや。



部屋へ向かう途中、ジュニの顔色が

悪いように見受けられた。


「ジュニちゃん、どうした?

具合でも悪いか?」


ワンがチラリとジュニの顔を見て


「どうしたアンチャン。

俺たちの邪気にあてられたかい?」


とちゃちゃを入れる。



「ほんと!パックスって下品だもんな!」


とクライドが返す。


「うるせーや、旦那も下品な一人だぜぇ!

ギヒヒヒヒ」


とワンが返す。


押し黙っていたジュニが


「いえ、緊張していまして

やはりパックスという一つの大きな

集団の総帥と面会するわけですから」


まぁ何となくわかる。

結社というか会社というか

そういったとこの代表といきなり

あうわけだから


言ってみればアポなしで噂に聞いてる

会社の社長と会うという感じだもんな。


でも、よく考えたらジュニちゃんだって

次期社長みたいなもんなんだから

そんなに緊張しなくても


と思い、ジュニを和ませようと

クライドは冗談を言う。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だって、

単なるひげゴリラなんだから」



と言ってるうちにシックスの部屋の

前に到着した。


ワンがノックをし

扉をガチャリと開ける。



「誰がひげゴリラだこのやろー」


部屋の中には相変わらず不似合いな

書類に囲まれてシックスが

机に座っていた。



出た

妖怪地獄耳けちけちひげゴリラ。




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