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骨、出発す

じゅんびちゅうだった

準備がととのった一行は(それにしても大人数だ)

目標の城へと出発した。


パックスが先行して進む。

さらに、ゴロムの指示でパックスから無数の斥候を放つ。


その後を足並みをそろえた親衛隊が続く。



無数の斥候がしきりにパックス本体へ報告の出入りを

繰り返す。


ちなみにパックス本体とはゴロムとワン、

そしてクライドを指す。



「クライドさん、この先に砦があります。

おそかれ早かれドーガ家に知らせが行くとはいえ

この砦を素早く潰しておくほうが知らせを

遅らせることもできますし進軍を早めることができます。

どうします?」

とゴロムがクライドにたずねる。


どうします?って聞かれても、そうしてください

としか言いようが無いし、そもそもゴロムが

統括リーダーなんだから気にせずやれば良いのに。

そもそも

今回の任務のパックスの構成とか全然知らんし。

と言いたいところだが、みんながこっちを見てるので


「砦の戦力は?」


とかしたり顔で言ってみた。



「およそ20といったところでしょうか

装備も大したことはありません。

40、いや50ほどパックスメンバーを

送り込めば攻略可能です」


やだゴロムさん、もう決めてんじゃん。


「それで良いと思うけど、ワンはどう思う?」

ということで、ワンに話を振ってみた。


「それで良いと思いやすぜ」



「では、50ほど先行して攻め込ませましょう。

我々が到着するころにはケリがついているはずです。

もし済んでなければ、我々で総攻撃と行きましょう」



進軍はスピードが命だからとにかく斥候を放ち、

情報収集を行う。

途中攻める対象が出てきたら、その戦力の倍程度で

攻め込んで先行攻略させる。

先行攻略が滞っていれば、後詰めで一気に殲滅する。


ということか

やだ、ゴロムさん手慣れてるわ。



ゴロムが速やかにパックスへ指令を出すと

50程度のメンバーが砦の方向へ突撃していった。


クライドの周辺にいたパックスの連中は

ゴロム、クライド、ワンに羨望のまなざしを向けていた。



いや、俺とワンは、ゴロムに

同意しただけなんですけどね・・・。



しばらく進むと砦に到着した。

砦の門は大きく開かれており、あちこちに、

ドーガ家兵士の死体が転がっている。

攻略は既に終わった後のようだ。


パックス一行を認識したか

砦から先行部隊が出てきてゴロムに報告を行う。


「攻略完了、被害9残り41」


まずますの成果であろう。

あれ?被害9ということはパックスの仲間が9人

死んだということじゃ・・・。



「ハイ、わかりました。ご苦労。

本隊に合流してください、休みなく進軍します」


ゴロムは表情一つ変えずに先行部隊に告げる。



ゴロムは何とも思わないんだろうか?

魔物はそこらへんシビアなのかな?

俺が元人間だからこんな感情になるのかな?

と考えていると


「闘争とは命のやり取りに他なりません。

この世界に足を踏み入れたならば

好む好まざるにかかわらず、致し方ないことです。

それに命と考えるならば相手側も同じです。

指示命令を出す者は時に仲間を数量として

考えなければならないことがあるんです。

今の私しかり、シックスの大将しかり。そして魔王様も」


こちらの心を読んだかのようにゴロムが声をかけてくれた。

そうだ

ゴロムだって何とも思わないわけじゃないんだ。

もしかしたら9人の中に教え子がいたかもしれない。

シックスの大将にとっては9人はかわいい子分なんだ。

でも魔王様は何を思うのかな?


上に立つというのは、偉そうにふんぞりかえってるだけで

楽で良いな、なんて思っていたが、時に仲間に死ね

と命令を出さなければならないこともある。

上には上の苦悩があるんだな。


でも、会社員時代のあいつらはふんぞり返ってるだけで

仲間の死を何とも思わないだろうな。

俺は苦悩しても良いからあいつらみたいには

なりたかないや。




色んなことを考えている間も進軍は行われ

ゴロムはしきりに斥候を放ち情報収集を行っている。



そうこうしているうちに

次の関所を40の戦力で落とし

別の砦を100の戦力で落とした。


ここまで魔王親衛隊の被害はゼロだ。


クライドは特に何もすることもなく

報告を聞いているだけであるが任務は順調に進んでいる。



ここで悪い知らせがもたらされる。

今回の出兵に対応してドーガ家から

本隊が出発してこちらへ向かっているらしい。


当然ながらその数は、こちらを圧倒できる数であろう。


「本隊こられたらどうせ城取り返されるから

もう引き返したほうが良いんじゃね?」


小声でゴロムに聞いてみると


「城と街道を抑えてしまえば補給も可能ですから

籠城できます。

そうなればドーガ家本隊の大軍を押し返すことが可能です。

ですから城を取ってしまえば問題ありません」


なるほどね、ということは

とにかく急いで城を取るか?逃げ帰るか?

という選択肢になるわけだ。

で、みんな帰る気は無いってことね。



急いでるときは、焦れば焦るほど邪魔するようなことが

起きるもの。


斥候の知らせによると次を突破すれば

目標の城を攻めることができるのだが

次に突破するべきルート候補が2つあって

どちらが良いか決められない。


ということであった。


片方は関所。

もう一方は砦。


さらなる詳細な情報が欲しいため

ワンがラギルを斥候として出していたのだが


戻ってきたラギルによると

関所を攻めるべきか、砦を攻めるべきかは、

判断がつかない。

ということであった。


ラギルの報告によると

関所は、通常の武装であるが大人数の兵隊が

駐屯しているとのこと。

関所の守りにしては不自然な大人数であるそうだ。

その数はパックスの兵数を超えているらしい。


砦のほうは、魔法使いや特殊な武装をした兵士が

少人数で駐屯しているとのこと。

砦の守りにしては不自然なほど少人数であるそうだ。



報告を終えたラギルが浮かない顔をしていたので

「ラギル、お疲れ!」

不安なのであろうラギルへねぎらいの言葉をかけておいた。




「一見砦のほうが人数が少ないことから

そちらが良い気がしますが、おそらく特殊兵団でしょう。

関所は力攻めが通用するかもしれませんが

砦に力攻めは危険でしょうね。

それにパックスの兵力だけでは関所も力攻めできません」


ゴロムがいつになく苦悩の表情を浮かべている。



「ゴロム!時間が無ぇ。悩んでる暇はねーぜ。

悪手かもしれねーが戦力を二分して先に突破したほうが

もう一方を支援するというのはどうだ?」


「砦側が特殊兵団ですから単純な兵の二分ではダメです」



「クライドの旦那はどう思う?」



ゴロムとワンの議論、黙って聞いてたら

こっちにふってこられた。


「何をするにもパックスの戦力だけではもはや限界だ。

まず親衛隊の力を借りなきゃダメだろう。

あと戦力の二分は単純な兵の二分ではなく

力攻めができそうな関所側に多くの兵を割いて

特殊兵団の砦側に少数精鋭で行くのはどう?」



「親衛隊の力を借りるのですか・・・」



「ゴロム、任務達成のためには、なりふり構ってちゃダメ

って前言ってたよね?あと、俺的には、少しの保身?」


「いいねぇ、旦那ぁ」

ニヤリとワンが笑いながら同意する。


ゴロムも、ふぅと息を吐出し

「そうでした」

とほほ笑んだ。



クライドはワンとゴロムをつれて魔王親衛隊の

筆頭アーシターのところへ向かう。



「アーシターさん、この先ルート候補が

二つあって限定できません。

我々の兵力だけではどうやっても攻略不可能です。

しかもドーガ家本隊が出兵したとのことですから

時間があまりありません。

ここさえ突破できれば城の攻略にいけるのですが。

そこで、お願いしたいことは2点。

一つ目、魔王親衛隊のお力をここからお借りしたい。

二つ目、兵を二分して攻略します。

片方は力攻めで行けますが、もう片方は

特殊兵団となります。

ゆえに魔王親衛隊を二分する人選。

これをお願いにあがりました」



「己らの無能を我々に押し付けるな!」


魔王親衛隊筆頭補佐であるキョウが素早く

予想通りの返答をする。


ワンがすさまじい殺気をキョウへ向けるが

クライドは、特になだめることもせず

キョウのことも無視しアーシターへ視線を向ける。


「わかりました。では、人数を割いたA組と

精鋭部隊のB組にしましょう。A組はキョウが

B組は私が率いていきましょ・・・」


「待て!アーシター、こんな奴らの指示を聞くことはない!

信用もできん!親衛隊は完全に2分割で良い。

こいつらの人数を割いた方を君が

人数の少ないほうを私が率いる」


「ん?

人数が少ない特殊なほうが難しいと思うがね?キョウ」


「いいや、こいつらの人数が多いほうが厄介だ

何かされたら私ではどうにもできん。

ゆえに私より優秀な君がそっちをやってくれ」



やれやれと言った表情でアーシターはクライドに向かい

「ともかく我々親衛隊も戦闘に参加する。

二手に分かれることも了承した」



「感謝します」

クライドは無表情のまま、礼を述べその場を立ち去った。



ごきたいどおりのウザきゃらでした

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